────珀は「部室に案内する」と言い、廊下をどんどん進んでいく。
寧々と少年はその後を追っているが、
彼の歩くスピードがとてつもなく速い。
何せ1年生はまだ校舎に慣れていないわけで、
この広い校舎では、置いていかれたら迷子になる可能性すらあるのだから、
彼女らは必死について行くしかなかったのだ。
寧々
寧々
隣を歩いていた少年が話しかけてくる。
寧々
寧々
寧々
寧々
寧々
寧々
遥斗
遥斗
寧々
遥斗
寧々
寧々
寧々
遥斗
寧々
寧々
そんな事を話しているうちに、珀はある部屋の前で足を止めた。
遥斗
珀
言われるがままにスライドドアを開け、彼女らは部屋に入る。
────家、だ。
そう、紛れもない「家」だった。
遥斗
珀
寧々
珀
寧々
寧々
グルグルと答えを探している私たちを見かねて、それまでソファーで本を読んでいた少女が口を開く。
遥斗
寧々
遥斗
珀
珀
遥斗
珀
寧々
珀
珀
「コホン」と大袈裟に話す準備をした後、
珀は異世界研究部の活動内容について話始める。
珀
寧々
寧々
私は思わず、真剣に耳を傾けていた。
珀
珀
珀
珀
珀
遥斗
珀
珀
珀
そう言って、遥斗の方をちらっと見た。
遥斗
遥斗
珀
寧々
珀
寧々
珀
珀
珀
寧々
珀
遥斗
珀
珀
珀
珀
寧々
珀
寧々
珀
寧々
遥斗
珀
遥斗
珀
遥斗
寧々
寧々
寧々
珀
珀
寧々
珀
寧々
寧々
珀
少し、興味があっただけだった。
でも、聞いて直ぐに後悔した。
珀
表情は今までと変わらず、張り付いたような笑顔。
けれどその口が発する一音一音に、圧がこもっていたからだ。
寧々
その時、気怠げな声が珀の言葉を止める。
珀
珀
「庵」と呼ばれた人物は小さく舌打ちをした後、再び口を開く。
庵
庵
珀
庵
珀
寧々
寧々
珀
寧々
珀
珀
寧々
寧々
遥斗
珀
あまりにあっさりした告白だったので、
寧々と遥斗はお互いの顔を見合せ、唖然としていた。
珀
寧々
珀
遥斗
遥斗
珀
珀
珀
庵でもない、寧々、遥斗でもない、少女でもない誰かに、珀は声を掛けた。
声のするほうを振り返ると、真面目そうな少年が居た。
珀
遥斗
遥斗
寧々
優
優
遥斗
遥斗
優
真冬の気温のような態度で相槌を打った後、優は珀に続いて行ってしまった。
遥斗
遥斗
寧々
遥斗
寧々
寧々
珀
寧々
寧々
私たちも慌ててその後を着いていくと──
壁一面に、鏡がズラリと並ぶ部屋に通される。
寧々
どこを見ても、私が居る。
そんな感覚は初めてで、長時間居たら気が狂ってしまいそうだった。
優
珀
珀
珀
遥斗
珀
珀
促されるままに、私たちはそれぞれ鏡の前へ立つ。
珀
言うことだけ言い、珀は部屋から出ていってしまった。
残された3人は、ただ何もせず、鏡に映る自分を見ている。
寧々
寧々
耳鳴りがするくらい静かな空間の、どことなく気まずい空気は、
時間が経つことさえ遅く感じさせる程だった。
遥斗
静寂を破り、遥斗が口を開く。
遥斗
「後で話せば良いのに」と思ったが、
この雰囲気で会話を試みる勇気は賞賛に値する。
優
遥斗
優
遥斗
遥斗
優
遥斗
遥斗
寧々
優
一瞬の静寂を感じ取った私は、必死に話題をばら撒く。
寧々
寧々
そう言って、寧々は鏡越しに優に目を向ける。
優
遥斗
優
寧々
優
遥斗
寧々
優
私たちの声に、優は目を見開く
寧々
遥斗
優
彼は心底驚いているようだった。
遥斗
遥斗
優
優
遥斗
遥斗
その時だった。
遥斗
遥斗が突然、叫び声を上げたのは。
寧々
優
私と優も、反射的に顔を鏡から逸らして遥斗の方を見る。
遥斗
見れば、遥斗は腰が抜けているようだった。
寧々
優
遥斗
遥斗
寧々
思わず、鋭い返しをしてしまった。
優
遥斗
遥斗
寧々
遥斗
優
ガチャッ
珀
混乱の最中、珀が部屋に入ってくる。
優
珀
珀
遥斗
珀
珀
寧々
珀
寧々
寧々
珀
遥斗
優
珀
寧々
珀
珀
珀
珀
珀
珀
珀
珀
珀
珀
優
その時、嫌な事実を思いついた。
寧々
珀
遥斗
珀
珀
寧々
珀
珀
珀
遥斗
珀
珀
寧々
「ドッペルゲンガーを殺す。」
それはつまり、「自分を殺す」と言っても過言では無い。
寧々たちが絶句していると、優は口を開く。
優
珀
珀
寧々
珀
しばらく目を泳がせた後、パッと笑顔になってこう言った。
珀
珀
寧々
寧々
寧々
優
寧々
寧々
珀
珀
遥斗
遥斗
遥斗
寧々
遥斗
珀
たちまち珀は遥斗の手を掴んだかと思うと、そのままちぎれそうなくらい上下に腕を振った。
遥斗
珀
遥斗
寧々
優
寧々
珀
寧々
寧々
寧々
珀
珀
珀
寧々
珀
遥斗は第1体育館へ向かい、優はそのまま部室に残った。
寧々が部屋を出ようとした時、先程の少女に呼び止められる。
寧々
寧々
寧々
寧々
海月
海月
海月
寧々
海月
寧々
寧々
寧々
寧々
海月
美術室
───最初は「ガラガラ」だと思った。
でも、奥の方を見て気がついた。
室内に居る部員が全員、ある机に集まっているのだと。
海月
寧々
先輩の後に続いて人集りに近づいていくと、その中心に見知った顔がいた。
寧々
海月
寧々
寧々
深い紫色の髪を揺らして、鮎は振り返る。
鮎
寧々
美術部員
寧々
そうして、部員はある絵を見せる。
寧々
淡く、綺麗な水彩画だった。
美術部員
美術部員
美術部員
寧々
鮎
寧々
鮎
海月
その声に、机の人集りが一斉に顔を向ける。
寧々
海月
寧々
2年生だと思っていたため、寧々が驚いていると、
美術部員
美術部員
美術部員
──と、その人集りはあっという間に海月の方へ行ってしまったのだ。
私は、横目で鮎を見る。
少し、唖然としていたようだった。
寧々
海月
海月
鮎
鮎
海月
鮎
鮎
海月
海月
鮎
寧々
海月
寧々
海月
海月
寧々
鮎
寧々
寧々
海月
寧々
鮎
寧々
海月
寧々
海月
鮎
そうして、私たちはそれぞれ作品づくりに取り掛かった。
ダンッ
ダンッ
───ボールをつく音が、広い体育館に木霊している。
男子バスケットボール部員
右手のタオルで汗を拭いながら部員は言う。
バスケットボール部長
男子バスケットボール部員
バスケットボール部長
バスケットボール部長
まだ肌寒い時期と言っても、
走り続けてるとどうしても汗はかいてしまう。
そんな熱気を感じる体育館で、遥斗は休憩中だった。
遥斗
まだ荒い息を落ち着かせる。
遥斗
バスケットボール部長
遥斗
バスケットボール部長
遥斗
バスケットボール部長
遥斗
遥斗
男子バスケットボール部員
遥斗
遥斗
男子バスケットボール部員
そう言って気の毒そうに笑った。
男子バスケットボール部員
男子バスケットボール部員
男子バスケットボール部員
男子バスケットボール部員
バスケットボール部長
バスケットボール部長
遥斗
バスケットボール部長
遥斗
男子バスケットボール部員
バスケットボール部長
遥斗
男子バスケットボール部員
遥斗
遥斗
もし、異世界研究部であの体験をしていなかったら、
俺は、笑って「はい」と即答していただろう。
……でも、と思う。
優
遥斗
考え込む俺に疑問を持ち、部長が話しかけてこようとしたところで、
水を入れに行った先輩が帰ってきた。
男子バスケットボール部員
バスケットボール部長
男子バスケットボール部員
男子バスケットボール部員
バスケットボール部長
遥斗
バスケットボール部長
バスケットボール部長
男子バスケットボール部員
男子バスケットボール部員
遥斗
男子バスケットボール部員
そう言って先輩は左手に持っている塩分補給のタブレットを渡す。
男子バスケットボール部員
遥斗
遥斗
モヤモヤした気持ちを胸に抱きながら、遥斗は連に戻るのであった。
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