数時間後──
放課後
指定された場所へやってくると、竜一郎はすでに待っていた
竜一郎
待ってたよ
笑顔を向けてくるが、目はまったく笑っていなかった
美波は思わずたじろいだ
美波
……あ、あの……大事な話って…………
竜一郎
──回りくどいこと好きじゃねーから
竜一郎
単刀直入に言うね
真顔になり睨めつける
竜一郎
きのう、オレと佳澄ちゃんのあとをつけてたよな?
美波
……!
竜一郎
気づかないとでも思ってた?
竜一郎に咎められ、美波は足が竦んだ
竜一郎
どういうつもりで、オレたちを付けてたの?
美波
…………
竜一郎
なんか言えよ
ため息をつくとスマホを手に取り、画面をタップした
それを美波の目の前に見せる
スマホの画面には地図といくつもの位置情報が表示されている
竜一郎
“監視アプリ“って知ってる?
竜一郎
オレが使ってるヤツはさぁ
竜一郎
スマホの遠隔操作は、できねーんだけど
竜一郎
相手の番号を入れるだけで
竜一郎
地図上にそいつの位置情報を、知らせてくれんだよね〜
美波
…………
竜一郎
表示されてる番号って、お前のだよな?
竜一郎
これでもシラを切るつもりか?
どすを利かせ、問いつめる
竜一郎
オレね、好きな子とのデートを邪魔されんの大っ嫌いなの
美波
美波
……ご、ごめん……なさい…………
美波
……邪魔を……、するつもりは……なかったの…………
なんとか精いっぱいの謝罪をする
それでも竜一郎の突き刺すような視線は変わらない──
竜一郎
竜一郎
もう金輪際、連絡してこないで
美波
え?
竜一郎
オレを見かけても、話しかけたりしないでね
竜一郎
えーと──
竜一郎
──名前、なんだっけ?
美波
!?
竜一郎
まぁいいや
竜一郎
オレ、佳澄ちゃん以外興味なんてないし
美波
あ、待って……!
竜一郎は無視して立ち去る
茫然自失で彼を見送った
美波
(……なんで、こんなことに)
美波
(なったんだろう…………)
トボトボと歩く
美波
(わたしはただ……、成神くんに…………)
美波
美波
わたしなんかが……
美波
成神くんに告白しようとしたから、いけなかったんだ…………
美波
だから、こんなことになって…………
通行人
危ない!
美波
えっ?
キキー
衝撃を全身で受け、意識を失った
通行人A
何があったの?
通行人B
女の子が轢かれたんだ!
通行人C
嘘だろ? 信号赤になってたじゃん!?
通行人
とにかく救急車を呼んでくれ!!
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