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死ぬには少し勇気がいる

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死ぬには少し勇気がいる

第4話 - 授業名｢シュウヤ｣②

88

2021年04月30日

#ドラマ

#自殺

#心理

#ミステリー

まめたろう小説

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88

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こんばんわ！！

屋上から飛び降りる数分前

悲劇のヒロイン美都です！

美都

…

シュウヤ

あー、

シュウヤ

やっと美都ちゃんに分かってもらえるんだ

シュウヤ

自殺の素晴らしさを

えと

どうしてこうなったのか

簡単にチャット風に説明しますね

シュウヤ

ねぇねぇ！

シュウヤ

自殺しようよ😘

美都

オッケー！！OK(•ω<)✌

シュウヤ

じゃ、屋上で飛び降りね！

美都

👍

ハルキ

いや軽すぎだろっっ！！

ハルキ

しかも全然説明出来てないしっっ！

ハルキ

前作はもっと深刻だったぞっ！？

アカネ

あ、詳しく知りたい人は前作を見てねっ

カズキ

ちゃっかり宣伝すな

ハルキ

……ところで

ハルキ

授業が屋上になったから来てみたものの

ハルキ

何で俺たち全員あの2人から、こーんなに離れなきゃならないんだよっ

アカネ

仕方ないよ

アカネ

だってシュウヤ君が今回の主役だもん

アカネ

授業形態は変えられないよ

カズキ

…

｢やっぱり私は、カズキ君に生きていて欲しかったって思う…！｣

カズキ

(あの時の美都の言葉…)

カズキ

(俺信じてるからな)

カズキ

(ほんとに自殺しようとなんてしてないよな…)

カズキ

(美都…)

カズキ

(何か策があるんだろ？)

死野宮先生

では皆さん

死野宮先生

4時間目の授業を始めます

死野宮先生

｢シュウヤ｣

死野宮先生

今回のこの授業は、屋上で行います

シュウヤ

やっと始まるんだね

シュウヤ

美都ちゃん

シュウヤ

自ら死んだことがない奴が、自殺するんだ

シュウヤ

しかも飛び降りで！！

シュウヤ

ね…

シュウヤ

今どんな気持ち？

美都

そんなの知りたいの？

美都

やなこった

死野宮先生

では…

死野宮先生

授業を始めていきたいのですが…

死野宮先生

…

死野宮先生

どのように進めたら良いでしょうか

シュウヤ

うーんとりあえず

シュウヤ

先生は黙っててよ

シュウヤ

僕が全部進行するから

シュウヤ

僕たち以外のみんなは、遠くで固まっててよね

美都

…

シュウヤ

ところで

シュウヤ

美都ちゃん

シュウヤ

僕のこと嫌いって言ってたけど

シュウヤ

理由を教えてくれない？

美都

え、理由？

美都

いいけど

シュウヤ

あははっ！

シュウヤ

いいんだ！？

シュウヤ

もう少し躊躇するかと思ったけど、いいんだ？

美都

うん

美都

嫌いなものほど

美都

直接前からぶつからないとかっこ悪いじゃん

美都

陰でグチグチ言ってる方がダサいしね

シュウヤ

なるほどね

シュウヤ

君らしいや

シュウヤ

んで

シュウヤ

僕のどこが嫌いなのかな？

美都

基本的に全部

シュウヤ

あははっ

シュウヤ

じゃあいつから嫌い？

美都

…

美都

テレビ…

美都

テレビであんたを見たとき

シュウヤ

あー

シュウヤ

なるほどね

美都

そこから凄く嫌いになった

MC

さぁ、始まりました！！

MC

｢新人メンタリスト襲来！！｣

MC

本日のゲストは

MC

この俳優だーー！！

俳優

どうもー！

キャーーーーーーー！！

MC

えー、マッスル俳優として人気を集めていますが

MC

心理学に対してどのような印象を持っていますか？

俳優

そうですね

俳優

あんまり興味も無いし、僕はどんなメンタリストでも欺けると思いますね！

キャーーーーーーー！！

MC

おおっと！強気だぁ

MC

では、ここで

MC

今日の新人メンタリストのご登場だ！

秀也

こんにちはー

俳優

(ふん…、なんだガキか…)

俳優

(こんな番組さっさと終わらしてやるか)

俳優

…っ、、、

秀也

そうですよね？合ってますか？

俳優

いや……、それはっ

俳優

ネットが浮気浮気って騒いでいただけで…、、

秀也

だからあなたは女性関係でもだらしないんですよ

俳優

お前っ……、、まさか調べて…

秀也

いえいえ！

秀也

あなたの心を読んだだけです

秀也

事前に調査したりなんかしてないですよ

秀也

そうそう

秀也

あなたが今握っているその拳

俳優

…！

秀也

ムカついたり上手くいかなかったりすると、すぐ手が出るタイプですね？？

秀也

うーん

秀也

暴力はいけないなぁ

俳優

てめっ……！！

MC

わーー！！！

MC

一旦CM！CMーー！！

美都

あたしはあんたみたいに

美都

人を蹴落としてでも這い上がろうとする奴が

美都

大っ嫌い

シュウヤ

…

美都

だからあたしは

美都

別にあんたが死のうがどうしようが

美都

どうでもいいのよ本当は

シュウヤ

ははっ

シュウヤ

ならなんで自殺に反対するんだよ

美都

…

美都

私が

美都

私があんたと同じだったから

シュウヤ

は？

シュウヤ

…

シュウヤ

…

シュウヤ

同じって、

シュウヤ

まさか…

美都

私の父親は

美都

暴力夫だった

美都

私の父親は

美都

酒癖が酷くて

美都

嫌なことがあるとすぐ飲んで

美都

私やお母さんに手を出してた

美都

なんでこんな奴と

美都

なんでこんな奴と一緒に暮らさなきゃいけないんだって

美都

ずっと思ってた

美都

最後に家で笑ったのはいつだったかなって

美都

お父さん

美都

早く居なくならないかなって

美都

毎日考えてたよ

美都

でも

美都

ある日、学校の昼休み

美都

先生のもとへ電話がかかってきた

美都

死んだ…

美都

死んだって

美都

お父さんが亡くなったって、先生が教えてくれた

泣いた

勝手に涙が出てきた

やったぁ…って

やっと死んだって

泣きじゃくった私を先生が保健室で慰めてくれた

｢違うんだよ先生、嬉しいんだよ｣

なんて

流石に言えなかったけどさ

あの日

あの日だけは忘れない

染み付いた薬品の匂い

滲んだ先生の悲しそうな顔

時刻は午後4時55分

私が誕生した時間が指された

熱く焼けた夕日

真っ赤な顔

情けない顔

赤ん坊みたいだった

懐かしくてまた泣いた

泣けた

私が12歳になった日だった

ハルキ

だぁーー！！何回も言うけど

ハルキ

なんで俺たちは端にいなきゃなんないんだっ

カズキ

…

ハルキ

なぁ、カズキ！

カズキ

美都は…、

カズキ

あいつにも考えがあるんだろ

カズキ

美都が言ったんだよ

カズキ

俺たちは近づくなって

ハルキ

え、そうなの？

アカネ

なんで美都ちゃんが…？

アカネ

…

アカネ

まさか…、美都ちゃん本当に

アカネ

本当に屋上から…

カズキ

何にせよ

カズキ

あいつらが飛ぼうとした瞬間

カズキ

止める

ハルキ

カズキ…

カズキ

別に助けたいとかじゃねーよ

カズキ

ただ

カズキ

あいつには恩があるから

美都

あたしの父は勝手に死んだし

美都

中学からは毎日平和だった

美都

だから

美都

年数で言うと、シュウヤ君の悲しみや辛さは計り知れないと思う

美都

でも

美都

辛そうに自分の話をするシュウヤ君を見て

美都

なんか気持ちが分かった気がするんだ

シュウヤ

…

美都

だからね

美都

あんたのこと、もちろん気に入らないけど

美都

今は

美都

あんま嫌いじゃない

シュウヤ

…

シュウヤ

そんなことで僕を

シュウヤ

止められるとでも思ってる…？

シュウヤ

なら、僕を舐め過ぎ…

シュウヤ

僕はっ…

シュウヤ

僕の自殺は間違ってなんかいないし

シュウヤ

君の過去は確かに、僕と一緒だ

シュウヤ

でも

シュウヤ

やっぱり君はただの生存者に過ぎない

シュウヤ

だって自殺しなかったじゃないか…

美都

忘れた？

美都

あんたが死のうがどうしようが

美都

私にはどうでもいい

美都

そう言ったよね？

美都

ならどうして私は未だにシュウヤ君の死に反対するのか

美都

それは

美都

お母さんの事があったから

シュウヤ

！？

シュウヤ

……母さん

シュウヤ

だと…

美都

ってことでぇ…

美都

頭の手当てをしようか

美都

よっ…と

ヒタ…

シュウヤ

ちょちょちょ！？

シュウヤ

何っ、急に！

美都

いや

美都

傷に手当てしようかと思って

美都

頭んとこ

美都

お父さんにやられて、ケガしたんでしょ

美都

救急箱持ってきたんだ

シュウヤ

いやいやっ…！

シュウヤ

だってこれもう古傷だよ？？

シュウヤ

今さら手当なんて

シュウヤ

意味ないよ

シュウヤ

しかも生前の傷だし

美都

違うよ

シュウヤ

はい？

美都

それは古傷じゃないよ

シュウヤ

……は？

美都

…

美都

またお節介なこと言っちゃうけどさ

美都

…

美都

その傷は

美都

今…

美都

シュウヤ君が抱えてるまだ新しい傷でしょ

シュウヤ

……、、

シュウヤ

は…

シュウヤ

わけ分かんない…

シュウヤ

何が言いたいんだよ

美都

この傷は全然古くなんかない

美都

それは

美都

そして君が今抱えている傷

美都

勇敢に戦った勲章

美都

でしょ？

シュウヤ

…

シュウヤ

でも、僕は…

美都

自分じゃない誰かを、守ろうとしただけ

美都

優しすぎて、頑張りすぎちゃったんだね

シュウヤ

…っ

｢あなたは本当に優しい子…｣

｢長生きするのよ…、シュウヤ｣

母親

また怪我したの？

母親

こっちおいで

母親

手当てしてあげる

母親

またケンカしたの？

秀也(幼少期)

……

秀也(幼少期)

だって、、

秀也(幼少期)

…、、

秀也(幼少期)

転んじゃったんだもん…

母親

……嘘つかないの

秀也(幼少期)

…、、

母親

さっき、近所のお母さんから電話があったわ

母親

｢娘をいじめから助けてくれてありがとう｣

母親

ってね

秀也(幼少期)

…あ

母親

秀也

母親

また誰かを守ろうとしてケンカしたのね

秀也(幼少期)

えっと…

秀也(幼少期)

うん

母親

ねぇ、秀也

母親

あなたは本当に優しい子、誰よりもね

母親

心が優しくて

母親

私の自慢の子

母親

こないだも、母さんが父さんに殴られそうになった時も

母親

必死で守ってくれたわね

母親

私が守らなきゃいけなかったのに、ごめんなさいね

母親

もう二度と、あなたに怪我はさせない

秀也(幼少期)

でもあれは前のことだし

秀也(幼少期)

あ、ほら！

秀也(幼少期)

もうかさぶたも取れたし、大丈夫だよ

母親

いいえ

母親

良く聞いて秀也

母親

傷にはね

母親

種類があるの

秀也(幼少期)

しゅるい？

母親

そうよ

母親

勇気のあった傷

母親

頑張った傷

母親

悲しい傷

母親

中にはね、一生治らない傷もあるのよ

秀也(幼少期)

えー、だって傷のほとんどは綺麗に無くなったよー？

母親

心の傷って言ってね？

母親

目には見えなくても、誰にも気づかれなくも

母親

心だって傷が付くのよ

母親

そしてね

母親

一度心に傷がつくと、治るまでに物凄い時間がかかってね

母親

しかもその傷は、かさぶたにはならない

母親

ずっと血を流し続けるときもあるわ

秀也(幼少期)

そんなのやだ！

秀也(幼少期)

だって絶対痛いもん

母親

そう、痛いの

母親

すっごく痛いの

母親

でも安心してね

母親

いつかお母さんね、あなたとこの家を出ようと思うの

母親

あなたを傷つけるもの全てから

母親

守ってあげるからね

秀也(幼少期)

僕だって！お母さんを守るよ！

秀也(幼少期)

絶対ね！！

ひょいっ…

秀也(幼少期)

はいっ、お母さん小指！

母親

ふふっ

秀也(幼少期)

やーくそーくげーんまん…

秀也(幼少期)

うーそつーいたら針千本飲ーますっ♪

秀也(幼少期)

指切った♪

美都

えと…

美都

だから

美都

私はシュウヤ君じゃないからさ

美都

全部は分かってあげられないかもしれない

美都

ほら

美都

実際自殺もしてないし

美都

でも

美都

辛さ、悲しさ、憎しみは

美都

結構分かってる…、つもり

シュウヤ

…

美都

でもやっぱり

美都

君には生きていて欲しかった

シュウヤ

…

美都

たしかにテレビの中で見た君は、酷かった

美都

人を傷つけてまで売れる意味ってあるのかなって思ってた

美都

でも、お母さんからの言葉を見て分かった

美都

シュウヤ君は…、本当は

美都

人の痛みが分かる人だって

美都

本当は凄く優しい人だって

美都

この人は大人になったら、一体どれほどの人たちを救うのかな…って

美都

そう思ったら

美都

……、、

シュウヤ

…

美都

シュウヤ君の生きる様を

美都

見届けたかったな

シュウヤ

…

シュウヤ

母さんは僕を置いて死んだ

シュウヤ

僕も自分を捨てて死んだ

シュウヤ

それでいいんだ

美都

これ

美都

シュウヤ君の本だよね

シュウヤ

…！？

シュウヤ

どこにあったの！？

美都

図書室

美都

私もね、まさか無いよなって思ったんだけど

美都

もしかしたら…って探してみたの

シュウヤ

だから…、教室を飛び出して行ったの？

シュウヤ

僕の書いた本を探すために？

美都

だって本出したことあるって言ってたじゃない

美都

その人の考えを否定するには

美都

まずその人を知ってから

美都

ま、おばあちゃんの受け売りだけどね

シュウヤ

…

美都

…

美都

そこにね

美都

お母さんの言葉も書いてあったよ

シュウヤ

…

シュウヤ

は？

シュウヤ

いやいやいや……

シュウヤ

これは僕が書いた本だよ？？

シュウヤ

母さんの言葉が書いてあるわけ…

美都

あったんだよ

美都

多分出版する前、こっそり原稿を仕込んで置いたんじゃない？

シュウヤ

いや…、流石に気づく……

美都

あんた出版前にちゃんと確認しなかったんでしょ

シュウヤ

…、、

美都

お母さんの言葉

美都

きっとシュウヤ君に向けてのものだよ

シュウヤ

どっ、、

ペラ…

シュウヤ

どのページに…！

バッ！

シュウヤ

あっ！

シュウヤ

ちょっと…！

美都

じゃ

美都

飛ぼうか

シュウヤ

へ…？

美都

フェンスの向こう側へ

ハルキ

なぁ

カズキ

あ？

ハルキ

もしかしてあいつ、飛ぶ気は無いんじゃないか…？

アカネ

どゆこと？

ハルキ

いや、話で解決するっていうか

ハルキ

最初はさ、いいよー飛ぶよーみたいな感じだったけど

ハルキ

実際美都は飛ぶ気は無くて

ハルキ

言葉で

ハルキ

言葉だけであいつを救おうとしてるんじゃないか？

アカネ

でも、

アカネ

そんなことできる？相手はシュウヤ君だよ？

ハルキ

カッチカチに頭が固まったカズキを改心させた奴だぞ

カズキ

おいなんつった

ハルキ

もしかしたらシュウヤも…

アカネ

…

アカネ

ハルキ君…はさ

ハルキ

ん？

アカネ

自分の自殺に…

アカネ

…、、

アカネ

ううん、何でもない…！

ハルキ

そうか？

アカネ

…

カズキ

…！？

カズキ

おい！！

カズキ

何やってんだ！？

ハルキ

美都っ！？

アカネ

美都ちゃんっ！！

シュウヤ

なっっ…！？

美都

うーん

美都

風が気持ちいいー！

死野宮先生

美都さん！？

ダダダダダダッ…

アカネ

み、美都ちゃん…

ハルキ

美都！

カズキ

美都っ…

ガシャ…

美都

来ないで

美都

来たら今飛ぶ

カズキ

っ…

シュウヤ

待って！

シュウヤ

美都ちゃん…、話を…

美都

あんたが飛ぶって言ったんでしょ

シュウヤ

それはっ…

シュウヤ

そうだけど……

美都

じゃあ

美都

あたしが今飛び降りようが何しようが、どうでもいいよね？

シュウヤ

っ……

美都

言ったよね？

シュウヤ

…、、、

カズキ

美都…、お前

カズキ

本気で…、、、？

美都

あたしは本気

美都

で

美都

あんたはどうすんの

シュウヤ

っ…、、、

美都

自殺したこともない

美都

死のうとしたことすら無い

美都

みんなの自殺に反対し続ける

美都

このあたしが

美都

飛び降りるって言ってんのよ

シュウヤ

…

美都

言い出しっぺのあんたは

美都

どうして

シュウヤ

…、、、

美都

そんな顔してんのよ

アカネ

美都ちゃん、お願い

アカネ

こっち戻って！！

ハルキ

美都っ…、分かったから、

ハルキ

分かったから落ち着い…！

美都

私も

ハルキ

へ………？

美都

私がもし

美都

生前

美都

君らとどこかで会っていたならば

美都

きっと私も

美都

今のあんた達みたいに

美都

必死で止めただろうな

ハルキ

あ……、、

カズキ

美都………

アカネ

…

美都

…

美都

クスッ……

バッ…！！

カズキ

美都！？

美都

人の気持ちが分かる人間になりなさい

ガシッ…！

ハルキ

！！

カズキ

っ！？

アカネ

シ…

美都

……やっぱり

シュウヤ

くそっ…、、！

アカネ

シュウヤ君…、、

アカネ

君…

シュウヤ

はぁっ…、、

シュウヤ

…？

シュウヤ

えっ………

美都

君は私の背中を引っ張って、自殺を止めようとした

美都

そういう事で

美都

OK？

シュウヤ

どうして…、、落ちてないんだ…？

ハルキ

美都、お前！？

ハルキ

宙に浮いてるーーー！？

ばばーん！

美都

はっはっはっ！

美都

生きてるどー！！

ハルキ

まぁ、ここにいる以上生きては無いけどなっ？

ハルキ

ていうか、どうなってんだ？

ハルキ

てっきり屋上から飛び降りたと思ったのに…、、

美都

忘れた？

美都

あたしが初めて自決の学級に来たとき…

第1話

美都

ごめんあたし…

美都

帰らなきゃっ…！

ガンッ！

美都

Nooooooooooooo！！

ハルキ

ああ…

ハルキ

いやだからどういう事！？

アカネ

あっ、分かったかも

ハルキ

えっ

アカネ

授業が終わるまで、私たちは教室から出られない

アカネ

つまり…

アカネ

今回は屋上で授業をやったから

アカネ

たとえ飛び降りたとしても、屋上からは出られないんだよ

ハルキ

なっ…！？

ハルキ

なるほど納得！

美都

あたしだって、流石に結界無しで飛び降りるのは無理だよ

カズキ

なんだよ…、びっくりさせやがって

美都

あ、そういえばカズキ君も止めようとしてくれたよね？

カズキ

え

カズキ

いや

美都

えー？だって手伸ばしてたじゃん

カズキ

それはっ……、違くてだな…

アカネ

とにかく

アカネ

死のうとしてたんじゃなかったんだね、良かったぁ…

美都

まあねー

美都

あ

美都

とりあえず下りていい？

ハルキ

つまりまとめると、

ハルキ

お前は本気で自殺しようとしてたわけじゃなく、

ハルキ

シュウヤと一緒に自殺するフリをして、俺たちをはめたってことか！

美都

うん、言い方悪いけど

美都

そんな感じ

美都

先生は初めから気づいてましたよね？

死野宮先生

ええ

死野宮先生

私が授業で張る結界は強力ですから

死野宮先生

屋上から飛び降りれないのは分かっていました

アカネ

でも、

アカネ

ならどうして飛び降りようなんて言ったの？びっくりしたわよ

カズキ

それはこいつの本心を探る為だろうな

シュウヤ

…

カズキ

なんで咄嗟に美都を助けた

シュウヤ

…、、

美都

…

美都

シュウヤ君…

美都

シュウヤ君さ…、、

美都

本当は

美都

自分の自殺に反対してくれて

美都

嬉しかったんじゃないの？

シュウヤ

…！

美都

屋上から飛び降りようって言ったのも

美都

きっとあたしがまた止めてくれるって

美都

また反対してくれるって

美都

信じてたんじゃないの？

美都

さっき…、

美都

自分が自殺したのは、間違ってなかった

美都

正しかったんだ…って

美都

シュウヤ君何度も何度も言ってたけど

美都

あたしには…、全部

美都

生きたかったって聞こえた

シュウヤ

…

美都

それともう1つ

美都

あたしを止めた理由…、

美都

シュウヤ君、

美都

お母さんからの最後のメッセージ

美都

読もう

シュウヤ

……

シュウヤ

読んだら…、

美都

えっ？

シュウヤ

読んだら何か変われるのかな…

シュウヤ

僕も

シュウヤ

また変われるのかな

美都

変わる必要はないと思うよ

美都

シュウヤ君はもう

美都

とっくに見つけてる

私は

シュウヤ君と一緒に

最後のページをめくった

そこには…

秀也へ

秀也、お母さんです

元気にしてますか？

今これを読んでる頃には、お母さんはもうこの世にはいないでしょう

………秀也

ごめんね

先に死んでごめん

逃げてごめん

秀也を置き去りにしてごめん

本当にごめんなさい

…………

お父さんが仕事辞めて、暴力を振るい始めたとき

絶対にあなたを守るって決めたのに

やっぱり母さん弱かったわね

ダメなお母さんでごめん

息子1人守り切ることが出来ないなんて、母親失格よね…

秀也…………

母さんの最後のわがまま聞いてね

…………

生きて

生きて

生き抜いて

母さんがこの世から居なくなったら

お金が入るようになってるから

そのお金でどこか遠いところへ逃げて

父さんから逃げて…

どうか幸せになってね

秀也はたくさんお金を稼いで、私と逃げようとしてくれたわね

でもね

人を見下して、人を傷つけて

儲けることが出来るのは、傷ついたお金だけ

そんなお金なんかで、人は幸せにはなれないのよ

だからね

もういいの

母さんのことなんか忘れて、自由に生きて

ね？秀也

母さんは

旅立つことにしたけど……

あなたはきっと生きてね

わがままな母親だけど

生きることは

とにかく素晴らしく価値があるものなの

秀也、愛してる

幸あれ

そこには、

シュウヤ

かっ…

シュウヤ君のお母さんが

こっそりシュウヤ君の本に忍ばせた

メッセージがあった

シュウヤ

母さん……

シュウヤ

なんでこんな………

シュウヤ

直接言ってくれよ……

シュウヤ

遅いよ…

シュウヤ

もっと早く言ってくれよ………

どこの教科書にも載っていない

シュウヤ

………つっ

学校でも教わらなかったことを

シュウヤ

こんなっっ

死んでから教わっていく

これが

自決の学級なんだと

シュウヤ

ただ母さんと幸せの暮らしたかった

シュウヤ

それだけなんだ……

美都

…

私はこの時初めて、深く理解した

シュウヤ

母さん…

シュウヤ

弱くてごめん……

シュウヤ

死んでごめんなさい……

シュウヤ

母さんの気持ちを汲み取ってあげられなくて、ごめんなさい……

シュウヤ

馬鹿でごめんなさい………

人は傷ついて

シュウヤ

ごめんなさい…、ごめんなさい……

シュウヤ

……、、

知っていく

シュウヤ

分かってたんだ

残酷の繰り返し

シュウヤ

心のどこかでは分かってたんだ…、、

シュウヤ

母さんはきっと何かを僕に教えようとしてるんだって…

シュウヤ

命に替えてでも伝えたいことがあるって…

シュウヤ

でも、、

シュウヤ

自分がしたことに言い訳が欲しかった…

シュウヤ

自殺したことは間違いじゃなかったって

シュウヤ

そう思い込んでないと、立っていられなくてさ

シュウヤ

母親から死を教わったなんて……

シュウヤ

死を正当化したくて

シュウヤ

俺は母親の死に目を背いていたのは自分だった…

シュウヤ

それなのに、それなのに…

シュウヤ

また生きたいだなんてさ…

シュウヤ

僕はっ…！

生きることはきっと

シュウヤ

…

シュウヤ

本当のバカだ

何よりも難しい

美都

…

美都

ねぇ、

美都

もしあんたがまた

美都

道に迷って

美都

飛び降りたくなったら

美都

あたし

美都

屋上でも何でも一緒に飛ぶからね

シュウヤ

へ…？

美都

今度は本気よ

美都

それでシュウヤ君が変われるんなら

美都

あたし何回でも飛ぶから

シュウヤ

(そんなこと、、)

シュウヤ

(言ってくれるの…？)

シュウヤ

(僕に…)

シュウヤ

(あんな酷いこと言った僕に…？)

シュウヤ

…

シュウヤ

うっ…、、

美都

え？

その時のシュウヤ君の泣き声は

きっとあの世とこの世

両方に響くくらいうるさかった

ガラッ！

ハルキ

無事生還ーー！！

クラスメート

いやいや、一時はどうなるかと思ったよ

クラスメート

でも久々の刺激だったー！

シュウヤ

グスッ……

バゴッ！

シュウヤ

うわっ！？

ハルキ

ほらほら、元気出せって！

ハルキ

何だよー！あんだけ死ぬ死ぬ言ってたのに、ぴーぴー泣きじゃくってよ！

シュウヤ

だって…、、

アカネ

いやー、途中からほんとに美都ちゃんが飛び降りちゃうかと思ったー

美都

うん、実はあたしも途中から本当に落ちるんじゃないかってヒヤヒヤしてたよ…

アカネ

あはははっ

ハルキ

ま、解決したみたいだし

ハルキ

一件落着…

カズキ

まだだ

ぐいっっ！

シュウヤ

うわあっ、今度は何…！

ドサッ…

シュウヤ

イテテテ…

シュウヤ

あ…

美都

…

カズキ

お前は美都に言うことがあんだろ

シュウヤ

えと…、、

美都

あ、いいよ別にそんな！

美都

全然気にしてないって言うか…

カズキ

ダ・メ・だ

美都

(うっ、圧が凄い…)

シュウヤ

ごめんっっ…！！

美都

…、、

カズキ

……口先だけなら何とでも

シュウヤ

ほんとにごめん…

カズキ

…

シュウヤ

落ちなかったとは言え、危険な目に合わせたよね

シュウヤ

僕のせいだ

シュウヤ

ごめん

シュウヤ

それと…

シュウヤ

美都ちゃんも父親に暴力を振るわれてたなんて

シュウヤ

知らなかった…

シュウヤ

いや知ろうとしなかった

シュウヤ

心から謝るよ

シュウヤ

ごめん

美都

シュウヤ君

美都

もういいよ

美都

充分伝わったよ

カズキ

俺はまだ全然納得してな…

美都

カズキ

美都

もういいから

カズキ

…、、

ハルキ

あ、呼び捨てになった

アカネ

ほんとだ

美都

えっ？

美都

あ、ごめん！なんか咄嗟に出ちゃって…

カズキ

別にっ…、、

カズキ

呼び捨てでもいいけど…

美都

そうなの？

美都

なら呼び捨てにするよ！

美都

これからもよろしくね、カズキ

カズキ

…！

カズキ

お、おう……、、///

ハルキ

え、何この展開

死野宮先生

では、｢シュウヤ｣の授業を終了します

死野宮先生

お疲れ様でした

死野宮先生

では連続して授業が続いたので

死野宮先生

皆さん長めの休憩を取ってください

クラスメート

はーい！

美都

長めの休憩？

美都

いつもの休憩となんか違うの？

アカネ

うん、だいぶ違うよ！

アカネ

長めの休憩ってのは、睡眠を取れってことなんだ

アカネ

だから各自寝る時間…？って感じ

美都

あ、この世界でも寝ていいんだ

アカネ

流石に長時間授業はきついよー

美都

だね

アカネ

私はいつもそこら辺にマット敷いて寝てるんだ！

アカネ

そうだ

アカネ

せっかくだし一緒に寝ようよ！

美都

うん！

美都

…

美都

…

美都

…

シュウヤ

美都ちゃん

美都

うわっ…

シュウヤ

シーーーー…

美都

あ…

ハルキ

ぐおーーー、スピピピ……

美都

コソッ…

美都

どうしたのよ、寝れないの…？

シュウヤ

いいからちょっと来て

美都

へー

美都

中庭もなかなかね

シュウヤ

つけられてない？

美都

へ？

美都

いや、つけられてないと思うけど…

美都

何の話よ？

美都

(ははーん、まさかあたしに惚れちゃったとか…)

美都

(んで、中庭に呼び出して告白しようってわけか…)

美都

(困るなー、これだからモテる女はつら…)

シュウヤ

そんなんじゃないから

美都

はうっ…、心を読まれた！？

美都

流石元メンタリストだわ…

シュウヤ

話したいことってのは、そんなことじゃない

シュウヤ

最初から君には絶対に言っておこうと思ってた

シュウヤ

耳貸して

美都

何？

シュウヤ

コソッ…

美都

…

美都

…

美都

…

シュウヤ

…、、

美都

ごめ…、、

美都

なんか…

美都

よく分からなかったって言うか…、、

美都

聞こえなかったていうか…、、

シュウヤ

確証は無いけど

シュウヤ

おそらく間違いないよ

アカネ

美都ちゃん？

美都

ビクッ…！

美都

あ

美都

ちょっと寝れなくて散歩に行ってたんだ

アカネ

そっか美都ちゃんまだ慣れてなくて、寝にくいもんね

美都

はは……

美都

…

美都

…

美都

チラッ…

シュウヤ

コクッ…

美都

…

美都ちゃん

君を自殺に偽装し、

殺した犯人が…

この教室にいるんだ

この

自決の学級にね

次回

近日公開