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美 咲
美 咲
千 佳
美咲と手を振って別れて、改札をくぐる。
今日も楽しかった。
カラオケで歌って、プリクラ撮って、たくさん笑った。
電車に乗って、空いてる席を見つけて座る。
疲れた体を座席に預けて、ふうっと息をつく。
何気なく車内を見渡したとき、 私の視線はある人物に釘付けになった。
吊り革に掴まって立っている男子高校生。
心臓が、ドクンと大きく跳ねた。
なに、これ。
目が離せへん。
彼が少し動くだけで、視線が勝手に追いかけてしまう。
スマホを見てる横顔。
少し猫背な姿勢。
夕日に照らされた黒髪。
胸がギュッと締め付けられる。
息ができへん。
こんな感覚、初めてやった。
私、男子から告白されたことある。
でも、こんな風に誰かのことを見つめた事なんて 一度もなかった。
誰かを「 見ていたい 」なんて思ったことも。
どうして、こんなに。
なんで、目が離せへんの。
< 次は、南町です >
はっと我に返った。
もう降りる駅や。
立ち上がって、扉が開いて、ホームに降りる。
心臓がまだバクバクしてる。
手のひらが汗ばんでる。
何やったんやろ、今の。
改札に向かおうとしたとき、背後から足音が聞こえた。
振り返ると
さっきの、あの人やった。
同じ駅で降りた。
彼は私に気づく様子もなく、改札へと向かっていく。
背が高い。
リュックを片方の肩だけに掛けてる。
改札を抜けて、駅前の方へ消えていった。
私はその場に立ち尽くして、胸に手を当てた。
まだドキドキが収まらへん。
何、これ。
何なん、この気持ち。
[ 次の日 ]
美 咲
美 咲
千 佳
教室に入ると、美咲が手を振ってくれた。
美 咲
美 咲
美 咲
七 海
七 海
周りの友達も集まってきて、みんなでワイワイ話す。
いつもと同じ朝。
いつもと同じ教室。
でも私の心の中だけが、少し違っていた。
昨日の電車の中で見た、あの人。
帰ってからもずっと頭から離れんかった。
寝る前も、朝起きたときも、 あの横顔が脳裏に浮かんでくる。
美 咲
千 佳
美咲が不思議そうに私の顔を覗き込んで来た。
美 咲
美 咲
千 佳
美 咲
美 咲
美咲はニヤニヤしながら私の肩を突いてくる。
美 咲
千 佳
美 咲
美 咲
美咲の追及が止まらへん。
私は困って、視線を逸らした。
千 佳
美 咲
千 佳
美 咲
美 咲
愛 梨
愛 梨
愛梨まで巻き込んで、私はもう顔から火が出そうやった。
千 佳
千 佳
美 咲
美 咲
美 咲
美咲が優しく笑いかけてくれた。
千 佳
『 親友 』
そう、美咲は私の一番の親友。
幼馴染で、何でも話せる相手。
でもこれだけは、まだ言えへん。
やって、自分でもよく分からんから。
この気持ちが何なのか。
あの人のことをどうしてこんなに考えてしまうのか。
あの人に、また会えるかな。
授業中も、そんなことばっかり考えてた。
ノートに書いた文字も、全然頭に入ってけえへん。
先生の声が遠くに聞こえる。
窓の外を見ると、雲が流れていく。
また、あの人に会いたい。
そう思ってる自分に、私自身が一番驚いてた。
✧ 次回予告 ✧
千佳は偶然、あの人が同じ高校の先輩だと知る。
そして美咲の提案で、思い切った行動に出るのだが──。
第 2 話 「 勇気のDM 」
つづく