沢田マリカ
沢田マリカ
川野聖子(医師)
川野聖子(医師)
川野聖子(医師)
しかし川野医師が彼女を診察した際
彼女の身体のどこにも傷は見られなかった
川野聖子(医師)
川野聖子(医師)
沢田マリカ
通常、傷口が浅ければ跡が残ることは殆どないが
深い傷は白く変色して残ることがある
その白い線が
彼女の背中や足、腕等に無数に見られたと言う
芹沢大和
芹沢大和
川野聖子(医師)
沢田マリカ
沢田マリカ
川野聖子(医師)
川野聖子(医師)
沢田マリカ
沢田マリカ
加害者の男性は拉致したことを完全に認めていた
完全に認めた上で
彼女の受けた虐待のことを訴え続けていた
さらに妙なことは
別の臨床心理士が被害少女の家を訪ねた際
一度も本人に会えなかったと言う話だ
芹沢大和
沢田マリカ
沢田マリカ
川野聖子(医師)
芹沢大和
加害男性の言葉を鵜呑みにすることはできない
だがもしそれが真実だったなら
彼女は再び家族から虐待を受けている可能性がある
私も気になって様子を見に行きたいと思うけれど
私が加害者と被害者を同時に担当することはできない
モヤモヤした気持ちを抱えながら
私は再び男性の元へと向かった
面会は十五分と言う短い時間しか与えられていない
時間になって部屋に入ってきた男性は
前回よりも落ち着いた様子だった
三村優真
三村優真
その目は真剣そのもので
少女の話をしている時の彼は
本気で彼女を心配しているように見えた
沢田マリカ
三村優真
私はタイマーをセットして
同時にボイスレコーダーを起動させる
男性は時々、祈るような仕草を見せながら
チラチラと私の方を見ていた
沢田マリカ
三村優真
沢田マリカ
三村優真
沢田マリカ
沢田マリカ
渇愛と言うのだろうか
彼は愛と言うものにかなり執着しているようだった
ただ純粋に愛を求めていたにすぎない
しかしその愛情は
時に鋭い刃のように
女性に向けられてしまう
これまで何人もの女性が
その刃から逃げてしまったようだ
ただ純粋に愛を求めていただけなのに
そしてその愛に答えたのが彼女だったのか
男性はしきりに彼女のことを気にしていた
沢田マリカ
残り時間はあと7分
このわずかな時間にどこまで聞けるのか
高鳴る胸の鼓動を押さえつつ
私は耳を傾けた
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