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偽装葬儀屋

いらっしゃいませ

タカミネ ユウイチロウ

え、すいません

タカミネ ユウイチロウ

体が勝手に…

偽装葬儀屋

はい、ここはそういうお店です

ササキ ハナ

ユウイチロウさん

ササキ ハナ

なんか、怖い…

偽装葬儀屋

怖がらしてしまい申し訳ありません

タカミネ ユウイチロウ

で、俺たちなんでこんなところに…

偽装葬儀屋

お客様方

偽装葬儀屋

死にたいと思ったことはありますか?

タカミネ ユウイチロウ

え、どうして…

ササキ ハナ

ある…あります!

偽装葬儀屋

このお店は

偽装葬儀屋

本気で死にたいと願った者にだけドアが開く

偽装葬儀屋

そういうお店でございます

タカミネ ユウイチロウ

は、はぁ…

偽装葬儀屋

ではお客様方

偽装葬儀屋

お客様方が自殺した後、周りの人がどういう反応をするのか気になったりは致しませんか??

ササキ ハナ

とっても気になります!

タカミネ ユウイチロウ

おいハナっ

偽装葬儀屋

ここでは、それを知ることができます

ササキ ハナ

もっと具体的に教えてくださいっ

偽装葬儀屋

これからお客様方に死んでもらいます

タカミネ ユウイチロウ

はっ?

偽装葬儀屋

もちろん、実際には死にませんよ

偽装葬儀屋

少しの間眠りについてもらうのです

偽装葬儀屋

お客様方が眠ってる間

偽装葬儀屋

世間では死んでしまったとみなされ葬儀が行われます

偽装葬儀屋

その葬儀の様子や周りの人の反応、言葉

偽装葬儀屋

全て見ることができます

タカミネ ユウイチロウ

そんなことが…できるんですか??

偽装葬儀屋

はい、ここは

偽装葬儀屋

偽装葬儀屋ですので

タカミネ ユウイチロウ

偽装…葬儀屋…

ササキ ハナ

やりたいです!

ササキ ハナ

ぜひやらしてくださいっ

タカミネ ユウイチロウ

ちょっと、ハナ!?

ササキ ハナ

いいじゃない!

ササキ ハナ

やりましょうよ!ユウイチロウさん!

タカミネ ユウイチロウ

でも…

偽装葬儀屋

やるということでよろしいですか?

ササキ ハナ

はいっ!

タカミネ ユウイチロウ

俺は…

偽装葬儀屋

葬儀される側は、1人で行うものです

偽装葬儀屋

ササキ様はササキ様

偽装葬儀屋

タカミネ様はタカミネ様で行います

偽装葬儀屋

タカミネ様は偽装葬儀屋を受けなくてもよろしいですよ

ササキ ハナ

いいじゃん、やろうよユウイチロウさん

タカミネ ユウイチロウ

せっかくだし…

偽装葬儀屋

了解致しました

偽装葬儀屋

では、いくつか注意事項がございます

偽装葬儀屋

まず、費用はいただきません

タカミネ ユウイチロウ

えっ、タダってことですか??

ササキ ハナ

いいじゃんっ!

偽装葬儀屋

大切なのはここからです

偽装葬儀屋

偽装葬儀は気楽に「死」を軽んじる行為です

偽装葬儀屋

代償は高くつきます

ササキ ハナ

えっ、タダじゃないんですか?

偽装葬儀屋

はい、代金はいただきません

タカミネ ユウイチロウ

代償って、なんですか?

偽装葬儀屋

本来なら葬儀は人生で二度は行えないものです

偽装葬儀屋

お客様の死後、葬儀は行えません

タカミネ ユウイチロウ

どういうことですか?

偽装葬儀屋

お客様の死後、存在自体消えてしまうということです

偽装葬儀屋

お客様が死んだ時

偽装葬儀屋

誰も葬儀を行えません

タカミネ ユウイチロウ

なるほど、死者を忘れれば葬儀なんてできませんもんね…

偽装葬儀屋

それと

偽装葬儀屋

場合によっては偽装葬儀後

偽装葬儀屋

お客様が自殺する可能性もございます

偽装葬儀屋

偽装葬儀屋では一切責任を負いません

ササキ ハナ

大丈夫です、お願いします

偽装葬儀屋

タカミネ様はどうなさいますか?

タカミネ ユウイチロウ

お願い…します…

偽装葬儀屋

承知いたしました

偽装葬儀屋

なお、偽装葬儀後はお客様以外の偽装葬儀に関わった人の記憶は消えてしまいます

偽装葬儀屋

安心して死んでください

タカミネ ユウイチロウ

安心て…

偽装葬儀屋

それではこちらでお休みになってください

ササキ ハナ

わぁ、棺だっ

偽装葬儀屋

おやすみなさいませ、いい夢を

タカミネ ユウイチロウ

(あっ、俺の葬儀だ…)

高嶺 優作

全くあのバカ息子は…

高嶺 優作

俺の後を継ぐんじゃなかったのかっ

高嶺 優作

あんな女と一緒に死ぬなんて…

高嶺 明子

ちょっとお父さん…

高嶺 明子

きっと優一郎も幸せでしたよ

高嶺 明子

私たちが、認めてあげればよかったんです…

タカミネ ユウイチロウ

(結局、両親とは分かり合えなかったな…)

タカミネ ユウイチロウ

(親父にはいつも怒られてばかりで)

タカミネ ユウイチロウ

(どんなに頑張ったって、後を継いでくれなんて言ってくれなかった…)

高嶺 優作

バカやろう…

高嶺 優作

俺、俺はっ…

高嶺 優作

あいつに優しくできなくて、いつも叱ってばっかだった…

高嶺 明子

そうね、あなたは不器用で

高嶺 明子

あの子は愛されてないんじゃないかなっていつも不安になってた

高嶺 明子

でも、あなた一度だけ褒めた時あったでしょ?

高嶺 明子

あの子、すごく喜んでた

高嶺 優作

そっ、そうか…

高嶺 優作

俺はあいつに後を継いで欲しかった…

高嶺 優作

でもあいつ夢があるんじゃないかって…

高嶺 優作

その夢を壊しちゃいけないって

高嶺 優作

俺は、なかなか言い出せなかったんだ…

タカミネ ユウイチロウ

(そ、そうだったのか…)

タカミネ ユウイチロウ

(俺は、後を継ぎたいと思ってたよ!)

タカミネ ユウイチロウ

(死ぬ前に気がつけてよかった…)

タカミネ ユウイチロウ

(ちゃんと、伝えよう!)

佐々木 美代子

あの子…心中なんて…

佐々木 美代子

一体何を考えてたのかしら…

佐々木 俊輔

しらねぇよ、あいつの考えてることなんて

ササキ ハナ

(あ、私の葬儀だ…)

佐々木 俊輔

もっと保険金かけとけばよかったな

佐々木 美代子

ちょっと、不謹慎よ

佐々木 俊輔

だってそうだろ?

佐々木 俊輔

彼氏連れてきたと思えば金持ちの坊ちゃんで

佐々木 俊輔

俺らもウヒャウヒャだったのに

佐々木 俊輔

相手の親に猛反対されてたんだろ?

佐々木 俊輔

そりゃそうだろうよ、貧乏娘が玉の輿とかありえねーよ

佐々木 俊輔

挙げ句の果てに自殺の原因が俺らになるとか

佐々木 俊輔

いい迷惑だわ

佐々木 美代子

それもそうだけど…

佐々木 俊輔

あー、失敗したわ

ササキ ハナ

(そんなこと思ってたなんて…)

ササキ ハナ

(私もう生きてたって意味ないじゃないっ)

ササキ ハナ

(本当に優一郎さんと自殺してやる)

偽装葬儀屋

おはようございます

偽装葬儀屋

いい夢は見られましたか??

タカミネ ユウイチロウ

まぁ、はい…

ササキ ハナ

ユウイチロウさん

ササキ ハナ

ここを出たら話があるの

タカミネ ユウイチロウ

ん?わかったよ

偽装葬儀屋

これからの人生、お客様がどうお使いになっても

偽装葬儀屋

偽装葬儀屋は一切責任を負えません

偽装葬儀屋

それでは、良い人生を

タカミネ ユウイチロウ

花、俺

タカミネ ユウイチロウ

親に伝えなきゃいけないことがあるんだ…

ササキ ハナ

優一郎さん

ササキ ハナ

一緒に死にましょう??

タカミネ ユウイチロウ

え?

ササキ ハナ

私、いらなかった子みたい…

タカミネ ユウイチロウ

何言ってるんだよっ

タカミネ ユウイチロウ

さっきの葬儀で何か見たのか?

ササキ ハナ

私たち、死んでやり直しましょうよ

ササキ ハナ

貧富の差なんてないところで…

タカミネ ユウイチロウ

えっ…

ササキ ハナ

自殺の名所があるの、行きましょう

タカミネ ユウイチロウ

ちょっと!強引だな

ササキ ハナ

いいじゃない、どうせ死ぬんだから…

タカミネ ユウイチロウ

おいっ、離せよ!

タカミネ ユウイチロウ

おいっ!

ササキ ハナ

生きてたって、私たちは結ばれないもの

ササキ ハナ

死んで楽になりましょうよ

タカミネ ユウイチロウ

(た、たしかに…)

タカミネ ユウイチロウ

(俺は花が大好きだ)

タカミネ ユウイチロウ

(でも…)

ササキ ハナ

ね?優一郎さん?

ササキ ハナ

さん、にー、いちで飛びましょう?

タカミネ ユウイチロウ

あ、あぁ

ササキ ハナ

さんっ

ササキ ハナ

にー

ササキ ハナ

いちっ

ササキ ハナ

それでいいの

ササキ ハナ

愛してるわ、優一郎さん

7年後…

高嶺 優作

優一郎…

高嶺 優作

俺はもう長くない…

高嶺 優作

母さんと、会社のこと、頼んだぞ

タカミネ ユウイチロウ

わかった、わかったよ父さん!

タカミネ ユウイチロウ

あとは僕に任せて、ゆっくり休んでね

高嶺 優作

ありがとう…

高嶺 優作

お前は俺の自慢の息子だよ…

ピーーーーーー

あれから7年

俺は父さんの意思を継いで会社を継いだ

今では結婚をして1人の子供に恵まれている

春には男の子も生まれる予定だ

7年前、俺はどうしてあの場所にいたのかわからない

誰かと一緒にいたような、そんな気もする

しかし、思い出すも何も記憶はすっぽりと抜けていて

7年前のあの日の記憶は存在自体消えてしまった。

ふと、あの葬儀屋の前を通った

そこには木が生い茂るばかりで何もなかった

高嶺 花

おとさーん

高嶺 花

はーやーくー!

タカミネ ユウイチロウ

今いくよ〜

娘が行きたがってた場所は

7年前、俺が意味もなくいたビルの近くだった

不意に、上を見上げると声がした気がした

愛してるわ、優一郎さん

俺は恐ろしくなって、足早にその場所を去った…

偽装葬儀屋

タカミネ様は生存

偽装葬儀屋

ササキ様は自殺、と…

タカミネ様はその後

孫を見てすぐ息を引き取った

彼は最後まで、ササキ様を思い出すことはなかった

偽装葬儀屋

No.7776

偽装葬儀屋

「許されざる恋の葬儀」

またのお越しをお待ちしております

この作品はいかがでしたか?

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コメント

9

ユーザー

面白かったです!!

ユーザー

公式LINEで……!!凄い! ポンさんからも……羨ましい笑

ユーザー

めっちゃ面白かった!

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