会社
春奈
(ウタさんて部長のことが好きだったんだ…)
春奈
はぁ…
修治
おーい、春奈。もう定時だぞ
春奈
あ!本当だ!教えてくれてありがとう
修治
おう。なあ、もしよければこのあと飯でもどうだ?
春奈
あー、ごめん。今日ちょっと行くとこあるから
修治
そっか…じゃあ、また今度行くか
春奈
ホントごめんね…!じゃあまた!
春奈
(ウタさんには会いづらいけど、部活は楽しいからまたゲームしちゃお)
VRゲーム内
女子バレーボール部部長
ナイストスー!…はっ!
バンッ
ハル
ナイスです!
女子バレーボール部部長
ハルちゃんもね!
ハル
(部長ってさわやかだし、さばさばしてて頼れるし)
ハル
(私はウタさんの好みとは違うな…)
女子バレーボール部部長
ハルちゃん、そんな顔してどうかし――
女子
きゃああ!ウター!
女子バレーボール部部長
はぁ…また違う部の奴が入り込んでる。ここはコンサート会場じゃないって!
ハル
はは…部長も大変ですね…
ハル
(まあ一番大変なのはウタさんだろうけど…)
ウタ
……!
ハル
(やばっ。今、ウタさんと目が合った?気のせいだよね…)
女子バレーボール部部長
ハルちゃんどうかした?
ハル
い、いえ!なんでもないです!続きやりましょう!
女子バレーボール部部長
そうだね。もうあれは無視で!
ハル
はい!
ハル
(咄嗟に目逸らしちゃったけど、変な誤解されないよね?)
ハル
って、何を誤解するの!
女子バレーボール部部長
うわ、びっくりした…どうしたの?
ハル
な、なんでもありません…!
1時間後
ハル
はぁ…色々気になって今日は集中できなかったな
ハル
(ウタさんまた告白されてたけど、部長が好きだからって断ったのかな…)
ハル
はぁ…なんで、こんなに苦しいんだろう…
ガサッ
ウタ
あれ、ハル?
ハル
ウタさん!?
ウタ
ははっ、そんなに驚くことないのに。隣、座ってもいい?
ハル
う、うん…
ウタ
あのさ、気のせいかもしれないけど、なんか今日俺のこと避けてる?
ハル
え!いや、そんなことは…ある、けど…
ウタ
はは、やっぱり。でもなんで急に…俺なんかしちゃった?
ハル
あ、あの、昨日、私ずっとここにいて…
ウタ
ああ…もしかしてあれ聞いちゃったの気にしてた?
ハル
うん…盗み聞きするつもりはなくて…でも、ごめんなさい
ウタ
ハルは悪くないよ。だから気にしないで
ハル
ありがとう。その…ウタさんって部長のことが好きだったんだね
ウタ
あ、それ嘘だから
ハル
え!?
ウタ
ああ言えば諦めてくれるから、断るときはいつも言うんだ
ウタ
もちろん、女バレ部長には許可貰ってるよ
ハル
そうだったんですね…
ウタ
もしかして、少しショック受けてくれたりした?
ハル
え!いや、なんで私がそんな…っ
ウタ
そうなの?残念だな
ハル
(ちょっとそれどういう意味ーっ!?)
ウタ
あ…それ
ハル
え、何?顔に何かついてる?
ウタ
いや…気のせいかもしれないけど
ウタ
ハルって困ったり恥ずかしかったりすると前髪触るよね
ハル
え!?そう?
ウタ
うん。プレーで褒められた時とか、よくやってるよ
ウタ
あと部長と戦略会議してるときとか
ハル
え――
ハル
どうしてそんなこと、知ってるの?
ウタ
あ!ご、ごめん!気持ち悪かったよね…
ハル
ち、違うの!嫌じゃないよ!驚いただけ!
ウタ
本当?よかった。俺ハルのプレー見るの好きだからさ
ハル
……っ!
ハル
(す、好きって…落ち着いて私…!プレースタイルのことだから!)
ハル
(大体、ウタさんが私のこと好きになるはず――あれ?)
ハル
もしかして、ウタさんもそれ癖?
ウタ
え?
ハル
気付いてないの?今もほら、耳の後ろ掻いてる
ウタ
あ!本当だ!気付かなかった…
ウタ
でもよく考えたら緊張したりする時、よくやってるかも
ウタ
ハルといると、少し緊張するから…
ハル
どうして?
ウタ
ハルには嫌われたくないから、かな
ハル
え?
ウタ
ハルはすごくバレー好きなの伝わってくるし…俺、ハルのこと――
ウタ
ご、ごめん、何でもない!じゃあ、また明日!
ハル
え、ちょっと――
ハル
(い、今のなに…何て言おうとしたの…?)