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ぐらなーとぅむ・かのん

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ぐらなーとぅむ・かのん

1 - ぐらなーとぅむ・かのん 前編

♥

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2021年01月14日

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『わたしを███ね』

『“約束“だよ』

永享12年(1440年)

旅人

(……なんて、気味が悪いところだ)

旅人

(さっさと、通りすぎよう)

旅人

“鬼“が出る前に──

“鬼“って、どんな?

旅人

決まってるだろ

旅人

“人喰い鬼“のことだ

旅人

旅人

ん?

振り返った瞬間──、旅人の首から血が噴き出した

旅人

え?

鬼のつのが生え、黒髪と黒目の中性的な顔が旅人を見つめる。手には血がべったりと付いていた

旅人

……ぁ…………

旅人はその場に倒れ、絶命した

さて、いただくか

ばりっ

がりっ

ひとかけらも残さず、鬼は旅人を喰らった

……ふぅ、喰った喰った

口の周りに付いた血を舐めとると、満足そうにつぶやく

ここを通る旅人、めっきり減ったよな〜

オレが狩りまくったせいだけど……

“人喰い鬼“が出るという噂が立ってしまったため、旅人があまり通らなくなってしまった

(しゃあねー、ほかへ移るか)

その場から立ち上がり、あてもなく歩き出した

数日後

山林の中を適当にぶらつき、鬼はたまたま迷い込んだ人間を襲い喰らった

ばりっ

がりっ

喰べ終わると、あくびをした

ふぁ……

喰ったら、眠くなってきちまった──

……あそこによりかかるか

木によりかかり、瞼を閉じる

……ぐー…………

すぐに眠りへ落ちていった

二刻半後(約5時間後)

……ん…………?

ぱちり

……ふぁ〜……

よく寝た

辺りは夕闇が広がっていた

もう、夕方かよ

背伸びをし、立ち上がる

本当にこの辺なのか?

……?

人喰い1

間違いない

人喰い2

オラ早く、生娘の肉喰いてぇ

人喰い1

もう少しの辛抱だ

人喰い3

にしても、なんでこんな辺鄙なとこに

人喰い3

生娘がいるんだ?

人喰い1

それは知らん

人喰い2

んなことは、どうでもいいから

人喰い2

早く、生娘を探すぞ〜

人喰い3

あ、おい!

人喰い1

まったく、仕方のないやつだ

鬼に気づくことなく、男たちはその場から去っていった

(あいつらも人喰いか)

(なんか、生娘を探してるみてぇだが……)

まぁ、どうでもいいけどな

2日後

……腹、減った

きょろきょろと、辺りを見回すと────

一軒の家屋があった

微かに人の気配を感じる

家屋に近より、中の様子を窺った

ぱしん

(……なんだ?)

やめて……

うるさい!

娘の頬を引っ叩いた

きゃ!

お前なんか、お前なんか……

頬を何度も叩いたあと、今度は脇腹を蹴る

痛っ……

娘は耐えるようにうずくまった

…………

ぐうぅぅぅぅ

ちょうどそのとき、腹の虫が大きく鳴った

……?

様子を確かめるため、外へ出た

べつにいいか

?!

鬼の存在に気づく

なんだ!? お前……?!

どうせ、喰うんだし──

爪で男の首を掻き切った

……っ……

男は絶命した

…………

無言のまま、男の死骸にかぶりついた

ばりっ

がりっ

おとっさん……?

夢中で喰べていて、すっかり娘の存在を忘れていた

残っていた肉片を飲み込む

…………

呆然と見つめる

(さて、どうっすか……)

一瞬、娘も喰らおうかと思ったが…………

待って……

その場から立ち去ろうとした瞬間、娘から呼び止められた

……食べないの?

…………

……わたしを

──腹が、いっぱいなんだ

それだけ言うと、鬼は森の奥へと消えた

ぐらなーとぅむ・かのん

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