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姉ちゃん!姉ちゃん!

ミカ

えっ

ミカはびくっとして顔を上げた

なんで寝てるんだよ。全然おりてこないんだもん。腹減った

ぼんやりしてるミカの体を涼が揺らしている

ミカ

わ、わかったわかった今起きるね

いつの間にか寝てたのか全く覚えがなかった

ミカ

(あれ…夢だったのかな)

姉ちゃん疲れてるのか?だいじょうぶか?

ミカ

んーん…疲れた感じはないけど

ミカはそ~っとスマホの画面に触れて。呼んだ

ミカ

カムヒア、ライト

しーん…

何も起こらない。スマホの画面は暗いまま

姉ちゃんまだ寝ぼけてんの?

ミカ

そんなことないよ

電源入ってないじゃん。貸してよ

涼がスマホを取り上げ、電源ボタンをおした

つかないなぁ…バッテリーが切れてるのか?充電ケーブルは?

ミカ

ケーブル?あったっけ?

ミカはベットからおり、箱の中を探した

ミカ

あ、あった

…姉ちゃん。疲れてるならなみちゃんが言うとおりピザとかにしようぜ?

ミカ

ううん!大丈夫だってば

無理すんなよ

ミカ

無理なんかしてないってば!ほら、ご飯つくるよ

口を尖らせる涼のあたまをポンポンとたたいて、ミカは戸口に向かう

4月7日。朝の六時半

洗面所の前で、ミカはブレザーの制服の赤いリボンをぎゅっと結ぶ

春休みは終わりで今日から中学。 寝癖ではねた前髪を懸命に整えていると

姉ちゃん!俺も歯を磨く!

ミカ

どう?お姉ちゃん制服にあうでしょ

小学校も制服あると楽なのに

ミカ

涼はすぐ汚すから私服のほうがいいよ

なみ

二人共支度できた?

スーツを着てきちんと化粧をしたなみが顔をのぞかせた

ミカと涼はふり返って声を揃える

二人

…見慣れない

なみ

ちょっとぉ!なみちゃん超美人!女優さんレベル!とか言って〜!

ふくれっ面になるなみに、ミカと涼は大笑いした

なみ

ミカちゃん、中学進学おめでとう&誕生日おめでとう!

そうだ!姉ちゃん、今日誕生日じゃん。ハピバ!

ミカ

えへへ、ありがとう。

なみと涼のお祝い言葉に、ミカは照れてもじもじする

なみ

今日の夜はごちそう作るからね。ケーキも注文してあるし、張り切るぞ〜

涼とミカは顔を合わせる。なみがこの一週間で作ったご飯といえば インスタントラーメンときみの潰れた目玉焼き。焼いたウインナー…

俺が作ってもかわらないんじゃないか?

ミカ

いざとなったら私が作るね

なみ

ひっどーい。美味しさに目ん玉剥くはずだぞ。ほらほら、それより急がないと

なみにうながされ、ミカと涼は玄関に向かう

なみ

本当についていかなくて平気?

ミカ

平気平気!もう中学生だもん!

パパも今日くらい仕事休めたら良かったのに

ミカ

そんなこといわない、涼。パパは一人で頑張ってるんだよ

姉ちゃんこそ、入学式なのに一人でいいのかよ

ミカ

平気だってば。なみちゃん、涼の学校へのつきそい、お願いします

なみ

まかせなさーーーい!ずっと忙しかったから一週間ぶりの外出で嬉しいよ!

なみちゃん迷子にならないでくれよな

どっちが保護者だろう、とミカは笑いがこみ上げてくる

ミカ

行ってきまーす

なみ

行ってらっしゃい、ミカちゃん

じゃあな、姉ちゃん

ミカは涼たちと反対方向へと歩きだす

風はちょっと冷たい。冬服のブレザーは厚いから寒くないけど、糊のきいたごわごわする感触がミカはまだ慣れていなかった

ソメイヨシノはもう散っていて、路上に植えられたしだれ桜が桃色の花を下げている

そのきれいな花の色は、ミカの誕生日と入学を祝ってくれている気がした。だけど気持ちのいい眺めにちょっと胸が軽くなる。頭上を振り仰いでみた。空は飛べそうなくらい晴れていた

…飛べそうなくらい。ドラゴンに乗って

あれから、何度もライトを呼び出そうとした。スマホはちゃんと起動して、画面も明るくなって、ゲームも動くし保存してある写真なども支障なく見られた

なみちゃんが設定してくれて、インターネットにも接続できるようになった。だけど、いくら呼びかけても反応はなかった。

もしかして、ミカ?

聞き覚えのある声…しかも最近聞いたばかりの声だ

ミカ

あ、アカリちゃん!?

アカリ

やっほー!久しぶりだ!ミカ!嬉しい、まさか同じ学校!?

ミカ

(まさか本当だったの?アヴァロンは現実だったの?夢じゃなかったの?)

アカリ

正式な名前は夏浪アカリだからね!ほら、ツナグもいるよ

ツナグは不機嫌そうにちらりとこちらを見ただけで追い抜いてゆくけれど。通りすがりさまに、ぼそりとつぶやいた

ツナグ

…海鳴ツナグ

アカリ

相変わらずツナグは無愛想だね…ってわけで改めてよろしく!ミカ!

ミカ

あ、は、あはは

アカリに握られた手をぶんぶんと振られ、ミカは混乱で笑うしかできなかった

入学式が終わるとすぐにミカは猛ダッシュで帰宅した

しだれ桜を散らす勢いで…スカートをひるがえして走って走って走り抜いた

ミカ

ただいっ!

なみ

ちょっとミカちゃん!?どうしたの!?そんなダッシュ帰宅で!

ミカ

なんでもないなみちゃん…大丈夫!!

ぱたん。 とミカは自室のドアを閉める はあはあと荒息を必死に押さえるとミカは机に歩み寄った

スマホを手に取る。電源を入れるとふわりと画面が明るくなった

すうっと大きく息を吸って、そして思い切って口を開いた

ミカ

カムヒア、ライト

とたん、画面が輝いた!

ライト

ハッピーバースデー!マスター!

パパン、パンパーン! とクラッカーの音が鳴り響き、画面に色とりどりの紙吹雪がまった

ライト

ご生誕、お喜び申し上げます。お呼びでございますか?マスター?

ミカ

お呼びですよ。もう…ライト

ミカは半分泣き笑いで、ぺたん、屠蘇の場に座り込んだ

ミカと魔法と不思議な世界

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