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いや。前話と繋げる時点で神だししかも無理やりじゃなくてちゃんとストーリーとしてすんなり入れてるの天才。そして本編自体物語も神。語彙力さよなら。今回も神作。何回読んだのかな自分……
いやもう泣きます。はい。 一人ひとりが苦しい過去や現実…を持っている、といいますか…感じていて…… 白さんが『殺めてしまった』過去。それで自分の能力が嫌になってしまった、ほんと月見。さんのストーリーは考えられていますし、前の話と繋げる、または今と繋げて前の話を書くというのが凄く上手で…赤さんのところも、白さんには共感するところがあるんですよね。ほんと上手いです。もう神過ぎて黙々とこれ読んでました!
月見。
月見。
月見。
月見。
月見。
月見。
月見。
月見。
月見。
月見。
月見。
月見。
赤くん→火を操る能力 水くん→植物を操る能力 白くん→毒を操る能力 桃さん→重力を操る能力 青さん→一度見たものを完全に覚えられる能力、水を操る能力(温度変化により氷の操作も可能) 黒さん→言霊(言葉で人を操ったり言ったことが現実になったりする)
月見。
注意!! ・地雷さんは今すぐUターン! ・白水、赤桃、青黒前提 ・nmmn ・ご本人様方とは何も関係のないフィクションです ・口調&キャラ崩壊あり ・通報❌
月見。
これは、僕達が一緒に暮らし始めて間もない頃の話。
事前に顔合わせをして、僕達は同じ家に住み始めた。所謂シェアハウスというやつだ。
その頃は能力者狩りの数が増え出していた時期で、能力者狩りに狙われ、その命を失う能力者も少なくなかった。
僕達は六人でお互いを支え合っていく仲間なんだと。ないちゃんが僕達を巡り合わせてくれた訳だが。
何も最初から、今の様にみんな仲良しだった訳じゃない。
周りと距離を置いて、歩み寄ろうとしない奴もいた訳で。
・・・そう、僕みたいな。
桃
白
爆音の声に、微睡に沈んでいた意識が一気に引っ張られる。
それからすぐに、何が起こっているのかを理解した。なんなら昨日・・・と言うか、シェアハウスを始めてからというもの、毎朝聞いているのだ。この爆音目覚まし(仮)を。
いむくんという典型的なショタボの様な声を持つ彼は、まだ能力が宿ってからそう時間が経っておらず、本人はまだ完璧に能力を扱えないらしい。
そんな彼の隣、一階廊下の突き当たりの部屋を自分の部屋としたないくんが、暴走したいむくんの能力により毎朝苦しめられているらしい。植物で廊下を通れない的な。
ドンマイ、と思いつつ、僕は別にそれ以上も以下もない。
いやでも、毎朝この大声に起こされるのも如何なものか。明日からはちょっと早めに起きようか。
そんなことを考えながら、僕は服を着替え部屋を出た。
廊下を歩いてリビングに向かう途中、段々とハッキリしてくるのは食欲を誘う匂い。
白
黒
白
リビングに行くと、キッチンから悠くんがフライパンを片手に挨拶をしてきた。
気さくな明るい笑顔に、僕はすっと視線を逸らして挨拶を返した。
黒
白
会話は特に続くことなく、そこで終わり。悠くんがそれ以上何か話しかけてくることはなく、僕も黙っていた。
悠くんは、シェアハウスが始まってから毎日僕達全員分のご飯を作っている。なんでも僕達の顔合わせ前から知り合っていたといういふくんが彼の料理を絶賛していて、それを聞いたないくんが彼を料理当番に任命した。
別にええけど。なんて笑っていた彼の笑顔は、とても人懐っこそうで。
一体何時起きなのだろう。シェアハウスをするからと言って、まだ知り合って間も無いメンバーが殆どだろうに、こんな風に早起きして、みんなの為に頑張って。
・・・尽くして期待して、裏切られた時に傷付くのはいつも自分なのに。
桃
黒
桃
黒
桃
黒
桃
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一瞬。たった一瞬の出来事。
リビングに現れたないくんは、悠くんにべったりとくっついていた。
その光景が、嫌に目に焼き付いて離れなかった。
だって、あんな風に触れるなんて、
水
白
気付けば、考え込んでいた僕の目の前に顔があった。
驚いて思わずビクッと体を揺らした僕を、馬鹿にする様に笑うこともなく、彼は何故かニコニコと楽しそうに笑って口を開いた。
水
白
何?初兎“ちゃん”??
呼ばれ慣れない名前に、思わず顔を顰める。なんだそれ、そんな呼ばれ方されたことがない。
黒
白
水
黒
水
黒
目の前でぽんぽん進んで行く話に頭が追い付かない。混乱する頭に、難しいことを考える気力は無く。
白
水
黒
目の前で喜ぶ淡い水色の髪の彼を、僕はなんとも言えない表情で見つめていた。
・・・変な奴。
桃
青
赤
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桃
赤
青
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黒
水
赤
桃
赤
白
食べ終わっても尚、席から動かず雑談をしている彼らにも一応聞こえるくらいの大きさでそう言い、僕は食器を持ちキッチンへと向かった。
冷凍庫を漁る悠くんの横を通り過ぎ、食器を洗おうとした時、後ろから声をかけられる。
黒
白
蛇口にかけていた手から一度力を抜き、彼の方を振り返る。
白
黒
白
黒
白
返事を待たず、僕は水を出して食器を洗い始めた。
悠くんは特に何も返すことなく、僕が食器を洗い終わるよりも先にいむくん達の元へ帰って行った。
アイスの取り合いをしている賑やかな声を背中で聞きながら、僕はリビングを後にした。
白
特にすることがない。とりあえず持っていたゲームをしながら、ぼんやりと五人のことを考えた。
まるでみんな本当の家族みたいな、仲間みたいな表情で、雰囲気で。
何も恐れていないみたいに、普通の一般人みたいに接し合う人達だ。
“もしもの場合”を、想像しないのだろうか。
僕達は、どう足掻いても能力者。
普通になんて、絶対為り切れないのだ。
水
白
水
白
いや、ちょっと待て。ここ僕の部屋な。扉も閉めとったんよ。僕がぼーっとしてたからと言って、え、いつの間にか勝手に入って来てたん?
てか許可無く勝手に入ってくるなよ!?
平然とゲームの話をし始める水色の彼に、また困惑する。
白
水
白
それで、僕の部屋に勝手に入ってきたと。
挙句当然の様に隣に座ってゲーム画面を覗き込んで来ている。怖いもの無しか??
白
水
白
手を伸ばせば届く距離。能力を使うなんて一瞬だ。
水
白
水
ニッコリ笑って、はっきりそう言い切ったいむくん。
・・・どこからくるんだ、そんな根拠のない自信。
水
白
水
僕の返事なんて聞かず、そう言い切って部屋を飛び出して行ったいむくんの背中を、唖然として見つめていた。
白
馬鹿な奴。そう呟いた自分の口元が緩んでいることを、僕は自覚していた。
数日後。
水
白
何か作業をしていても、気付けば当たり前のように僕の部屋にいるいむくん。これで何度目だろうか。
白
水
白
水
いむくんは俗に言ういじられキャラ的な存在で、他の4人にもよくいじられていた。こんな風に気軽に煽り合いが出来るくらいには、この頃の僕達の距離は縮まりつつあった。
水
白
いつものゲームじゃないのだろうか。
首を傾げる僕に、いむくんはいつも通り楽しそうな笑顔を浮かべ、口を開いた。
水
白
予想外の発言に、思わずその声が地を這った。
水
白
水
白
水
ツッコミと共にデコピンをお見舞いしてやる。額を押さえて呻き声を上げるいむくんに、はぁと溜息を吐いた。
なんだか、ペースを乱されてばかりだ。
そんな彼に、「で、何時に行くん」と尋ねる僕も僕だなぁと、表情が明るくなったいむくんを見ながら思ったのだった。
水
白
満足気に笑ういむくんの隣を歩きながら、時間を置いてそう答えた。
こんな風に馴れ合うつもりなんて、全く無かったはずなのに。
いつの間にか、いむくんに絆されてしまった。
水
白
何かを見つけたのか、目を輝かせて走り出す彼の背中を慌てて追いかける。やっぱり振り回されてばかりだなぁと思いながらも、不思議と居心地の悪さを感じることはなかった。
水
いむくんが駆け込んだのは所謂雑貨屋さん。そのアクセサリーコーナーの前で立ち止まったいむくんは、とあるブレスレットを手に取った。
水
白
シルバーのブレスレット。確かに、シンプルだがオシャレなデザインはどんな服にでも合いそうだ。いむくんはこういうのが好みなのだろうか。
水
白
ぽかんと口を開ける僕に、いむくんが手を伸ばした。
水
その手が、僕の手に触れる───
“化け物!!”
白
水
ブレスレットが、音を立てて床に落ちた。
は、と息を吐き出す。急激に速まる自らの鼓動を感じながら、僕は目の前で呆然としているいむくんを見て、ハッと我に返った。
・・・そしてすぐに、視線を逸らした。
水
言葉を探しながらもなんとか話そうとしてくれるいむくんに、きっと僕は謝るだけで良かったのに。
僕は、それをすることが出来なかった。
白
水
白
水
完全な拒否。僕はいむくんに背中を向けて、その場を後にした。
勝手なことをしたいむくんへの怒りと、最後に見たいむくんの泣きそうな表情に痛む胸で、もうぐちゃぐちゃだった。
ああ、だから。
白
昔の話だ。
毒を操る能力。自分にそんな能力が宿っていると気付いたのは、中学生ももうすぐ終わりを迎えるといった頃。
飼っていたペットが×んだ。
僕が小さい頃から一緒に住んでいてかなり歳も重ねていたから、その時は寿命なんだと静かに悲しんだ。
自分の手に、生き物の命を止める力があると無理矢理にでも気付かされたのは、それから約半年後のことだった。
白
放課後呼び出されたのは、仲が良いとある男子。
そんな彼から放たれた唐突な言葉に、僕は思わず顔を顰めた。
なんの話だろうか、と思った。
“そら”と言うのは、彼が飼っていた犬の名前だ。僕も最近会ったばかりだったが、今朝他の友人達が「アイツん家の犬×んじゃったらしい」と話しているのを聞いた。
それで、なんだって?
白
白
心底意味が分からなかった。昨日まで笑い合っていた友人に、何故殺人容疑をかけられなくてはならないのか。いや、殺犬容疑?まぁ今そこはどうでもいい。
流石に冤罪が過ぎると、僕はその友人に対して初めて嫌悪感を抱いた。急にそんなことを言われれば誰だって嫌だろう。
白
白
なんでまた。
白
白
白
それは事実だった。原因は勿論僕にも分からなかったが、手にした花はどんどん元気を失い、枯れてしまった。
白
その日何度目か、僕は理解が出来ず思いっきり顔を顰めた。
能力者。
聞いたことはあった。何人かに一人しかいないっていう、あの。
で、僕が、その能力者??
白
白
白
白
白
胸倉を掴まれ、首が少し絞まって苦しくなり顔を歪めた。
中学に上がってからと言うもの、ずっと仲良くしてきたと言うのに。どうしてこんな風に怒鳴られ、睨まれなくてはいけないんだ。
“化け物”??
怒りが湧いてきて、僕はとうとう我慢が出来なくなった。
白
勢いに任せ、僕は目一杯その体を押した。
その力を受けよろけた彼は、そのままその場にしゃがみ込み、膝を付いた。
白
彼は何か言い返してくるどころか、そのまま顔を上げることすらしなかった。
ただその肩が、不規則に上下していた。
白
なんだか嫌な感じがしてその顔を覗き込んだ僕は、心臓が凍り付くような感覚に襲われた。
彼は荒々しく息をして、暑くもないと言うのにその肌には汗が滲んでいた。
顔色が悪く、その体は震えている。
──────毒。
混乱する僕の頭に、さっき彼と話していたとある言葉が思い浮かんだ。
そんな、まさか。だって、僕は。
昔×んでしまったペットのことが、頭によぎった。
いや、そんな訳がない。だって、だって僕が能力者なんて、そんな。
白
バタッと音を立てて、彼が床に倒れ込んだ。
白
彼は動かない。
白
その時感じた気持ちを言葉にしようとしたら、正直上手く言い表せる自信は無い。ただ、体の底から湧き上がってくる何かに×されてしまいそうな、後ろから刺されてしまいそうな、そんな感覚に陥って。
僕は、その場を逃げ出した。
能力を扱えなかったからだとしても。意図的では無く、感情的になり能力が暴走したただの事故だったとしても、事実は変わらない。
・・・自分は人殺しなんだと、それからずっと、あの過去に囚われている。
だからそれ以来、人と必要以上に付き合わないようにして来た。
自分の手が誰かに触れることを、何よりも恐れた。
白
そう自分に言い聞かせ、正当化しようとする。いむくんの悲しそうな表情は、まだ脳裏に焼き付いたまま。
心を許して、仲良くなって。もし、あの時のようなことが起きてしまったら。
能力を扱えるようになった今でも、その恐怖心は変わらない。消えてはくれない。
白
なんとなく真っ直ぐ家に帰る気になれず、大分回り道をしてしまった。
夕日に背中を照らされながら歩いて家に着き、玄関のドアを開けた。
黒
偶々廊下にいた悠くんが、何故か驚いたように目を丸くした。
黒
白
足元を見る。靴は一つだけ。悠くんの物だろう。
白
黒
白
黒
なんでかは分からない。分からないけど、凄く嫌な予感がして。
何処にいるのかすら分からないのに。気付けば僕は家を飛び出して、元来た道を走り出していた。
初兎ちゃん!
今走らないと、あの笑顔が潰れてしまうような気がしたんだ。
〜〜〜!
───っ!!
〜〜!?
街の中を走り抜け、ショッピングモールの近くの路地裏の前を通過しようとした時、その声は聞こえて来た。
その狭い空間に、鬱蒼とする緑が見えた。
蠢く植物と、それをどうにか突破しようとする男達の間から見えたのは、今にも泣きそうな君の顔。
水
潤んだ声が、懇願する様に叫ぶのを聞いて。
その白い肌に、痛々しい傷が出来ているのを見て。
そこで、僕は嫌に冷静になった。
白
こちらを睨み付けてくる彼らに、恐怖なんて抱かなかった。
白
そうだったならと、何度願ってきたことか。
は、と笑った。これは自分に対する嘲笑か、それとも相手に対する嘲笑か。
それでも、きっと。
一般人だったのなら、君とすら出会えていなかったんだろう。
今の僕じゃ、そんなのもう耐えられないから。
消えてしまいたいほど憎んだこの能力で、君を守りたい。
その為に、油断し切った彼らの方へと足を踏み出した。
白
白
水
地面に倒れ込む男達。そんな彼らを踏み分け、僕はいむくんの前に立った。腰が抜けたのだろうか、その場に座り込んだまま。
その肌を赤く染める痛々しい傷に、思わず顔を顰めた。
白
いむくんはシェアハウスを始めるつい数週間前に能力が宿ったんだっけか。
小さく頷くいむくんに、あぁ、と心の中で呟く。
怖がらせてしまったか。
よりにもよって、毒。炎や氷でも扱えればまだ漫画やアニメっぽくてかっこよかったかもしれないが、僕のは毒だ。かっこいいとはかけ離れているし、男達がただ苦しそうにもがいて倒れて行くところなんて見たくなかったよな。
白
なんの謝罪だろうか。触れようとした手を拒否したこと?あんなところを見せたこと?
答えの出ない自問自答を繰り返していると、いむくんの口が小さく動いた。
水
白
水
白
目を輝かせるいむくんに、僕は呆気に取られた。
水
白
水
いや、語彙。心の中でツッコみ、僕は思わず吹き出した。
白
急に笑い出した僕に今度はいむくんがぽかんとしていたが、少しして彼は表情をふわりと和らげた。
水
白
自分の恐怖心で、一度だろうといむくんを突き放した。最低な奴だ。
水
白
水
白
いつも平然とこっちのスペースに入って来て、好きな様にかき乱していくのに。細かいことなんて難しくて考えたくない、なんてタイプな筈なのに。
変なところで、鋭い。
・・・でも、僕だって変わるんだ。
白
水
白
いむくんが居なかったら、僕は今もあの家の自分の部屋に引っ込んでいただろう。
誰かと仲良くなって、触れ合ったりしたいだなんて、思わなかっただろう。
白
水
差し出した手に、いむくんは目を丸くした後、嬉しそうに顔を綻ばせ、その手に自らの手を乗せた。
水
守れる様に。もう、離れてしまわないように。
また、誰かに触れたいと思わせてくれたのが。触れたいと思った相手が、君で良かった。
これは、僕達が一緒に暮らし始めて間もない頃の話。
───僕といむくんの、はじまりの物語。
水
白
水
白
とある事故から、自分の能力に、自分の手に悩み続けていたりうちゃんが、やけにスッキリした顔で帰ってきた。
ないちゃんとしっかり手まで繋いで。
赤
そう言って微笑むりうちゃんを見て、僕は思わず昔の自分と重ねてしまっていたようだ。
白
水
白
水
白
僕自信ずっと、この毒に溺れていた。
そんな僕のところに平然と踏み入って、この手を取ってくれたのは間違い無くいむくんだ。
いき苦しかった世界を、明るく照らしてくれたのも。
水
きょとんと首を傾げる彼に、ふっと笑みが溢れた。そう、そういうところも、僕は。
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水
白
水
白
水
いつも通りいむくんを軽く揶揄って笑った後、僕はその手を握った。
水
僕の左腕には、いつかのブレスレット。
君の左腕には、色違いの───。
白
これは、揶揄ってなんかいない、紛れも無い僕の本心。
微笑んだ僕に顔を赤くしたいむくんは、少し顔を下に向けた後、ぽつりと。
水
そっと握り返された手に、幸せを噛み締めた。
イレギュラーな日々だけど、君が隣に居てくれるから。