三国
葉山さん、ですよね?
葉山
え、、、
三国
私、三国という者です
三国
突然ですみません
三国
いつも同じ電車に乗っているもので
三国
気になって声をかけました。
他に乗客も居ませんし。
他に乗客も居ませんし。
三国
逆ナンというやつですね
葉山
は、はあ…?
三国
葉山さんは、どんなお仕事をなさってるんですか
葉山
え──僕ですか
葉山
ファンタジーの小説家ですけど……。
三国
小説家? 凄いですね
三国
事務所でお仕事を?
葉山
いいえ
葉山
凄く景色の綺麗な場所があるんです
葉山
そこに行くと落ち着いて
葉山
仕事もはかどるんです
葉山
普段はそこで描いています
三国
そうなんですか
三国
いいですね
三国
私、小説にはあまり興味はないんですけど
三国
たった一冊だけ、好きな本があるんです
葉山
それは──どのような本ですか
『彼の瞳に映る人。』
『著者 桧山文隆』
葉山
……。
三国
あれ? 知っていましたか?
葉山
──いいえ
葉山
人生で一冊だけ好きになった本が
葉山
その本なんですね
葉山
不思議な方だなと思いまして
三国
そうなんです
三国
私も、なぜこの本に出会ったのか
三国
どうして好きになったのか
三国
よく分からなくて
三国
でも凄く──好きな本なんです
三国
昔好きだった人を、思い出すんです
三国
この本を読んでると
葉山
そうなんですか
三国
桧山さんは?
三国
小説家なら、たくさん読んでいるんでしょうね
葉山
いいや──
僕は自分が書く作品にしか興味がないので
僕は自分が書く作品にしか興味がないので
三国
ふふふ。素敵ですね
葉山
はい?
三国
そうやって自分自身を大切にできる人
三国
とても魅力的だと思います
葉山
そんなことは──
葉山
他人に興味がないだけですよ
葉山
そして他人も、僕なんかに興味がありません
葉山
その証拠に、僕に友人は居ません
三国
それこそ勘違いですよ、葉山さん
三国
私は葉山さんと話してみたいと思いました
三国
こうして話せて嬉しいですよ
三国
私、葉山さんはてっきり
三国
建築業のお仕事をなさってるのかと想像してました
葉山
…………そんなキラキラした仕事は、向いていません
三国
そうでしょうか
三国
葉山さんは今、キラキラしていますよ
三国
小説家でも充分
三国
いい意味でイメージ違い
三国
そこら辺の職業より、ずっと素敵ですよ
葉山
──どうもありがとうございます
葉山
……。
葉山
すみません、女性の方と話したのは久々でして
葉山
ましてや褒められるなんて
葉山
有頂天です……(照)
葉山
初対面なのに、ありがとうございます
三国
……いいえ。声を掛けたのは私の方ですので
~峯岸駅、峯岸駅~
三国
──着きましたので降ります
三国
突然お声かけしてすみませんでした
葉山
いいえ
三国
またお会いできるといいのですが
葉山
……はい。また
三国
──いつか、読んでみたいです。葉山さんの作品
~プルルル~
(ドアが閉まる)
葉山
あ……
葉山
読んでみたいです、か……。
葉山
三国さん……。
とても綺麗で清楚な女性。
僕に声を掛けてくれて
そして褒めてくれるなんて
不思議な方だと思った。
胸が少しときめくのを感じた。
彼女が突然
僕の前に現れた意味を
このときの僕は
知るよしもなかった。
続く
葉山
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三国
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