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視界に映ったのは 白い天井とよく見慣れた赤い髪

rt

…は

俺はいつの間にか キヨくんに組み敷かれていた

ky

はぁ…はぁっ…

息を切らし 俺を見下ろしている

それに 何となく顔が赤いような…

rt

…!

俺はようやく事態を把握した

rt

(ちょっと、さすがにこの体勢は…)

rt

ごめん、体勢崩しちゃった…今退くね

邪魔だよね、とはぐらかし 身体を起こそうとするが 手首をソファーに押さえつけられて 身動きが取れない

ky

…俺がそうしたんだけど

rt

え?

ky

rt

え、ちょ…退いて

rt

気分悪いんじゃないの?顔色悪いよ

ky

rt

…ち、違うの?

そう聞いてもなお キヨくんは黙って俺を見下ろすだけ

rt

…とにかく、早く横になった方がいいんじゃ…

ky

…ッレトさんさぁ…

ky

誰にでもこうなの?

rt

…へ?

さっきの俺の問いかけと同じだ

rt

そ、そりゃあ…目の前に体調悪そうな人がいたら心配するでしょ

ky

ky

そうじゃない

rt

え?

ky

…レトさんは誰にでも優しい

rt

え、あ、ありがと…?

何故か急に褒められて 尚更困惑する

ky

でも優しくされるとそこにつけ入ったり勘違いしたりする奴が出てくんの

ky

そこんとこ分かってんの?ねぇ

rt

キヨ、くん…?

怒ってる…?どういうこと?

ky

……ッくそ…

ky

何で俺は…

ky

あぁくそッ、分かんね…

ガシガシと頭を搔くキヨくん

ky

…ねぇ、レトさん

rt

な…に

ky

教えてよ、どうして…

次第に声を荒らげていくキヨくん

ky

レトさんはいつもそう!

ky

相手のことも、自分のことも!何も知ろうとしない…ッ!

ky

まるで自分までも他人みたいに…

そして先程まで 死んだような目をしていたのに 今は…

ky

答えろよ、どうしてレトさんは…ッ!

苦しそうに顔を歪め 泣きそうな表情をしていた

rt

ぁ…

今のキヨくん 俺まったく知らない

こんなキヨくん 見たくも知りたくも無いのに…

rt

(なんで…目が、離せないの…ッ?)

目の前が涙で滲む

ほんとに意味がわからない

なんでこんな質問をされてるのかも どうしていきなり こんな体勢になったのかも なんで怒られてるのかも

頭の中がぐちゃぐちゃだ

ky

…ッ、そんでさぁ…!

それでも構わず キヨくんは話し続ける

ky

誰にでも無防備すぎるんだよ、レトさんは!

rt

ッ…?

ky

こんな夜中に家に男入れて

ky

俺みたいな酔っぱらいにも簡単に押し倒されてさぁ!

ky

警戒心無さすぎなんだよ

ky

そのうち痛い目見るから…!

rt

ぇ、だって…

ky

はぁ…ほんといい加減に…ッ

「キヨくんだもん」

ky

…、はッ……?

腕を掴む力が緩んだ

rt

…?

rt

(固まっちゃった…何か変なこと言った?)

rt

(いや、この間に…!)

rt

…ッあの!さっきから身体熱いよ

これ以上 話を聞きたくなくて 半ば強引に話を遮った

rt

シャワー貸してあげるから浴びてきな…?

ky

今ある状況から脱出しようと 交渉してみる

まぁ酔っぱらいが 素直に言うこと聞くわけが…

ky

……わかった

rt

…え?

ふいっと顔を背け 意外にもすんなり俺から離れた

ky

シャワー借りる

rt

え、あ、うん…

ky

…ごめん

その言葉を最後に パタン…と静かにドアが閉まった

俺は暫く ソファーから動けずにいた

ky

"答えろよ、どうしてレトさんは…ッ"

rt

(キヨくんのあの表情…)

泣きそうな 辛そうな

ky

"ほんといい加減さ…ッ"

俺の見たことの無い表情

だけど なぜそんな表情をしたのかは どうしても分からなかった

ky

"…ごめん"

rt

rt

(…なんで、謝るの?)

分からない 分からないよ

はぁ…と ひとつため息をこぼした

しんと静まり返ったリビングに ぽつんと一人取り残された俺と 無造作に置かれたビールの空き缶

長いようで短い夢を見ていたような ふわふわとした感覚からまだ 抜け出せていない

だけど向こうから微かに シャワーの音が聞こえる

そして ふわっと仄かに香る柔軟剤の匂い

この音 この匂いこそ キヨくんが俺の家に居ることを 証明している

…夢じゃなかったんだ

夢だと、よかったのだが

ソファーから起き上がり パーカーの袖をぎゅっと掴む

あっさりと解放された身体は軽くなり 押さえつけられていた手首は まだほんのりと熱を帯びていた

……そうだ これは酔っぱらいの体温だ

そうだ きっとそうだ

rt

…そう、だよね

そう自分に言い聞かせた

……To be continued

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