燎煉地方・菓子屋
読者さん
うわぁ……このケーキうますぎるぅ〜
読者さん
クリームが甘くてとろけて
読者さん
あわわ……
智美
ふふ〜ん!!
智美
燎煉の菓子製造技術は七刻一よ?
智美
美味しいのは当たり前じゃない
胸を張って答える彼女の笑みは勝ち誇ったかのよう
それも納得のはずだ
厳つい工業地帯ではあるが菓子屋がやたらと多いのだから
読者さん
いやぁ……こんなに食べたら太っちゃう
読者さん
でもフォークが止まらなくて
智美
明日には豚さんになってるかもねぇ?
読者さん
こんなカロリーの塊を胃袋に詰め込んだら豚どころか牛になりますわぁ
智美
まぁ……
智美
燎煉人の人達は代謝が高すぎるからこれくらい食べなきゃむしろ痩せるけどね
読者さん
血糖値とかヤバそう……
智美
正常よ
智美
……
智美
いや、マジで
読者さん
よく食べたら気絶しません?
智美
それなんって【バカ食い気絶クラブ】なの?
智美
それ抜きにしても
智美
燎煉で太るのはある意味才能かもね
周りを見渡しても特に太ってる人はいない
あるのは無敵で素敵な……
マッシブマッスル
智美
そういえば言い忘れてた
読者さん
な、何でしょう?
智美
【ケーキを食べる仕事】が終わったらだけど
智美
ラストスパートとして最後の空き缶やるからビシビシ動くことね
智美
もしかしてこうしてゆったりして今日の業務が終わりだと思った?
読者さん
いやぁ……そんなこと思ってなかったですって
読者さん
まだ働き足りないくらい……っていうかぁ
智美
じゃあ戻ったら空き缶万単位で潰す?
読者さん
それは勘弁してくださいよ……
智美
ふふっ
智美
冗談よ……冗談
智美
でも飴もあれば鞭もあるのを忘れないでよ?
智美
普通はこんな甘い休憩じみた仕事なんてしないし
智美
何より恋や天音に顔向けできないから……
読者さん
そ……そうですね
智美
でも少し待って
智美
食休みって言うし
智美
あと三十分だけ
読者さん
あはは……
読者さん
その間に牛にならないといいんですけどね
智美
うっさいわ……
智美
私のどこが牛だって!?
読者さん
まだ何も智美さんが牛になるって比喩を言ってないじゃないですかぁ
読者さん
自分に向けてかもしれないですし
読者さん
……え?
読者さん
何この理不尽
智美
さっさと牛になりなさいよ!!
智美
盛大に鼻に輪っかつけてから
智美
食肉加工場に即刻連れて行くから
読者さん
それは勘弁してくださいよ……
きっと自分は大丈夫だと言い聞かせお腹を見つめる
一日で痩せることはできない代わりに
一日で太ることもできないと言うし