沢田マリカ
沢田マリカ
2010年9月14日(火)
この日も私は優真さんと共に病院に来ていた
正面玄関から院内に入ると
私達のことを待っていたのか
救急病棟の看護師さんが駆け寄ってきて
看護師B
看護師B
看護師さんの言葉に従い付いていく
優真さんは彼女の回復を信じて通い続け
徐々に回復しつつある彼女の姿に喜びつつも
はっきりと言葉を交わせるようになった彼女からの言葉
その溢れ出る想いに心は締め付けられ
複雑な気持ちを抱き始めていた
小さな部屋に通され
奥の椅子に腰かけると
看護師B
看護師さんは昨夜、起きたことを話し始めた
AM 4:30頃
ガシャーン!!
救急病棟内に何かの倒れる音が響いた
夜勤中の看護師さんが慌てて駆けつけると
看護師A
看護師A
まだ寝返りも打てないはずのあすみさんがベッドから落下し
ベッドの脇の床に倒れていた
看護師A
井川あすみ
看護師A
井川あすみ
井川あすみ
井川あすみ
看護師A
あすみさんは落下の衝撃で頬や額を床に打ち付け
看護師さんが直ぐに応急処置をしたが
まだ腫れが残っている状態だと言う
優真さんの山梨行きを阻止するために
あすみさんは自分の身体を傷つけた
看護師B
看護師B
看護師B
看護師B
ずっと虐待を受け続けていた彼女にとって
優真さんの一途な愛はとても大きなものだった
失声状態だったあすみさんのために筆談ボードまで用意し
優しく語りかける優真さんの姿に
あすみさんの心は溶けていった
誘拐犯として優真さんは警察署に勾留され
あすみさんは自宅に戻されたが
優真さんへの想いは変わらないまま
再び始まった虐待が激しさを増し
痛みで動けなくなってしまっても
その心が折れることはなく
一途に優真さんを想い続けていた
徐々に回復してやっと言葉を交わせるようになったが
優真さんの山梨行きが余程ショックだったのか
自分の体調を悪化させることで
少しでも長くそばにいれると思ったようだ
あすみさんは眠っていた
鎮静剤がまだ効いているようで
優真さんの呼び掛けにも直ぐには目覚めなかった
昨夜は夜勤の看護師さんが定期的に見回りをしていて
大きな音がするまでは全く異常は見られなかったらしい
どうやらあすみさんは
看護師さんの見回りの際には眠ったふりをして
人がいなくなると身体を動かし
最終的にベッドから転落してしまったようだ
お昼を過ぎてもあすみさんは目覚めず
動けない優真さんに用意しておいたゼリー飲料を渡した
沢田マリカ
三村優真
いつ目覚めるかわからない彼女の隣で
優真さんはゆっくりとゼリー飲料を口に運ぶ
それでも片手でしっかりと彼女の手を握り
いつ目覚めても対応できるようにしていた
ゼリー飲料を飲み終え
優真さんが一息ついた直後
あすみさんがゆっくりと目を開けた
井川あすみ
コメント
2件