佐藤 悠希
はぁ〜、今日も残業だった…。まじで最悪だわ。

佐藤 悠希
ま、ビールも買ったし宅飲みしてストレス発散しよ…

佐藤 悠希
一応、ポストの中見て…っと。あ、チラシ?

「なんでも埋める時代が到来!土の中は一定の温度に保たれており、衛生的且つ安全性バツグンです!」
佐藤 悠希
ふぅーん、土の中、ねぇ…

佐藤 悠希
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不在着信

佐藤 悠希
あれ?珍しいな…。母さんから昼に電話来てる…

佐藤 悠希
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通話
05:23

佐藤母
悠希?母さんだけど。

佐藤 悠希
うん、どうしたの?そっちから昼に電話かけてきて…

佐藤母
お母さんが家で暴れてて私1人じゃ手に負えないの…

佐藤母
週末、時間が空いてたら帰って来て欲しいんだけど。

佐藤 悠希
(たしか、ばあちゃん2年前から認知症なんだよな)

佐藤 悠希
(病状が悪化してるのかもしれないな…よし。)

佐藤 悠希
分かった。土曜日の昼ごろ着くように向かうから。

佐藤母
ありがとう。あ…それと、電車じゃなくて車で来てね?

佐藤 悠希
…?りょうかい。

佐藤 悠希
母さん、ごめん道が混んでて遅くなった!

佐藤母
ううん、大丈夫よ。むしろ暗い方が良いから。

佐藤 悠希
えーっと、ばあちゃんは?今は寝てるとか?

佐藤母
その…ね。

佐藤母
最近、テレビとかでもやってるでしょ?

佐藤母
「埋める時代」だって

佐藤 悠希
そう言えばこの前、チラシに書いてあったな…

佐藤母
だから、今から母さんを「埋め」に行くわよ

佐藤 悠希
何言ってんの!母さん!ばあちゃんはモノじゃない!

佐藤 悠希
あれは物の保存状態を良くしておこうってやつだろ?

佐藤母
もう、限界だったの…。

佐藤 悠希
ま、まさか母さん…!

佐藤母
パパが会社にリストラされて引きこもりになって

佐藤母
お母さんとパパという2人の「荷物」を背負ってたの…

佐藤 悠希
母さん…。…でもさ!

佐藤母
アンタには分からないでしょ!?

佐藤母
お母さんは徘徊するし、パパは1日中部屋にいるの…

佐藤母
私は…この2人に存在価値を見出すことは出来なかった

佐藤 悠希
それで、ばあちゃんを…?

佐藤母
お母さんだけじゃない、パパもよ。

佐藤母
車で来てもらったのは、今から埋める場所専用の土地に行くからなの。

佐藤母
早速、出してもらえる?

佐藤 悠希
…分かった、車庫から出してくるよ。

俺は思った。母さんの精神状態は常人じゃない。あとで警察に連絡して母さんを正気に戻して貰おうって。
…俺達は2つの「埋めるべきモノ」を車に積んで走った。もう、何キロ走ったか分からなくなるくらい。
佐藤母
…停めて。着いたわよ。

佐藤 悠希
じゃあ、ここに埋めるんだね。

佐藤母
ええ、さっさと埋めてしまいましょう

佐藤母
…終わったわね、さあ帰りましょう、家にカレー作ってあるから。食べましょう?

佐藤 悠希
…ツギハオマエノバンダ!

隠し持っていたナイフで母さんを刺した。そしてもう1つ出来た「モノ」を同じく埋めて素知らぬ顔で帰った。
佐藤 悠希
…ただいまー、母さん?あれ、いないのか…。

佐藤 悠希
あ、俺の好きなカレーだ!うまそ!食べよ…。

カレーに入ってた肉は、ばあちゃんの好きだった線香の匂いと父さんの香水の匂いがした。
佐藤 悠希
はあ…。ごちそうさま。

佐藤 悠希
こんど、

佐藤 悠希
死肉の肉じゃがでも作ろっかな?
