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ミカ

なみちゃ〜ん洋服どこにしまったらいい?

大きな箱をかかえて

ミカは叔母の原菜美にたずねた

原ミカ、十二歳、ただいま中学進級目前の春休み

小学校では背の順は前らへん、成績はほぼ真ん中

国語と英語と理科が好き、社会はちょっと苦手

髪の毛は耳の下までのボブで

伸ばしている最中

パパやママは「ミカはかわいい」 と言ってくれてるけどミカ自身は どうかなって疑問に思ってる

実はとある事情で弟の涼と叔母の菜美の家に引っ越してきたばかり

菜美の家は東京都世田谷区の裏通りにあるお屋敷街のひとつ

古いけれど2階建てで、部屋の数は8つもあって

ミカが前住んでたところよりずーっと広い!

なみ

洋服か〜…まだタンス届いてないよねー…適当に積んどいてー

仕事部屋の襖が開いて

菜美が顔を出した

爆発したみたいなボサボサ髪。どうみても真昼のこの時間に起きたばっかりだ

菜美は小説家。そこそこ売れっ子でいつも忙しそう

前にもミカは何度か遊びに来たことがあって、そのたびにあちこち東京名所を案内してくれたけれど

そうでないときはだいたい仕事、仕事で部屋にこもりっきり

ミカ

なみちゃんってほんと適当だよね…

ミカ

それにもうお昼だよ?また仕事で徹夜なの?体壊すよ

なみ

だぁいじょうぶだって。なみはまだ15歳だから

はあ?とミカは首をかしげる

確かになみは、兄であるミカのパパより10歳近く年下

いつも化粧っ気なくて大学生みたいに若く見える。だけどもうアラサー…

ミカ

って今日エイプリルフール!だからってなみちゃん!15歳はないでしょ…

なみ

ええ〜…なみちゃんは10歳くらいに見えるって言ってよ

ミカ

無理無理、私より若いじゃん

姉ちゃん姉ちゃん、俺の荷物は終わったよ。お腹減った〜

涼は9歳、春休みが開けたら小4だ

小柄で顔もかわいいのに、元気で騒がしくパワーは大人の5倍はありそう

趣味はゲームとバスケ、男子なのに髪の毛を長くして後ろでくくっていて、変なこだわりがある

ミカ

おわった?

ミカ

終わったってすべての箱を開いて片付けたってこと?

え、えーっと

ミカ

うそでしょ?涼

バレちゃった?

いいじゃん!エイプリルフールだしさ

ミカ

もう信じられない!なみちゃんも涼も!

ミカ

エイプリルフールは都合のいい嘘をつく日じゃないからね?

だってさ〜…腹が減って片付けるパワーでないもん

ドタドタドタと涼が足踏みをした

ミカ

パワーありまくってるやん

ミカは呆れる

ミカ

わかったわかった、私が昼ごはん作るから。家にあるもので適当になにか

なみ

ミカちゃんも適当っていったw

ミカ

なみちゃんと一緒にしないでよ…

なみ

宅配にしようよ〜…ミカちゃんたち引っ越してきたばかりだしさ

ミカ

だーめ!そんなの無駄遣い

なみ

ミカちゃんはしっかりものだな…

なみ

それじゃ、ご飯冷凍してあるから焼き飯はどう?好きな材料つかっていいから

ミカ

まかせて!あっ…二階に荷物おいてくるね

なみ

急がなくていいよ!ミカちゃん

俺は急いでほしい。お腹空いたー

のんびりとしたなみとは対照的に、涼がくりかえす

ミカ

だったら手伝って、涼。ご飯解凍して

俺焼き飯にネギ乗せてほしい!

涼は台所に走っていく。何度かここには遊びに来たことがあるので

昨日越してきたばかりでもすっかり自分のテリトリーのようだ。それはミカも同じ

ミカ

よいしょっ!当分はこのダンボールがタンス代わりかな

南向きの部屋には、新しい机と椅子とベッドと積んであるいくつものダンボール箱

まだカーテンはなくて、まぶしい陽の光が二面あるガラス窓からさしこんでいた

ミカ

変なの。机と椅子とベッドかあってタンスとカーテンがないなんて

ミカはなんでも面白がる性格だったから、不便なことに不満はぜんぜんなかった

ミカ

(そうだよ。不満なんていっちゃだめ…頑張らなきゃ。)

急にミカはぎゅっと胸が痛くなった

ミカが涼と二人きりで菜美の家に越してきたとある事情

…それはママの行方不明が原因だった

ミカと涼のママ…原ちえみ考古学教授がイギリスでの遺跡発掘調査中に行方不明になったのは、新年あけてすぐのこと

「ハッピーニューイヤー!ミカ、涼。私の宝物!1月の終わりには帰国つもりだから!」

元旦にはそんなメールが届いてたのに

商社マンであるパパの原太輔は、忙しい仕事の合間を縫ってイギリスに渡り、ママの行方をさがしたけれど手がかりは何一つ見つからなかった

折悪しく、パパのママ、つまりおばあちゃんが病気で入院。パパは多忙な仕事と、おばあちゃんの看病とママの捜索で手一杯

間の悪いことにパパは春には東京に転勤の予定だった。その準備もままならない中で実質、ミカと涼の二人暮らしになってしまった

「落ち着くまでミカちゃんと涼くんはうちに住めばいいよ!部屋余ってるから!」

というなみの一言で、ミカと涼は一足先に東京に移り住むことになったのだ

あわただしい転校手続きと引っ越し。友達や先生との別れも満足にできなかった。

ママは無事なのかな…遠い異国の地でどこか行ってしまったのかな。パパは一人暮らしでもご飯しっかり食べてるのかな…入院したおばあちゃんは大丈夫なのかな

ミカ

ああ!もうだめだってば!

弱気になって暗いこと考えたって、いいことが起こるわけじゃない

ミカ

(涼と二人で頑張るんだ。ママが帰ってくるまで!)

ミカ

カーテンは明るい色にしよう。朝陽が透けるきれいな布!

元気な声でいうとミカは荷物を床においた

そのとき、カタンという音が箱の中から聞こえた

そのままにしてもよかった。でも気になったのだ

ミカは昔から勘がものすごく働いた

ミカ

玄関に人が立つが気配したら五分後に宅配が来たり…自転車でなんの気なしにブレーキをかけたら、トラックが暴走してったとか…

ミカはおかしいという感覚に従った

ミカ

なにこれ

中にあったのはプレゼント箱

ミカ

一体誰が?誕生日プレゼント?

ミカの誕生日は4日7日。今日は1日

ミカ

考えられるとしたら…パパやなみちゃん?

…ママだけじゃないことは確かだ

ミカ

開けよう!

そっと蓋を持ち上げた

ミカ

え!?

ミカ

スマホ!?

中にあったのは白いスマホ。色も型も同じものをママがつかっていた。本当にそっくりだ…

ミカ

そっくり…ちがう!これって…!

スマホを裏返したとたんミカは息を呑んだ

ミカ

ママのだ!

ミカ

ママと涼と私のプリクラが貼ってある!!

ミカ

間違いない!枚数も三人の顔も!すりきれ具合も!見覚えがある。

もうミカの心臓は口から飛び出るぐらいバクバク

だけどぴっくりはそれだけではなかった

ミカ

ひゃ!

画面にふわんとなにかが浮かび上がった

ほ、ほ、ほ

あやうくミカはスマホを落とそうとする

ようやくマスターからお呼びがかかりましたな

ミカは声も出ない。画面で動いているのはピンクの可愛いうさぎ!

我が名はライト。マスター。

ミカ

ら、ら、ライト?マスターって…?

ライト

マスターはご主人様を意味します

ミカ

私があなたのご主人様!?

ライト

挨拶はほどほどにせねば。時間がない

ライト

えへん、えへん…あーあー、原ミカどの、このたび魔法学園の入学が許可されたことをここに報告します

魔法学園。入学。報告

ミカ

ねえ、わけわかんない。どういうこと?

ライト

お急ぎくださいマスター。学園行きの列車に乗り遅れます!

ミカ

え、え!?信じられない〜!

悲鳴をあげてミカは画面に吸い込まれ。それと同時にスマホも消えた

ミカが消えたあと、部屋の中にもやもやした不吉で、不穏で、不気味なまっくろけの闇。空っぽの部屋に黒い影を落としその何かはつぶやいつぶやいた

くろ…まじょの…むすめ

ミカと魔法と不思議な世界

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コメント

1

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黒い魔女…(・∀・) え、設定からおもしろ(ㆁωㆁ*)

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