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由佳子

架恋、今日ずっとその手提げ持ってるよね?

架恋

うん。大事なものなの

先生のお誕生日・当日。

登校した私は、学食へ向かう お昼休みにも肌身離さず、 手提げ袋を携えていた。

この手提げには、先生に渡す クッキーの包みが入って いるから……。

由佳子

え、何々?
何が入ってるの?

架恋

ないしょ

由佳子

えー、気になるなぁ

親友の由佳子には、 晴れて告白が成功したら、 打ち明けるつもりでいる。

架恋

……あ

架恋

(あれは……苑原先輩)

苑原先輩を、3年生 らしき女子生徒数人が 取り囲んでいた。

3年女子

槇《まき》くん~~❤︎
見て見て、授業でクッキー作ったの!

3年女子

食べて~~❤︎❤︎

苑原

あとでね。
今は昼ご飯、食べるからさ

3年女子

絶対だよ~!❤︎

架恋

(学校一のモテ男、かぁ……)

架恋

(でも苑原先輩は、山名先生のことが好き……なのかな?)

架恋

(確か――)

苑原

バラして欲しくなかったら、先生。今から俺と……

架恋

(確か、そう言ってた)

あの時はクラスの 腐女子たちから影響を 受けてしまったこともあり、

ついBLを疑って しまったけれど……

架恋

(あの後、言葉を
どう続けるつもり
だったのかは)

架恋

(……わからないんだよね)

架恋

(でも)

架恋

(先生のことを悪く勘違いしてるのは、間違いない)

架恋

(用心……しなきゃ)

俯き加減に歩いて、 苑原先輩たちを 追い越し通り過ぎる。

苑原

あれっ、君

架恋

私は気付かなかった フリをして、そのまま 学食へ向かおうとした。

だけど……。

苑原

待って!
やっぱり君だ

苑原先輩は、取り巻きの 3年女子に身振りで 待っててと伝えると、

私に近づいてきた。

苑原

君、この間は大丈夫だった?

学校一のモテ男に 話しかけられた私の隣で、 由佳子が目を丸くしている。

苑原

あの後、山名と一緒に帰ったのかなって

架恋

……な、何を言ってるんですか!?

架恋

一緒になんか帰ってないし、大丈夫に決まってます

架恋

先生なんだから……っ!

すると苑原先輩は、 僅かにくちびるを歪めて こう言った。

苑原

そっか、君、あいつのこと……

架恋


先輩には関係ありません

苑原

そうかなぁ?
あれ、この匂い……

苑原

クッキーだよね。
君って3年だったの?

架恋

いいえっ、私は2年です

苑原

そっか、授業で作ったんじゃないんだ

苑原

俺、君の作ったクッキーなら、食べてみたいかも

架恋

え……っ

3年女子

ちょっと槇くん?

3年女子

そんな下級生となんか話してないで……

架恋

……あ、
失礼します!

私は慌てて一礼して、 身を翻した。

それから駆け出そうとして……

架恋

あ……っ!

何かが落ちる鈍い音。

廊下を見ると―― クッキーの包みが 落ちていた。

架恋

(嘘……!
手提げの持ち手が切れて……っっ)

架恋

(それよりもクッキー!!)

大急ぎで廊下にしゃがみ 込み、クッキーの包みに 手を伸ばす。

その指先に触れたのは、 包みではなく……

架恋

あっ……

苑原

割れちゃったかな?

架恋

……!

苑原先輩の指先と 指先が触れて、私は 慌てて手を引っ込めた。

苑原

あー、やっぱり……、
割れてる

半透明の包みに透けて、 ヒビの入ったクッキーが 見て取れた。

架恋

……っ

私は呆然と、苑原先輩が 包みを拾い上げるのを 見ていた。

……クッキーが。

山名先生に食べて 欲しくて頑張った、 手作りのクッキーが……

その無残にもヒビの入った 姿は、まるで告白の結果を 暗示しているようで……。

架恋

……

無言で俯く私の頭上から、 苑原先輩の声が降ってきた。

苑原

これ、俺が貰ってもいい?

架恋

(……)

架恋

……どうぞ

私は先輩から目を逸らして、 立ち上がった。

そして。

由佳子

あっ架恋っ!?

私は由佳子も置いて、

食堂とは別の方向へ 向かって駆け出した のだった。

サキュバスJKは清く正しく恋したい❣️

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コメント

6

ユーザー

尊敬します! 本当に続きが楽しみです!

ユーザー

空廻さんの作品、初めて読んだんですけど、凄いファンになりました!! 完全に一方的ですけど、応援してます!!

ユーザー

続き気になるー!

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