前回バーに行ってから一週間が過ぎた。
キヨ。
俺は仕事帰りにタクシーでバーまで向かう。
金曜日。
早く家に帰ろうと急ぐ人の波をかき分けて 友人の所へ来た。
独り身の俺は特に予定もなく
とことん飲んで帰ろうなんて思って 店の扉に手をかけた。
CLOSED
キヨ。
中を覗くと、しっかり明かりはついている。
店は閉じているけれど マスターはいるはず…
そう思って店に入る。
カラン…
牛沢
キヨ。
牛沢
キヨ。
牛沢
キヨ。
そう言ってうっしーは店の隅に 首をくいっと振った。
そこにいたのは
鼻を啜りなが酒を飲む男が カウンターに座っていた。
キヨ。
牛沢
牛沢
牛沢
牛沢
キヨ。
牛沢
反対の隅に座った俺の前に ウイスキーが置かれる。
こちらを全く見る様子がないその男性は ずっと下を向いていた。
牛沢
牛沢
泣いている客に耳打ちするように 俺のことを話している。
その男性がちらっと俺の顔を見た。
キヨ。
覚えている。
確か一週間前にプロポーズをした男性だ。
俺が違和感を覚えたあのシーンだ―
キヨ。
牛沢
キヨ。
小声でうっしーに聞いてみた。
あの切れ長の目とふわふわな髪。
間違いない。
牛沢
キヨ。
牛沢
牛沢
とても気になる…
キヨ。
牛沢
牛沢
キヨ。
牛沢
俺は自分の酒を持って その男性の隣へ座る。
キヨ。
俺が近くに来たのに気づき 軽く会釈してくれる。
牛沢
うっしーはまた溜息をつき、 店の奥へと消えた。
キヨ。
キヨ。
一方的に話をしているのはわかっている。
目も合わせなければ相槌もしない。
ただ、俯いて酒を啜っているだけの男。
キヨ。
キヨ。
会話と呼ぶにはお粗末な 俺の独り言のようだった。
レトルト
10分くらい過ぎた頃だ。
その男性が口を開く。
キヨ。
ずっと泣いていたのか とてつもなく鼻声で
少し聞き取りづらいかな…なんて思った。
レトルト
口は開けどこちらは見ずに 感情のない声でそう言った。
キヨ。
キヨ。
キヨ。
キヨ。
キヨ。
先週プロポーズをして 幸せの絶頂だったはずのこの人が
その一週間後にはこうして泣いてるなんて
気にならないはずがない。
レトルト
ふぅ…と一息つき、残っていた酒を飲みながらその男は語りだした。
レトルト
衝撃だった。
プロポーズしてたのに。
彼女も笑顔になっていたのに。
キヨ。
キヨ。
レトルト
レトルト
レトルト
グラスをぼーっと眺めながら話すうち 声が掠れてくるのがわかった。
キヨ。
レトルト
レトルト
レトルト
レトルト
俺はポケットからティッシュを取り出し 彼に渡した。
キヨ。
キヨ。
レトルト
レトルト
鼻をかみながら、俺の方を見る。
目が真っ赤だ。
キヨ。
キヨ。
レトルト
キヨ。
キヨ。
レトルト
レトルト
レトルト
キヨ。
彼の話に耳を傾けていると
カウンターの奥からうっしーが戻ってきた。
キヨ。
牛沢
キヨ。
キヨ。
レトルト
牛沢
牛沢
レトルト
キヨ。
キヨ。
キヨ。
レトルト
レトルト
レトルト
そう言って悲壮感たっぷりに笑ってみせる。
その顔を見ているのがつらくて…
俺は彼の目をじっと見つめた。
TO BE CONTINUED…
コメント
3件
レトさんに浮気をするなど、最低な同じ女ですね( *`ω´) キヨの最初の相談方法草。 二人とも大好き😘 作者さん頑張ってください!