至高

ももばのアカウントに作られた、『仮作成』の投稿。 内容など『地の文から始める』しか書いていない。

傍から見たら、公開設定を間違えたかのようなこの投稿……そのコメント欄で、2人の話は進んでいた。

ゔぃあらっとのアカウントが、ジャスコードへ移動したのは、返信を投稿してすぐの事。

それを確認すると、ももばはこの投稿もまた、静かに削除したのだった。

カエデが眠る深夜二時、彼女の滅びに向けたカウントダウンは、止まる事なく続いていく……

とはいえ、2人が話し合う間も、カエデが桔花への『攻撃』を緩めないわけが無い。

ももば、ゔぃあらっと両名の、セラーノベルへのログインが途絶えて数日。

カエデは今日もまた、桔花の名を傷つけるような、悪意的な行為（こうい）に明け暮れていた。

カエデが桔花になりすまして、フォロワーやファン達に『意見』を述べる。

それを信じたユーザー達が、口々に他の作者達に対する不満を漏らしていく……

もう日常となりつつあるこの流れだが、最近はどうも、カエデが思うように盛り上がらない。

ぷくく、とカエデは声を押し殺して笑う。

通塾の電車の中は、土曜日で人が少ないとはいえ、いきなり笑い出しては、誰かの注目を引いてしまう。

堪えられない笑い声を、やっとの事で押しとどめ……一呼吸置いてから、カエデは改めて画面の向こうの彼女に向き直った。

哀れな程、必死なゔぃあらっとの謝罪。

それだけでも充分に溜飲（りゅういん）が下がると言うのに、彼女はやっと、カエデが望む『恥ずかしい行為』への覚悟を決めたようだ。

意味の無い文字とパンの絵文字が連なるだけの、見るに堪（た）えないやり取りが続く。

運営に見つかれば、アカウント停止は免（まぬが）れない、違反行為が……