テラーノベル

テラーノベル

テレビCM放送中!!
テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

死んだら私は何になるのだろうか

どこへいくのだろうか

昔から不思議に思っていた

人は死ぬと、アジアでは輪廻を繰り返し、ヨーロッパでは天国へ連れていかれて

19世紀には、虚無主義と呼ばれる死んだら無になるという意見まであった

人間は、死の先に

何を求めるのだろうか

19世紀

科学者

お願い!死なないで!

女性

全く…無茶を言うな

女性

人は永遠に生きられる…わけじゃない

科学者

それでも、今死なないといけないなんて!

科学者

理不尽過ぎる!

科学者は悔しそうに言った

彼はどんな時でも寄り添ってくれた最愛の人を失いたくないのだ

女性

理不尽…か

女性

確かにな

女性

けど、人はいつか死ぬ。それが早いか遅いかの、違いさ

そう言うと、女性は苦しそうに咳をした

科学者

大丈夫!?

科学者

僕は医者じゃないけど、何とかして見せるから

科学者

もうすこし!

女性

だめだ…ごめんな

科学者

そんなの…認められないよ!

女性

先に、待ってるから

女性はそう言って、力尽きた

科学者は虚無主義の人間だった

天国も輪廻も信じていない

無になる彼女を止められなかった事が悔しかった

科学者

死んだらその先何も無い

科学者

それなら、楽園を創り出そう

23世紀

ある研究所は、ある偉業を果たした

人類の見果てた夢を、叶えたのだ

その企画のリーダーを務める男が、沢山のメディアの前に現れた

科学者

本日はお集まり頂き、ありがとうございます

科学者

事前にお知らせした通り、私達はとうとう、死に勝つことに成功したのです!

壇上に上がってそう話すのは、最愛の人を失った科学者だった

彼は、政府によって秘密裏に行われていた延命の実験の被験者になり

何世紀も生きてきたのである

科学者

それと同時に、都市を改造して

科学者

沢山の人々が毎日幸せに暮らせる『ユートピア地区』を作ろうと企画しております!

大体の企画としてはこうだ

ユートピア地区というものを作り、そこで不老不死になる様にテロメアを凍結させた人を住ませる

肉体と、人の記憶を元に人間を蘇生出来るようにする

脳に負荷がかかるのを防ぐ為、嫌な記憶や不必要な記憶は忘れられる様にする

科学者

死んだら何になるのか

科学者

それは誰も分かりません

科学者

だからこそ、この生きている世界を楽園に変えるのです

科学者

"地上最後のユートピア"

科学者

私はこの世界を、そう呼ぶ事にします

歴史上最悪のディストピアが、誕生した瞬間だった

死んだら何になるのか

それを知るのが怖いのなら、敢えて知る必要の無い環境にする

手段としては間違っていない

けれど、死があると言うことは

死にも意味があるんだと思う

無くしていい筈が無い

けれどきっと、彼はこの先何も知らずに生きていく

大事な親友を忘れさせられた人

蘇生した人間の正体に気付いてしまった人

自分の終焉に何を得るのかを知る為に生きていた人

彼らにとってこの世界はディストピアでしか無かったと思う

けれど、彼も大勢の人々も

世界の真実には気づかない

真っ暗な研究室

培養器の中で沢山のチューブに繋がれた人間がいた

科学者

最終確認完了

科学者

もう、大丈夫そうだね

科学者は培養器の下部にあるモニターを軽く操作する

プシューという空気の抜ける音と共に培養器の中が開き、チューブの拘束から解放された女性が出てきた

倒れてくる女性を、科学者は大事に受け止める

腰まで伸ばした黒髪にハッキリとした顔立ち

彼がかつて愛した女性によく似ていた

科学者

久しぶり

科学者

やっと、逢えたね

死後の世界には何も無い

だったら、この世界をどんな神話の記述よりも素晴らしい

楽園にしてしまえば良いのさ

この作品はいかがでしたか?

566

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚