これからも、君と

うわー、だるぅ

めっちゃ寒いんだけど！

誰かカイロ持ってないー？

学校の玄関前

体操服姿の多くの生徒

そう

今日は

俺が苦手とする

マラソン大会の日

冷たい風が吹いて

手をポケットに突っ込む

後ろからetさんが

ひょこっと顔を出す

（etの髪に触る）

今日の彼女は

高いところで髪を結んでいる

いつもは髪を無造作に下ろしているから

ちょっとした変化に

ドキッとしてしまう

思ってることが全部筒抜けみたいで

別の意味で心臓が跳ねる

甘ったれた空気が漂う

etさんは

少し残念そうに

肩をすぼめる

etさんはrnの方に体を向けると

キスしてあげるよ

etさんは

それだけ言うと

駆け足で去っていった

あんなに苦手だったのに

入賞なんて

いらないと思ってたのに

今は、逆だ

絶対に勝たなければ

ほんとに

俺って、単純だと思う

彼女の言葉ひとつで

どうして

こんなにやる気が出せるんだろ

自分に勝を入れて

スタート地点へ向かった

キスしてあげる

yanくんが

ポカンと口を開けていたのは覚えてる

まぁ、そりゃそうだよね

半分くらい

冗談のつもりで言ったんだもん

だから、

期待とかは、してなかった

してなかった、のに

yanくんが苦笑いしている

その手には

丸められた賞状

yanくんが歩き出す

それを追うように

早足でその場を離れた

隣を歩くyanくんは

何も言ってこない

疲れてるんだろう

返事がない

顔を覗きこもうとしたら

手首を掴まれ

そのまま顔を近づけられる

待ってよ

まだ、心の準備できてないのに

油断していたのか

顔を向けた瞬間

唇を塞がれる

小さい呼吸音と共に

唇が離れる

余裕のある笑みを溢す

これじゃまるで

そっか

入賞できなくて落ち込んでたから

呆れた言い方をしながら

ほんとは、私も

も一回したかったって気持ちを込めて

また、唇を静かに重ねた