奪ワレル・・・

ラウールが倒れて2時間

その間、ラウールは全く寝返りも打たず動かない

規則的な呼吸が聞こえてこなければまるで死んでいるかのようだった

照の背中を見送りパソコンを起動する

佐久間から送られてきた阿部のメモを見ながら入力していく

何度検索しても、それらしい事件は見当たらなかったけど、何かしていないと落ち着かなかった

午前3時50分

誰かの息を呑む気配に意識が浮上する

誰か………？

そうだ、阿部ちゃんだ……

慌てて起き上がって阿部ちゃんを見ると、目を閉じたまま苦しそうに顔を歪めた姿が

身体を揺するが目を覚ます気配はない

あちらで襲われているのだろうか……

手を握り祈る

〜♪

と、スマホに着信が

新しく作った俺、照、ふっか、涼太のグループLINEの通話だ

あとの2人に何かあったのだろうか……

片手で阿部ちゃんの手を握り続けながらスマホをタップした

今まで聞いた事がないくらい弱々しい涼太の声に思わず声を荒げる

確証はないけど、そうでも言わないと……

涼太に声をかけながら阿部ちゃんに目を向けて思わず声が出た

そこには穏やかな呼吸で眠る阿部ちゃんが……

通話を切って翔太を見る

汗で前髪が額にくっついていて、そっと髪を分けた

露わになった翔太の額に自分の額を付け祈る

少しでも俺の力を分け与えれたらいいのに…

また突然翔太が苦しみ出した

首元を掻きむしるように手が動く

すると、その白い首に徐々に赤い痣が浮かび始めた

一気に顔色が悪くなっていく

苦しみ悶える身体を起こし力一杯抱きしめた

と、ビクッと震えた身体

そっと身体を離すと、瞼が震え、ゆっくりと開いた

目を覚ました……

これは、殺されてしまったのだろうか……

今はとりあえず生きて戻ってきてくれたことが嬉しくて目の前の身体を抱きしめた

時刻は午前4時33分