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はやと
叫んでも、もう永玖には届いていなかった。 自分の腕を引っかき、爪が割れて血が滲んでも 構わずに叫び続けるその姿は――壊れていた。
えいく
はやと
必死で手を伸ばした、その瞬間――
ガシャーン💥💥💥
鈍い音がした。
はやと
目の前が真っ白になって、視界が一瞬ゆがんだ。 砕けた鏡の破片が床に飛び散っている。 頬を流れるのは、汗じゃない。血だ。 頭から、血が出ている。
それでも。
はやと
足元がおぼつかないまま、永玖に近づく。 彼の目はもう焦点が合っていなくて、 手も震えていた。
はやと
ぐしゃぐしゃになった彼の体を抱きしめた。 暴れる手が俺の背中を叩く。 けど俺は、ただ抱きしめ続けることしか できなかった。
はやと
耳元でそうつぶやいた。 涙と血と汗が混ざって、視界が滲んでいく。 痛みも、怖さも、全部ある。だけどそれ以上に――
はやと
暴れた永玖の肩が、少しずつ力を失っていくのがわかった。 気を失うように、俺の腕の中に崩れ落ちる。
はやと
震える声でそう繰り返しながら、 救急車を呼ぶ手だけは、絶対に止めなかった。