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74
がびょ
179
ruruha
943
朝日の母親の家を出た次の日の朝。 ホテルのカーテンの隙間から、細い光が差し込んでいた。 目を開けると、隣のベッドは空だった。
櫻子
小さく名前を呼んでも返事はない。 私は少しだけ嫌な予感がして、急いでベッドから起き上がった。 洗面所にもいない。 心臓が少しだけ速くなる。 部屋のドアを開けようとした、 その時。
朝日
後ろから声がした。 振り向くと、コンビニの袋をぶら下げた朝日が立っていた。
櫻子
思わずその場に座り込みそうになるのを堪えた。
朝日
櫻子
朝日は一瞬きょとんとしてから、少しだけ申し訳なさそうに笑った。
朝日
そう言いながら、テーブルに袋を置く。 中には、おにぎりとサンドイッチ、それとアイスが入っていた。
櫻子
朝日
そう言って、当たり前みたいに笑う。 私はその笑顔を見て、少しだけ安心した。
チェックアウトを済ませて、新幹線に乗る。 昨日とは違って、今日は少しだけ会話があった。 でも、それは本当に些細なものだった。 「このお茶ぬるいね」とか、 「隣の人ずっと寝てるね」とか。 大事なことには、どちらも触れなかった。
家に帰ると、ベランダの鉢が目に入った。 数日前、植えたばかりの朝顔。 土はまだ湿っていて、何も変わっていないはずなのに、なぜか少し違って見えた。
櫻子
私がぽつりと呟くと、後ろから声がした。
朝日
振り向くと、朝日がペットボトルを持って立っていた。
朝日
そう言って、ゆっくりと水を注ぐ。 じわじわと土に染み込んでいく水を、私たちは黙って見ていた。
朝日
櫻子
朝日
私は少しだけ驚いて、朝日の横顔を見た。
櫻子
朝日
朝日は少しだけ笑った。
朝日
その言葉を聞いて、胸の奥が少しだけ痛くなった。
櫻子
気づけば、口が勝手に動いていた。
櫻子
朝日は何も言わなかった。
櫻子
朝日
櫻子
少しだけ、声が震えた。
櫻子
言い終わったあと、少しだけ後悔した。 でも、朝日は笑った。
朝日
櫻子
朝日
朝日はしゃがみ込んで、土を指で軽く触った。
朝日
そう言って、こっちを見る。
朝日
風が少し吹いた。
まだ何もない鉢の土が、ほんの少しだけ揺れた気がした。
朝日
朝日が立ち上がりながら言った。
朝日
櫻子
朝日
相変わらず、適当だ。 でもその適当さが、今は少しだけありがたかった。
櫻子
朝日
櫻子
朝日は少しだけ考えてから答えた。
朝日
櫻子
私は小さく頷いた。 その時、ふと思った。 その頃、朝日は—— そこまで考えて、やめた。
櫻子
朝日
根拠なんてないくせに、朝日はそう言い切った。
朝日