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徹
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朝日の母親の家を出た次の日の朝。 ホテルのカーテンの隙間から、細い光が差し込んでいた。 目を開けると、隣のベッドは空だった。
櫻子
小さく名前を呼んでも返事はない。 私は少しだけ嫌な予感がして、急いでベッドから起き上がった。 洗面所にもいない。 心臓が少しだけ速くなる。 部屋のドアを開けようとした、 その時。
朝日
後ろから声がした。 振り向くと、コンビニの袋をぶら下げた朝日が立っていた。
櫻子
思わずその場に座り込みそうになるのを堪えた。
朝日
櫻子
朝日は一瞬きょとんとしてから、少しだけ申し訳なさそうに笑った。
朝日
そう言いながら、テーブルに袋を置く。 中には、おにぎりとサンドイッチ、それとアイスが入っていた。
櫻子
朝日
そう言って、当たり前みたいに笑う。 私はその笑顔を見て、少しだけ安心した。
チェックアウトを済ませて、新幹線に乗る。 昨日とは違って、今日は少しだけ会話があった。 でも、それは本当に些細なものだった。 「このお茶ぬるいね」とか、 「隣の人ずっと寝てるね」とか。 大事なことには、どちらも触れなかった。
家に帰ると、ベランダの鉢が目に入った。 数日前、植えたばかりの朝顔。 土はまだ湿っていて、何も変わっていないはずなのに、なぜか少し違って見えた。
櫻子
私がぽつりと呟くと、後ろから声がした。
朝日
振り向くと、朝日がペットボトルを持って立っていた。
朝日
そう言って、ゆっくりと水を注ぐ。 じわじわと土に染み込んでいく水を、私たちは黙って見ていた。
朝日
櫻子
朝日
私は少しだけ驚いて、朝日の横顔を見た。
櫻子
朝日
朝日は少しだけ笑った。
朝日
その言葉を聞いて、胸の奥が少しだけ痛くなった。
櫻子
気づけば、口が勝手に動いていた。
櫻子
朝日は何も言わなかった。
櫻子
朝日
櫻子
少しだけ、声が震えた。
櫻子
言い終わったあと、少しだけ後悔した。 でも、朝日は笑った。
朝日
櫻子
朝日
朝日はしゃがみ込んで、土を指で軽く触った。
朝日
そう言って、こっちを見る。
朝日
風が少し吹いた。
まだ何もない鉢の土が、ほんの少しだけ揺れた気がした。
朝日
朝日が立ち上がりながら言った。
朝日
櫻子
朝日
相変わらず、適当だ。 でもその適当さが、今は少しだけありがたかった。
櫻子
朝日
櫻子
朝日は少しだけ考えてから答えた。
朝日
櫻子
私は小さく頷いた。 その時、ふと思った。 その頃、朝日は—— そこまで考えて、やめた。
櫻子
朝日
根拠なんてないくせに、朝日はそう言い切った。
朝日