今日、青年が首吊り自殺をした。
クラスメイトや先生、親も、彼が死んでしまうなんて微塵も思っていなかった。
彼の知り合いは涙を流した。
一人を除いて____
仁
あー腹減った
仁
将、今何時だ?
将
えーっと……12時10分、だね
仁
12時10分?
将
うん
和哉
ご、ごめん!!ちょっと売店が混んでて遅れちゃった!でも、食べたいって言ってたクリームパンは買ってきたよ
仁
和哉
和哉
……なに?
仁
12時10分だってよ
和哉
10分……遅れちゃったね
仁
遅れちゃったね、じゃねぇんだよっ!
仁
こちとら腹減って死にそうなんだよ!
仁
何、「遅れちゃった」って。それで済むと思ってんのかよ
和哉
いや、混んでて……
仁
言い訳をゴタゴタ抜かしてんじゃねぇよ。「遅れた」これが事実なんだよ
和哉
……
仁
遅れる、なーんてあり得ないよな?
将
将
流石に、10分は遅い、よね
仁
今日は俺と将の代わりに課題やってこいよ
和哉
え、そんなに!?
仁
これで許す俺を優しいと思えよ
仁
あ、将は大丈夫か?許せるか?
将
ああ、僕?僕は、大丈夫だよ…
仁
んじゃ、頼むわー
和哉
和哉
うん
お母さん
将ー?
お母さん
あれ、将……帰ってきてない?
お母さん
お母さん
あら、「お母さんへ」……?
お母さん
手紙なんて…どうしたのかしら?
お母さんへ
お母さん…ごめんなさい。
僕、実は学校でいじめを、"していました"
悪いこと、というのはもちろん知っていました。けれど……
常に目配せをしてくる仁くんに……
恐怖を覚えました。
もちろんいじめている僕が悪く、この世から去りたい、なんて思うのは筋違いですが……
自殺させてください。
和哉くん、ごめんなさい。
こんな弱っちい僕でごめんなさい。