たしかに"あれ"は一目惚れ、だった
キリッとした目、鍛え上げられたであろう筋肉
そんな彼に私はなぜか吸い込まれていくかのように惹かれていった
友達に言っても、あまりいい言葉は貰えない
私のことを思って言ってくれているのはありがたいが、なぜ彼の魅力に気づかないのだろう
いや、彼の魅力を知っているのは私だけでいい
私だけがいい
私が彼を初めて見たのは、高校の入学式だった
名前順に書かれたクラス表を見て、私の後ろにあった名前がふと目に入った
【京谷 賢太郎】
そう書いてあった
自分でも分からないが、どうしても京谷くんがどんな人なのか気になって仕方なかった
名前がかっこいいんだから、きっとかっこいいんたろうな
背も高そうだな。
あ、優しいかも。
なんて勝手な妄想で私の頭はいっぱいだった
ドキドキしながら入った教室では、友達と同じクラスになれて喜んでいる人や、早速クラスメイトに話しかけている人など様々だった
そんな中、私はただ京谷くんを探した
探しても、それっぽい人はいなくて諦めて自分の席に座った時、隣に机に突っ伏している男の子を見つけた
もしかして、そんな希望を心に秘めて、名前を確認してみた
すると、彼は私がずっと探していた京谷くんだった
どんな顔なんだろう、どんな声してるのかな、優しいかな。
なんて期待を膨らませて、彼をじっと見ていると、まるで私が見ていたことに気づいたかのように彼が顔を上げた
彼の顔を見ると、横からでも分かるキリッとした綺麗な目で思わず見惚れてしまった
そんな私に気づいた彼が話しかけてきた
京谷賢太郎.
話しかけられると思っていなかった私は凄くドキドキして返した返事はきっと困らせてしまっただろう
自分でも何を言っているのか分からない
何の反応もない彼をみると、必死に笑いを堪えているように見えた
京谷賢太郎.
京谷賢太郎.
京谷賢太郎.
彼に笑いかけられてドキドキが止まらない
京谷賢太郎.
京谷賢太郎.
京谷賢太郎.
京谷賢太郎.
彼に笑いかけられると心臓の音が鳴り止まない
これが恋だと気づくのはすぐだった
会ったばかりでどうかしてると思うけど、私は京谷くんに心を掴まれた
京谷賢太郎.
京谷賢太郎.
京谷賢太郎.
京谷賢太郎.
京谷賢太郎.
京谷賢太郎.
そうやって私の方を向いて微笑むその姿は私が見てきた何よりも輝いて見えた
私は既に彼の沼にハマってる_______
fin.