TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

怪盗 時雨桜

一覧ページ

「怪盗 時雨桜」のメインビジュアル

怪盗 時雨桜

25 - 助っ人登場

♥

27

2022年01月09日

シェアするシェアする
報告する

〜ユキ(真冬) side〜

ソラ

『……ユキ、聞こえるか?』

ユキ

え……? う、うん。聞こえる

あれ……? もしかしてこっちは、 ボクの心配のしすぎだった……?

ソラ

『少し電波が乱れた。今どうなってる?』

何事もなかったかのように、 ソラが現状報告を促してくる

ユキ

今は、彩莉が……

そうだ、ソラのことで すっかり忘れてしまっていた

ユキ

ボクら三人は無事目的地点まで来た。けど、彩莉が男の人を追いかけてここまで来てて……

ユキ

……今、彩莉がそいつに銃を向けられてる

ソラ

『……分かった。とりあえず、武器を持ってるそいつとやり合うのはまずい』

たしかに、ボクだって武器を 持ってる相手とは戦いたくない

ソラ

『3人はそこから逃げることを優先しろ』

ユキ

え、逃げるって……

じゃあ、彩莉のことはどうするの?

今一番危ないのは間違いなく 彩莉のはずなのに、助けもせずに 逃げるなんて……!

ソラ

『彩莉のことは一旦忘れろ。今お前らは気にしなくていい』

……これは、信じるべき?

ユキ

……爆発の時間までは?

ソラ

『2分を切った』

2分もあれば、逃げるのは余裕だ

大丈夫……きっとソラは間違ってない

ソラ

『ただ、少し時間を稼いでほしい。』

ソラ

『俺がタイミングを指示するから、それまで耐えてくれ』

ユキ

了解

何をしようとしてるのかは分からない けど、ボクはソラに従うまでだ

ソラの指示が来るまで、ここで粘る

そこのお前、時雨桜だったよな

ユキ

……?

突然、彩莉に銃口を向けたまま、 ボクの方を振り返ってそう聞かれた

今までよくもまぁ邪魔してくれたよ。たったあれだけのことでここまでするとはな

“あれだけのこと”……?

お前もこっちの嬢ちゃんも、あの時いたチビ共なんだろ?

あの時……?

ユキ

(まさか……!!)

久しぶり、とでも言っとくか?

俺は『怪盗の里』を襲った中にいたんだよ。あの時はまだ下っ端だったけどな。

そして、お前らの親を殺したのも俺だ。ま、殺った奴の顔なんていちいち覚えてねぇし、多分だけどな

ユキ

っ──!!

やっぱりそうだ

こいつは間違いなくファントムの一人

そしてさっき言っていた通り、 ボクらの里を襲った奴だ

探偵如きに追い詰められるなんて、あの里の怪盗らしくねぇな。俺らはそのずば抜けたセンスを買ってたのによ

ユキ

っ……

「あの里の怪盗らしくない」

ボクらはそれで結構だし、 らしくなくたって何だっていい

だって、ボクらは怪盗になることは なかったはずなんだから

ソラ

『ユキ、落ち着け』

ユキ

っ……分かってる……

今挑発に乗るわけにはいかない

 必死に感情を抑えて、 両手をぎゅっと握り締める

そういや、その里の怪盗はお前以外にもいたな

まさか、ブラッドムーンのこと?

まだ表にはほとんど出てなくて、 情報だって少ないはずなのに、 どうして……

ユキ

(……って、え……!?)

たしか名前が……

???

もしかしてそれ、あたしのこと言ってる感じ?

いつの間に現れたのか、 一人の女の子が男のすぐ背後にいた

口元をマスクで隠していて、 服装は動きやすさ重視のラフな格好

そして、特徴的なミルクティー色の髪

なっ……!?

ソラ

『今だ、爆発の範囲外に散れ!!』

彼女が現れたと同時に、 ソラから指示が飛んでくる

ユキ

っ!!

ボクと優と浦田先輩、全員で 客席の方に向かって走る

???

よっと!

彩莉

わっ……!?

その後ろから、彼女が 彩莉を抱き抱えて来ていた

ソラ

『3、2、1──』

ドーーーン!!!

背後から凄まじい轟音が聞こえて、 思わず振り返る

???

あっはは、危なかったね。爆発まであと15秒ってとこだった。

???

ギリギリ間に合ってよかったよ

彩莉を抱えた彼女……凪沙が、 この場に似合わない呑気な声で そう言った

彩莉

な、なぎ……

凪沙

あ、ちょっと待って。え〜っと〜……

ウェーブ

……あ、“ウェーブ”。今はウェーブって呼んで

彩莉

え……? う、うん

ユキ

それ、絶対今考えたよね

ウェーブ

だって自分のハンドルネームなんて普通考えないでしょ。ウェーブは“(仮)”。

ウェーブ

ちゃんと活動するならもっといい名前にするよ

こういう自由奔放なところは、 何一つ変わってない

彩莉

ふ、二人って知り合いだったの……?

ウェーブ

まぁちょっとね。

ウェーブ

それより彩莉、お母さんのところまで行ける?

彩莉

うん、多分行ける

ウェーブ

じゃ、彩莉はお母さんと逃げて。後はあたしらで何とかするから

彩莉

えっ、で、でも……

ウェーブ

いーの。彩莉はもう大役やってくれたし! ほら、行った行った!

まだ少し不安そうな彩莉が、 ボクの方を見てくる

ユキ

こっちはみんないるから大丈夫だよ。

ユキ

さっきみたいなことになったら大変だし、彩莉は安全な場所にいて

彩莉

……うん、分かった。

彩莉

な……じゃなくて、ウェーブ、助けてくれてありがとう!

それから、彩莉が去っていった

ユキ

……もしかして、ソラの差し金?

彩莉が離れてから、そう聞いてみる

ウェーブ

逆逆。あたしがソラさんに言ったの。

ウェーブ

ほら、一瞬通信切れた時なかった?

通信が切れた時……まさか、 あのタイミングで?

ウェーブ

あたしが不意をついてあの子を助けるから、3人はそのまま逃げてくれってね

ソラ

『助かったけど、突然パソコンをジャックするな。修復までに時間がかかった』

ウェーブ

ごめんって。でも、あれぐらいならすぐ直せるっしょ?

ソラに答えたってことは、ウェーブも 通信機をつけているらしい

それで、さっき通信が切れたのは ウェーブの仕業で、その間にソラは ウェーブと繋がってたってこと?

ウェーブ

っていうか、こんな壮大なことやるなら、あたしにも声かけてくれてよかったんじゃないの?

ウェーブ

“怪盗業”とは関係ない“いとこ”だからって、除け者扱いはひどいと思うな

凪沙は、実のボクのいとこ

でも、彼女の家はうちの怪盗業とは あまり関係なくて、ボクらみたいに 昔から訓練を積んでいるわけではない

今までずっと他人のふりを していた演技も、さっきの身体能力 だって、全部彼女の独学

ボクらとは正反対の、怪盗に 憧れてる人で、たとえ関係なくても そんなことをしてる

ユキ

わざわざ犯罪に手を染めなくてもいいのに

ウェーブ

いずれ本当に怪盗するつもりだったし、それがちょっと早まっただけだよ。

ウェーブ

それに、テロから世界を救う怪盗なんて、前代未聞でカッコいいじゃん?

……そうだ、凪沙はそういう人だった

ウェーブ

で、ソラさん。あたしらは次に何をすればいい?

ソラ

『……今は警察に任せて、一先ず全員合流する。場所はリーフのいる競技場裏。同時に俺も移動する』

ユキ

了解

ウェーブ

おおっ、怪盗っぽい……!

ソラ

『ウェーブも来るなら来い。ただし、ユキの足は引っ張るな』

ウェーブ

りょーかい!

この作品はいかがでしたか?

27

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚