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〇県の観光地の廃旅館。
過去に凄惨な事件があったとかで
一部のマニアの間で有名らしい。
それで
駿
という友人に半ば強引に連れられ
俺たちは〇県に向かった。
一輝
廃旅館は観光地の外れにあった。
外観は手付かずのまま荒れていて
事件現場だったんだろうと
誰が見ても思うほどだった。
駿
駿がスマホを俺に向ける。
駿
一輝
一輝
駿
駿
一輝
駿
駿
駿
カシャッ
シャッター音が響く。
駿は無言でスマホをポケットに入れ、
廃旅館の方へ歩いて行った。
一輝
一輝
一輝
モヤモヤを抱えたまま
俺は駿の後を追いかけた。
一輝
有名な心霊スポットの割に
何かがいる気配もなければ
心霊現象のひとつも起きやしない。
駿
何も起きないものの
館内の至る所にある血痕が
やたら不気味だと思った。
一輝
血痕にビクビクしたまま
最後の客室にたどり着いた。
部屋のドアをゆっくり開ける。
駿
駿
他の客室は何もない空の部屋だったが
この部屋にはテレビが置いてあった。
駿
一輝
テレビはやたらごつくて
ごつい割に画面はやたら小さくて
画面の隣にダイヤルがついていた。
駿
一輝
一輝
駿
駿が上下に並んだダイヤルを
デタラメに回していると
プツッー
ザァー…
ザァァァ……
駿
一輝
駿
駿
一輝
一輝
駿
スノーノイズを映し続けるテレビを
ひとしきり眺めたけど
その間も心霊現象は何もなかった。
駿
駿がそう言いながら
テレビを消すためにダイヤルを回す。
駿
一輝
駿
駿
一輝
一輝
駿
駿は指を鳴らし
テレビの傍らにしゃがむと
コンセントを手繰り始めた。
駿
駿
駿
駿
一輝
駿
駿が絶叫しながら部屋を出ていく。
一輝
一輝
駿を追うか迷ったけど
つけっぱなしのテレビを消さなきゃ
と思った俺はコンセントを手繰った。
一輝
一輝
率直に言って
コンセントはどこにも
ささっていなかった。
手繰ったコードの先は
部屋の隅に垂れていた。
一輝
怖くなって部屋を飛び出す。
廃旅館の外に出ると
駿が一服しながら待っていた。
一輝
俺が呟くと駿は黙って頷いた。
一輝
一輝
一輝
駿が煙草を吸い終えるのを待って
俺たちは〇県を後にした。
一輝
帰りの車の中で
俺は疑問に思ってたことを口にした。
一輝
一輝
駿
駿
運転しているからにしても
駿の返事は気が抜けていた。
一輝
駿
駿
反応したんだよ。
一輝の顔以外にも
何もないところで顔認証が。
ひとつやふたつじゃなくて無数に。
終