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輪廻。

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輪廻。

12 - 夢。

♥

184

2022年10月18日

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しばらく経った日、 俺は夢を見た。

夢の中でも猫と戯れていて 楽しかったのを覚えている。

しかし…

『ねぇ』

『覚えてる?』

「え?」

「誰?」

『忘れちゃった?』

『でも俺は覚えてるよ』

部屋の中で声がした。

でもそれがどこから聞こえるのかは わからなかった。

近いような、遠いような。

『君が俺のこと忘れても』

『俺は君のこと覚えてる』

『だっていつも側に―』

不思議に思ってまわりを見回すと

拾った猫が俺に何か 訴えかけていた。

口をパクパクと動かして。

「まさか…」

俺は猫に話しかける。

「いま、喋ってた?」

『聞こえてたんだね』

『良かった』

少し高い声で話す猫。

どこか聞き覚えのある声だった。

『ねぇ、会いたいよ』

「え?会ってるじゃん」

『そうじゃなくて』

『あ、でもこれは言えないな…』

「どういうこと?」

『俺、猫じゃないんだ』

『実は―』

その先は聞き取れなかった。

まるで夢から覚める瞬間のような、 何もできない感覚だった。

『そっちに戻りたい』

『だって俺…君のことが…』

黒猫

ニャー…

キヨ。

ん…

キヨ。

なんだ…お前か…

窓から光が差し込む中、 隣にいたのは黒猫。

その頭を撫でてやると 気持ちよさそうに目を細める。

キヨ。

俺さ

キヨ。

さっきまで夢見てたんだよね

キヨ。

それがあんまり思い出せないんだけど…

黒猫

ニャ?

キヨ。

急にお前が喋り始めてさ

キヨ。

ファンタジーかって

キヨ。

でも…

キヨ。

内容までは覚えてなくて…

俺の話に興味があるのかは わからないけれど

不思議そうにこちらを じっと見つめている。

キヨ。

お前が来る前にさ

キヨ。

うちには一人、居候がいたんだ

キヨ。

と言っても幽霊なんだけどね

キヨ。

俺にだけ見えてた

キヨ。

この家にずっと居たらしくて

キヨ。

最初は困ったけどさ

キヨ。

だんだん楽しくなってきて

キヨ。

毎日が幸せだったよ

キヨ。

でも―

キヨ。

ある時、消えちゃったんだ

キヨ。

その時のことはずっと覚えてる

キヨ。

俺、告白したんだ、そいつに

キヨ。

好きだって

黒猫は特に何も言わず 黙って俺の顔を見続けている。

キヨ。

そしたら、消えた

キヨ。

何だったんだろうって

キヨ。

そこから虚無感が消えなくてさ

キヨ。

俺…言わないほうが良かったのかもって…

キヨ。

辛いんだよね…

キヨ。

せっかく言えたのに…

キヨ。

なんで消えるんだよ…

キヨ。

あのバカ……

『あんた、そんな顔もできたんだね』

TO BE CONTINUED…

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