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しばらく経った日、 俺は夢を見た。
夢の中でも猫と戯れていて 楽しかったのを覚えている。
しかし…
『ねぇ』
『覚えてる?』
「え?」
「誰?」
『忘れちゃった?』
『でも俺は覚えてるよ』
部屋の中で声がした。
でもそれがどこから聞こえるのかは わからなかった。
近いような、遠いような。
『君が俺のこと忘れても』
『俺は君のこと覚えてる』
『だっていつも側に―』
不思議に思ってまわりを見回すと
拾った猫が俺に何か 訴えかけていた。
口をパクパクと動かして。
「まさか…」
俺は猫に話しかける。
「いま、喋ってた?」
『聞こえてたんだね』
『良かった』
少し高い声で話す猫。
どこか聞き覚えのある声だった。
『ねぇ、会いたいよ』
「え?会ってるじゃん」
『そうじゃなくて』
『あ、でもこれは言えないな…』
「どういうこと?」
『俺、猫じゃないんだ』
『実は―』
その先は聞き取れなかった。
まるで夢から覚める瞬間のような、 何もできない感覚だった。
『そっちに戻りたい』
『だって俺…君のことが…』
黒猫
キヨ。
キヨ。
窓から光が差し込む中、 隣にいたのは黒猫。
その頭を撫でてやると 気持ちよさそうに目を細める。
キヨ。
キヨ。
キヨ。
黒猫
キヨ。
キヨ。
キヨ。
キヨ。
俺の話に興味があるのかは わからないけれど
不思議そうにこちらを じっと見つめている。
キヨ。
キヨ。
キヨ。
キヨ。
キヨ。
キヨ。
キヨ。
キヨ。
キヨ。
キヨ。
キヨ。
キヨ。
キヨ。
黒猫は特に何も言わず 黙って俺の顔を見続けている。
キヨ。
キヨ。
キヨ。
キヨ。
キヨ。
キヨ。
キヨ。
キヨ。
『あんた、そんな顔もできたんだね』
TO BE CONTINUED…