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中也
中也の声は微かに震えていた
指し示されたモニターの中ではなおも妖艶な「名無しの男優」がカメラの向こうの観客を狂わせるような視線を送り続けている
衣服を乱し、白い包帯を晒しながら生々しい熱を放つその男の姿から中也は悍ましいものを見るように目を背けた
太宰は濡れた髪から滴る水滴を気にも留めず音もなく中也との距離を詰めた
太宰
太宰
太宰
太宰
クス、と太宰は楽しげに笑った
その笑顔にはテレビで見せる爽やかさなど微塵もない
悪魔が獲物を前にしたときの酷く昏い愉悦が混じっていた
その瞳は冷徹な捕食者の輝きを帯び、中也の逃げ場を完全に塞いでいる
中也
中也
中也
太宰
太宰は中也の言葉を遮りデスクに両手をついて中也を閉じ込めるように顔を近づけた
微かに香るシャンプーの匂いと男優としての活動を連想させるような生々しい熱気が中也の肌を刺す
あまりの至近距離に中也の心臓が警鐘を鳴らすように跳ね上がった
太宰
太宰
太宰
太宰
中也
中也
太宰
太宰
太宰
太宰の指先が中也の胸元をトントンと叩く
その軽薄な動作とは裏腹に眼差しはどこまでも冷酷で中也を完全に支配しようとしていた
中也
中也
中也は悔しさに奥歯を激しく噛み締めた
配属初日にしてとんでもない爆弾を抱え込まされた
だがここで太宰を突き放せば事務所の損失だけでなくこの男の持つ圧倒的な才能が世から消えてしまう
それはなぜか耐え難いことのように思えたのだ
中也の葛藤とその奥にある役者への敬意を見透かしたように太宰の目が満足げに細められる
太宰
太宰
太宰はデスクに置かれていた本来の舞台の契約書を無視し、中也の顎を冷たい指先でクイと持ち上げた
強制的に視線が交差する
太宰
太宰
太宰
太宰
中也は顎を掴まれたまま太宰の瞳を強く睨みつけた
そこにあるのは絶対的な支配欲とそれ以上に深い底なしの孤独だった
すべてを壊してしまいたいような危うい狂気がそこにある
中也
中也
中也
中也
中也
中也は腹を括って言い放つと太宰は一瞬呆気に取られたように目を見開いた
自分の異常性を突きつけられてなお真っ直ぐに自分を「輝かせる」と言い切ったマネージャー
太宰の胸の奥に今までにない奇妙な高鳴りが生じていた
太宰
太宰
太宰は満足げに手を離し、中也の持ってきた本来の契約書に流れるようにサインを走らせた
外の嵐はさらに激しさを増していく
こうして表の人気舞台役者と裏の顔を持つ男、そしてそれに巻き込まれた新米マネージャーの危険でスリリングな二重生活がこの嵐の夜に幕を開けたのだった
パピコォォォ
コメント
2件
まったくもう、最高じゃないのよ………!ふへへへへへへ
うわあ……第2話、めちゃくちゃ重くてドキドキしたよ……!太宰の裏の顔と中也の葛藤が生々しくて、読んでて息が詰まるような緊張感があった。特に「君のヒモになるだけさ」って台詞、軽く言ってるのに全然軽くなくてゾッとした。中也がそれでも「輝かせる」って言い返すシーン、すごく好きだな。支配されそうでされてない絶妙な距離感、これからどう転ぶのか本当に気になる〜!次回も楽しみにしてるよ🌙