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あなたは彼氏候補にもなりません!

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あなたは彼氏候補にもなりません!

1 - あなたは彼氏候補にもなりません! 1

♥

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2019年10月03日

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…どうしよう

本を読み続けて気づいたら居眠りをしてしまった放課後

夕日の差し込む教室

そのベランダで寝ていたのは、あたし

そして教室から聞こえてくる会話

よく聞き取れないけど単語単語を聞いてみると別れ話だと何となくわかる

こっそり覗かせた瞳

窓から覗いて見た

…これはどうすればいいのだろうか

そう。ただの別れ話ならよかったのに

見てしまったのは学校の有名人

まるでテレビから出てきたのかと言いたくなるほどの整った顔

そう。別れ話をしていたのは学園の人気者

それだけでも大変な話なのにもっと大変なことが起こっている

なぜならその相手が学校のアイドルと言われている橋本先輩と

…だったから

確か橋本先輩は大学生の彼氏がいたはず… 浮気!?

突然のことに両手で口を押さえてベランダに座り込んだ

あの澤本くんと橋本先輩が付き合っていたなんて

し、か、も! 澤本くんが振られてる…

暴走族の副総長で女の子に興味が無いって噂だったけど、そういう事だったのね……

女の人が好みだったわけか…

で、で、で、でも! これは大スクープ!

沙友理に連絡しなきゃ…!

こんな大スクープを誰にも言わないなんで無理にきまって…

花奏

…ない

ポケットをさがして見たけど…見つからない

まさか…ね? あたしは教室の中の2人にバレないようにこっそりとなかを見てみると

スクバのポケットにちょこんと飛び出てる私のスマホちゃん…

のぉぉぉぉぉ!

嘘でしょ!? 少女漫画に出てくるようなあの禁断のやつなのに!

早く終わってぇぇー

じゃないと私この本ちゃんと肌寒いここにいることになっちゃうじゃんかぁぁ!

ばかやろー!!

なんて声にならない声が空に響いた

せっかくの大スクープなのに写真という証拠も取れずましてや友達に報告することもできない

それに意気消沈して定位置に座り込んだ

花奏

へっくしょん

夕日もだんだん傾き始めてだんだん暗くなってきて、それと比例して肌寒さを強める

そうして寒さに1人で縮こまっていると、話は終わったのか澤本くんが鞄をもって歩き出していた

花奏

やっとか

そして本ちゃんをもってベランダの扉を開けようとしたら

ガタン

花奏

え?

あ、あかない

花奏

嘘でしょ!?

花奏

え、ちょ、ちょ

花奏

さ、澤本くん!助けて!

バンバンバン

花奏

さ、澤本くん!

よく見ると彼は耳にイヤホンを付けて教室を出て行ってしまっていた

花奏

え、ちょっと!

ど、どうしよう

こんな寒い中スマホもなく連絡手段もなく

私死んじゃうのかな…?

花奏

澤本くんのばぁーかぁー!

沙友理

焦ったよー

沙友理

私のところにも警察きたからね

花奏

ご迷惑をおかけしました…

次の日。あたしは学校中の有名人になっていた

もちろん悪い意味で

校内で締め出しくらって警察沙汰になったおばかさんと…

あのあと親や先生たちにめちゃくちゃ怒られて

花奏

こんなんじゃ彼氏なんてまた夢のまた夢

沙友理

そーね

沙友理は呆れたようにあたしを見る

それに項垂れるように反省の色を見せる

こうなったのも全部 …

花奏

あ!

噂をすれば澤本くんだ!

沙友理

急にたったりしてなんなの?

花奏

ちょ、ちょっと行ってくる!

沙友理

はぁ?どこに?

澤本蓮くん 紫蘭っていう暴走族の副総長さん?でそれなりにえらい人らしい

そしてそのかっこよさから彼氏にしたい人ランキングの上位に君臨する

そんな彼の元になんの迷いもなく歩いていくあたしにクラスのみんな…特に女子からの怪訝そうな視線がささる

でもそんなのどうでもいいくらい彼に怒っていた

花奏

澤本くん、ちょっといい?

…なに?

この人なんで昨日振られたはずなのにいつも通りなの?

でもそんなのあたしになんて通用しないから!

花奏

いいから、こっち来て!

そして人目のかからない校舎裏に逃げ込む

なに?一体こんな所になんて呼び出したりして

壁に寄りかかり気だるげに話すその態度にイライラが募る

この人のせいであたしは…!

あのさ、話がないなら教室に戻ってもいい?

花奏

はぁ!?話があるからここに呼んだんでしょ!?

あぁ

じゃあ、ごめんなさい

突然頭を下げ、あたしに謝る彼

花奏

…はい?

君とは付き合えない

ごめんなさい

花奏

……

この、なるし野郎!!

花奏

ちょっと!あたしはそんなことするために呼んだわけじゃないんだけど!

あれ?ちがった?

なんでやつだ本当に

花奏

違うに決まってるでしょ!?

花奏

なんであたしが澤本くんに告白なんてしなきゃなんないの!

…そんな事言われてもみんなそうだったから

花奏

み、みんな…?

そうだね

澤本くんや紫蘭の彼らがモテるのは周知の事実だったけど

リアルに聞くとやっぱり驚く

つい澤本くんのペースに巻き込まそうになり、頭を振って話を元に戻す

花奏

そんなことはどうでもよくて

花奏

あたしの言いたいことは昨日のことよ!

ビシッと! 人差し指で澤本くんを指さした

それまでどこか余裕そうに気だるげな表情をしていた彼の顔色が変わる

…は?

花奏

昨日のことよ!昨日の!

花奏

身に覚えがあるでしょ!?

無いなんて言ってみろ? 暴走族だかなんだか知らないけど1発殴るから…!

本当に昨日のことを一言謝ってもらわないと気が済まない

澤本くんがあの時気づいてくれてたらこんなことになんてならなかったのに

それに彼氏できる道が遠ざかることなんてなかったのに!

そうしているうちに目の前の彼は彫刻のように色味もなく冷たい顔をしていた

あぁ

なるほどね

ベランダに取り残されたばかな話の現場ってうちの教室だったっけ

急に周りの温度が下がるような冷たい口調にゾクリと背筋が凍る

日直が戸締りする前からそこにいたってことは

あの話も聞いてたってことになるね

はっ、日直…!

ちょっとまって、よくよく考えてみたらあたしがあそこに閉め出されたのは澤本くんのせいじゃない

外に人がいることを確認しないで鍵を閉めたやつの方が悪い。逆にそれ以外全然悪くない

なのにあたしは、助けてくれなかったってことに怒ってそのあとのことを考えずに自ら見てましたと言わんばかりの行動をしてしまった…

とてつもなくまずい。 逃げよう

花奏

いや、えーっと、その

花奏

今の話はきかなかったことで…

花奏

さよな

待って

花奏

ひぃぃ!

面白い話知ってるんじゃないの?

カタカタと、昨日のベランダの時みたいに全身が震えた

花奏

な、なんのことでしょうか

首を傾げてしらばっくれる

しらばくれても無駄だよ

可愛くないし

花奏

かわいいとかそんなの今は関係ないでしょ!

そう?昨日も不細工だったし

花奏

はぁ!?

花奏

やっぱり昨日私がベランダにいるの見てたんじゃない!

やっぱり見てたんだろ

花奏

…あ

ゆ、誘導尋問で自白してしまった

あたしは金魚みたいに口をパクパク動かしていた

ふーん、俺を脅そうってか

な、何をビビってるのあたし! 今は澤本くんよりあたしの方が一手先にいる

いくら別れたからって先輩と浮気していたのは事実! 禁断中の禁断!

それにあの澤本くんが振られたなんてこと、とてつもなく汚点であろう

あたしは気を取り直して腰に手を当てる。

花奏

そう!あたしはあなたを脅せる立場にいるの

ふーん、俺を脅すんだ

目元が光った気がしてまたまた全身がビクッとする

でもここまで来ちゃった以上、引き下がることなんて出来やしない

花奏

そう!脅すの

へぇー

でもさ、携帯も取れなくて警察沙汰になった君が?

花奏

それとこれとはかんけいない!

関係なくないでしょ?

脅しって証拠があって成り立つものじゃないの?

それに放課後スマホを持たないで外にいたってことは俺と先輩のことを撮った写真もないってことだし

花奏

!?

今更に初歩的なミスを指摘され反論できない…

そんなあたしの様子を見て彼は鼻で笑った

…だっさ

カッチーン

花奏

…あのねぇ!あなたみたいな人気者の噂なんて女の子がいとりにいえばあーっと言う間に広まるんだからね!?

花奏

女の子の情報ツール舐めてたら痛い目に遭うよ!?

見苦しいほどの強がりだ

澤本くんが女の子と付き合ってる…ましてや彼氏持ちの人となんて

そんなの女子たちは信じるわけがない

情報の流れがすごいのは自分たちが気になることだけ、嫌なものは信じないって言う半端な生き物

はったりだったけど、さすがの澤本くんも女子のそーゆーのは知っているみたいであたしの言葉不安を覚えたらしい

じっと立ち止まって何かを考えているみたいだった

じゃあ

ふと、そんな声が聞こえて顔を上げた時には何故か立場が逆転していて

あたしは壁側に背を向けていた

そしてグッと圧のかかる体 そして顔の真横の壁に置かれる手

あんな細い腕のどこにあんな力があったのか簡単にあたしは壁と澤本くんに挟まれていた

こ、ここ、これは

壁ドン!?!?

そんなこの状況に戸惑っているあたしが瞬きをする度に彼の顔がどんどん大きくなっている

く、唇と吐息が!

カシャ

そんな予想外の距離がシャッターの音とともに離れた

花奏

…え?

彼の香水の匂いで頭がぼーっとする中必死に考える

そんな中澤本くんは平然とスマホを手に握っていた

こういうのが証拠って言うんだよ?

にこりと笑ってその手に握られているスマホの画面が見れた

花奏

ゲッ!

そこには突然の出来事に目を見開いてフリーズしているあたしと、テレビのキスシーンのように綺麗な横顔で瞼を落とす澤本くん

ふ、2人はキスしているように見えた

花奏

な、なな…!

とてつもない恥ずかしにあたしは「な」しか言えなくなっていた

あのこと誰かに言ったらこれ学校の裏掲示板に貼り付けるから

ご機嫌そうにそういう彼のせいであたしは、金魚のように口をパクパクさせることしか出来なかった

こんなの張り出されでもしたら…

あたし、あたし… こ、殺される!?

ベランダに閉め出されたばかが学校の有名人の澤本くんとキ、キスしてたなんて

あぁ

ついてない

はぁ、2日立て続けで不幸が続くあたし

し、か、も! あたしの大事な大事なファースト壁ドンも奪われてしまったでは無いか!

彼氏いない=年齢のあたし

神崎花奏。16歳。

じゃあまず、こんな可哀想な俺のために美味しいお弁当毎日よろしくね

どうやら彼氏ができるのはまだまだ先になりそうです。

あなたは彼氏候補にもなりません!

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コメント

2

ユーザー

わおw 紫蘭でてきたー!元姫思い出す… 出来ればでいいんですけど莉子ちゃんとか誰か元姫の登場人物だしてほしい…!

ユーザー

面白い‪w 主人公好きだな‪w

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