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気がついたら、そこは暗い暗い世界だった
ここは地獄なのかと、瞬時に私は悟った
ナツネ
ハハっと笑いっていると、自然と涙がこぼれ落ちた
ルイ
ビクッと体を揺らし、恐る恐る振り返る
ナツネ
ルイ
ルイ
ナツネ
ナツネ
ナツネ
ナツネ
また、あははと力なく笑う
この世界には、私と兄さんしかいない
また今までの兄さんにもどってくれるなら、なんとかなるような気がする
生きていた頃、一緒にいてくれた少年のことはもう忘れよう
わすれよう
ルイ
ルイ
ルイ
ナツネ
ナツネ
顔を上げたとき、私は信じられないものを見た
ナツネ
兄さんの口の中から“何か”が入ろうとしている
ナツネ
それは、真っ黒い無数の蛇だった
それから、蛇は兄さんの理性を乗っ取った
そして、私は暗闇の中に拘束された
動けない、しかし動いたとして、何もできない
あぁ、本当に
私は
なにもできない
それから、時が経った
...ように感じた
後に奴「蛇」から聞いたことだが、この世界は何千年も前にメデューサによって作られた死と生の狭間の空間らしい
この昔、メデューサは一人の少年に恋に落ちた
そして、後何十年か後に死んでしまう少年と不老不死の自分の寿命の差に絶望した
そして、メデューサは永遠に繰り返すこの世界を作り上げた
しかし、メデューサはこの世に生きる娘の命と引き換えに、自らの死を選んだ
メデューサは、娘を誰よりも愛していたのだ
そして、主人を失ったこの世界は路頭に迷い始める
そこに生き残るある一匹の蛇を除いて
蛇は、メデューサを裏切り独立した一匹だった
ずっと、何百年も蛇は“身体”を欲していた
そして、そこに兄さんが現れたのだ
蛇は、この世界の主人として私を指名した
何もできないこの私を
ある日、声がした
それは、紛れも無いこの世界からの声
カゲロウデイズ
カゲロウデイズ
そう言って、“この世界”『カゲロウデイズ』は扉を開いた
つづく