私の人生は、白黒の世界だった
何をしようとしても色が出ない
冷めた現実の中で必死になって生きるのが馬鹿馬鹿しくなる
私は今、屋上に立っている
色のない世界から飛び立とうとしている
マイ
決して幸せな人生とは言えない人生
でも私は幸せだった
やっと、、、
やっと私は、、、
ケンタ
振り返ると幼馴染のケンタがいた
それが彼との出会いだった
その日から私の人生には少しずつ色が咲いてきた
彼は私の悩みをたくさん聞いてくれた
彼の悩みも私がたくさん聞いてあげた
お互いに距離が近くなっていくのを感じた
ケンタと同じ大学に決まった時は本当に嬉しかった
いつの日かケンタが私に色を与えてくれているんだと
私は気づいた
私はケンタに言った
マイ
母になって辛いことも何度かあった
その度にケンタは支えてくれた
私はもう白黒の世界なんかじゃなかった
家族ができた
これからもずっと色が咲きますように
娘が大学に入った
その時、彼にガンが見つかった
突然の余命宣告だった
彼は何度も私に言った
ケンタ
私は昔願ったことがある
何十年後も
色が咲いていますように…と…
彼の死はあまりに唐突だった
私の周りには色が咲き終わっていた
側には娘が手を握ってくれていた
私はそっと目を閉じた
色はいつかは必ず咲き終わる
そしてー
また咲き始める
私は娘の手を握りしめて
あの時の様に願った
これから
何十年後も
色が咲きますように
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