ロスタイムメモリー

君はもう何処にもいないのにね。

なんでまだ、探し続けているんだろう。

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そう言い残して、俺はちょっとの先を歩いた。

────でも...

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アイツが居なくなってから何年経ったのだろうか。

何十年も何百年も経っているような気がする。

...とまあ、こんな感じで今は過ごしている。

それは、メカクシ団とかいう変な奴らと関わったからだろう。

そう、ちょっと前まで俺は閉じこもっていた。

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────ブツンッ！！

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────パァンッ...！！

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この蝉の声...

聞き覚えがある...

炎天下で君がゆらゆらと揺れて

夏めく笑顔を見せている

その笑顔は昔と変わらない...

アヤノともう1人の俺が『あの頃』の場所に立っている。

────解ったよ、アヤノ

炎天下が俺たちを照らした瞬間...

もう1人の俺は居なくなっていた...

ずっと言いたかったこと...

照れ隠しした日々の中、ずっと抱いていた想い...

そうアヤノが言った瞬間、白いカーテンがふわりと揺れた。

暖かい光とともに、桜の花びらが宙を舞う。

アヤノは変わらない笑顔で笑うと、俺にあの赤いマフラーを巻き付けた。

────知ってるさ────

ずっと前から

俺がそう呟いた時には、もうアヤノはいなかった。

炎天下に消えた君は

きっと俺を見つめているんだろう。

俺はゆっくりと────

赤い目を開いた。