そこは、暗闇の世界だった
しかし、当然だと思った
ここは、死後の世界
何があっても不思議じゃないだろう
そう、何があっても
奈緒
青年
青年
この闇の中でもはっきりと分かる「黒」い存在
髪を後ろで束ねた青年は、私の願いを叶えてくれるようだ
青年
青年
青年
奈緒
奈緒
どんな手を使ってでも
『繰り返す』
奈緒
奈緒
奈緒
アラームの音に目を覚ました
もう何千回も聞いたアラーム
いつも通りの服に着替える
髪を結び、聞き慣れたバイブの音が鳴る
奈緒
携帯を無言で開き、メールをチェックする
正輝
奈緒
奈緒
いつも通り、玄関を出る
必ずすれ違う若いカップルを見つけ、ため息をついた
何も変わらない
そんなことは知っていた
けど、そんなことよりも私にとっては正輝に会えなくなる方がよっぽど辛いのだ
奈緒
奈緒
今日もまた、いつも通りの8月15日が始まる
何千回も繰り返した、8月15日
あの約束は、今でも心の支えだった
奈緒
奈緒
だから、私は
『繰り返す』
刹那
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