奈緒
...ねぇ
正輝
ん?
正輝
なに?
奈緒
正輝、さっきからニヤニヤ気持ち悪いんだけど
正輝
ひどい!
正輝
だって嬉しいんだからしょうがないじゃん😫
奈緒
私は別に嬉しくないし
奈緒
幼稚園の頃だってこうやって手、繋いだりしてたじゃん
奈緒
なんで今更
奈緒
つーかさぁ
奈緒
スマホで話すのいい加減疲れたんですけど
正輝
だって、周りがうるさ過ぎて奈緒の声全然聞こえないんだもん
正輝
なんか、僕だけ必死に叫んでんの虚しいし
正輝
奈緒、周りがうるさいのをいいことに僕のこと無視すんじゃん
奈緒
そんなことないよ(棒)
正輝
棒て!
正輝
まぁ、もう奈緒のツンデレには慣れたけどさ
奈緒
はぁ!?
奈緒
私がツンデレだっていうの!?
奈緒
意味わかんない!!
正輝
だって奈緒、たまにデレるじゃん
奈緒
デレないし!正輝なんかに!!
正輝
えー、でもさぁ
正輝
この前僕が熱で学校休んだ時
正輝
奈緒、お見舞い来てくれたじゃん
正輝
早く風邪治さないと、もう一緒に学校行ってやんないからね!
正輝
ってさ
正輝
これってツンデレの定型文じ
正輝
痛っ!
正輝
痛い痛い痛い!!
奈緒
それ以上言ったらマジで指一本折るからね?
正輝
うぅ...
正輝
分かったよʅ(◞‿◟)ʃ
奈緒
顔文字!💢
正輝
ま、そんな奈緒も可愛いけどね🙂
奈緒
キモい
正輝
ブレないなぁ😅
正輝
って、あれ
正輝
なんかうるさくない?
それは、突然だった
本当に突然、この人混みのうるささをもかき消すほどの人々の悲鳴が徐々に近づいてくる
それはちょうど、僕たちがスクランブル交差点のど真ん中を渡っている時のことだった
ものすごい轟音とともに、僕の視界を赤いトラックが満たした
僕は強く手を引っ張られたが、手には何もない
“何も無い”
この状況が何を示すのか、僕はすぐに理解することができなかった
赤いトラックは、僕の視界の端で倒れながら止まった
叫び声や人々の悲鳴の中、僕はただ呆然と立ち尽くしていた
奈緒の、最後の言葉を
僕は、口の動きでようやっと理解することができた
「正輝、怖いよ」
つづく







