裕香
あの
裕香
春人?
裕香
裕香です
裕香
ついに、スマホ買ってもらったんだ
春人
裕香?
春人
よかったじゃん!
春人
お前、ずっと欲しがってたもんな
裕香
そうなの!
裕香
中学生になっても買ってくれなかったからさ
裕香
流石に2年生になったら買ってね!ってずっと言ってたんだよね〜
裕香
本当に嬉しい😊
裕香
こうやってメールもできるしw
春人
そうだなw
春人
よかったな、裕香
春人
俺とメールできてさ
裕香
?
裕香
な、なぜ⁇w
春人
だってお前、これで忘れ物とか減るだろ
春人
俺にすぐ聞けるようになってさ
春人
ほんとよかったなw
裕香
い、いや!
裕香
もともと忘れ物とかなんて私はしないし
裕香
春人がいなくたって全然平気なんですよー
春人
はぁ?
春人
お前よく言うよ
春人
一昨日だって、調理実習だっていうのにエプロン忘れてハンカチ6枚持っていったってやつはどこのどいつだよ
裕香
う、え!?
裕香
なんで春人知ってんの!?
裕香
違うクラスじゃん!!
春人
いや
春人
お前、そんなの同学年なら誰でも知ってるよ
春人
お前めっちゃ有名人だから
裕香
え!?
裕香
私って有名人だったの!?
春人
え、お前知らなかったの?w
春人
この前俺の友達もお前のこと話してたよ
裕香
マジか...
裕香
で、その子私のことなんて言ってたの?
裕香
いいことだといいんだけど...
春人
さーな
春人
忘れちゃったわ
裕香
はぁ!?
裕香
いや、絶対覚えてるでしょ!
裕香
その言い方は怪しい!
春人
お前は別に知らなくてもいいことなの
裕香
そんなの余計に気になるじゃん!
春人
そうだなー
春人
とりまもう眠いわ
春人
おやすみー
裕香
ちょ、ちょっと!
裕香
逃げんなし!!
裕香
うぅ...
裕香
春人ぉ
裕香
...おやすみ
春人
おやすみ
半年後
春人
おい裕香!
春人
お前、今どこにいるんだよ
春人
おばさんが心配してたぞ
春人
まだ裕香が帰ってこないって
春人
返信しろ!
裕香
なに
裕香
春人には関係ないじゃん
裕香
友達と遊んでるってお母さんに伝えといてよ
春人
そうじゃなくてさぁ
春人
今何時だと思ってんだよ
春人
もう9時になるぞ⁉︎
春人
いつまで遊んでんだよ
裕香
だーかーらー
裕香
春人には関係ないでしょって!
裕香
私がなにしようと私の勝手でしょ⁇
裕香
それに、今は友達の家にいるから危なくないしさ
裕香
あんまり心配されすぎるのも、困るんですけど
春人
は、はぁ?
春人
なに自意識過剰になってんだよ
春人
もういいよ、お前のことなんて
春人
勝手にしてろ
裕香
はーい
裕香
言われなくても勝手にしますよーだ
春人
おばさんには自分で連絡しろよ
春人
じゃあな
裕香
ばいばーい
その頃からだったかな
私が春人と、へんな距離を置くようになったのは
いや、でもそれはしょうがなかったのかもしれない
私と春人は、違う世界の人間になってしまったのだ
そして、それは1年経った今でも変わらない
本当は、変わりたかった
違う世界同士の壁なんて壊してしまいたかった
そうすれば、未来はもっとマシな世界になったのかもしれないな
2人は高校生になった
《裕香の教室にて》
玲奈
ねぇねぇ
玲奈
名前、なんていうの?
突然、クラスでも一際目立つ可憐な少女たちが裕香に話しかけてきた
裕香
え、あ
裕香
裕香だよ
美花
へぇ、裕香ちゃんて言うんだ
美花
裕香ちゃん、すっごく可愛いね
菜々子
さっきから気になってたんだぁ、私たち
裕香
え!?
裕香
どこが可愛いの!?
裕香
みんなの方がずっと可愛いよ!
玲奈
あはは!
玲奈
裕香ちゃん、必死になりすぎw
菜々子
あれ、もしや気づいてない?
美花
裕香ちゃん、さっきからすっごく目立ってたんだよ
美花
可愛い女子がいるって
裕香
え!?
裕香
みんな目が腐っているんじゃ...?
菜々子
いやw
菜々子
本当に可愛いよ
玲奈
まぁ、それはそーとさぁ
玲奈
私たち、友達にならない?
玲奈
目立つもの同士さ
美花
私たちも、さっき知り合ったばっかりなんだよ
裕香
え、そうだったんだ
裕香
とっても仲よさそうだったからさ
菜々子
うーん、でも確かに気は合うよね
菜々子
私たち
美花
そうだよねー
美花
色々共感できる部分がたくさんあるんじゃないかな
玲奈
ということでさ
玲奈
ならない?友達
裕香
うん!
裕香
私、1人でどうしようと思ってたところだったからさ
裕香
なりたい!友達
玲奈
よし!
玲奈
じゃあ決定ね
玲奈
あ、ちなみに私の名前はレナ。よろしくね
菜々子
私はミカっていうから
菜々子
私はナナコ
菜々子
よろしく〜
裕香
よろしくね!3人とも
たったそれだけだった
私は、ただ平穏な学校生活を送りたいだけだっのに
神様は、それさえも許してはくれなかった
気づいてしまっては
もう、記憶として焼き付いてしまっては
忘れることなんて、できるわけもなかった
つづく







