早朝、ちょうど朝日が昇り始めた頃
少女はビルの屋上に立っていた
「やっぱり少し怖いや」
そう呟いた少女の目には、もう一片の光さえ残っていなかった
携帯電話からバイブ音が止むことなく鳴っている
そんな音でさえ、今の少女には少々五月蠅く感じられた
少女は手すりに手をかけ、前のめりになる
楚日
直前、少女の体は力なく倒れ、朝日に照らされた体はその光の中へ飲み込まれていってしまった
明人
明人
明人
明人
俺は、お前が大好きだったんだ
明人
もう、何度この無駄なやり取りを繰り返しただろう
もうどうしたって、あいつは助からないのだ
そんなことは、もう分かっていた
つづく
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