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チエコ
ちょっと、あんた邪魔なんだけど！
マユミ
ご、ごめんなさい！
チエコ
それに、あんたの机のまわりすごく臭いんだけど！
チエコ
生ゴミでも入ってんじゃないの～？
マユミ
そんな…
チエコ
確認するから！
チエコはマユミの机を蹴り倒した
中からバサバサと教科書やノートが散乱し
生ゴミがへばりついていた
チエコ
うわっ！マジでゴミみ入ってんじゃん！どうりで臭いわけだよねぇ！
マユミ
嘘…なんで！？
教科書に絡み付く生ゴミが悪臭を放つ
チエコ
見てよトオル！このゴミ！
トオル
げ…きったねぇ…
マユミ
ち、違うのトオル！これは私のゴミじゃない！
マユミ
（きっと、私が席を立ってる間にチエコが入れたんだ！）
マユミ
（私がトオルのことちょっと気になってるって知ってて、あんなこと言ったんだ！）
チエコ
お前のゴミじゃなかったら誰のだって言いたいの？
マユミ
それは…
マユミ
（チエコのせいにしたら、きっともっとイジメられる！）
チエコ
ほ～ら言えないんじゃん？ちゃんと片付けしとけよ！
トオル
チッ。嫌なもん見た
マユミ
（そんな…私のせいじゃないのに…！）
マユミ
（チエコのヤツ絶対に許さない！）
マユミ
（私のことを散々バカにして、そのせいでクラス内でも孤立してるんだから…！）
マユミは集合写真を取り出してチエコの顔に画びょうを突き刺して行く
マユミ
（許さない許さない許さない！）
マユミの母親
マユミ、定期購読の雑誌が届いたわよ
マユミ
あっ！そうだ、今日は雑誌が届く日だったんだ！
マユミ
ふふっ。この前のコンテストに出した作品は自信があるんだ
マユミ
絶対に受賞してるはず！
マユミ
（学校でイジメられるようになってから、私は小説を心のよりどころにするようになった）
マユミ
（活字を読むと別世界へ冒険できて、現実の世界が消えていく気がするんだ…）
マユミ
（私は小説家になって、チエコたちを黙らせてやるんだ！）
しかし、雑誌にマユミの名前は載っていなかった
マユミ
え…どうして私の名前が書かれてないの？コンテストの発表って今月だよね？
マユミ
またダメだったのかな…
マユミ
でもこの受賞作なんて全然面白くないじゃん！
マユミ
ありきたりな設定にありきたりな主人公！
マユミ
私の作品の方がずっとずっと面白かったはずなのに、どうして！？
マユミ
これじゃチエコたちを黙らせることも、見返すこともできない！
チエコ
あ～あ、今日もなんか生ゴミ臭くない？
トオル
マジかよ。いい加減にしてくれよ
マユミ
…っ！
チエコ
絶対あんたのせいだよね？
マユミ
ち、違う！私じゃない！
チエコ
嘘ついてんじゃねぇよ！
ガンッ！
チエコは思いっきりマユミの机を蹴り上げた
横倒しになった机から大量の生ゴミが溢れだす
トオル
うわ！なんだよこれ！
マユミ
わ、私じゃない…！
チエコ
マジで最悪。キモイんだよ生ゴミ女！
チエコはマユミの頭を生ゴミに押し付けた
マユミ
（ひどい…私じゃないのに！！）
4月14日
マユミ
（今日もイジメられるのかな…制服にまだ生ゴミの臭いが染みついてる気がする…）
マユミ
あ…今日って4月14日！？私誕生日じゃん…
マユミ
（今までにこんな最低な誕生日ってなかったよね）
マユミ
（学校に行ったって誰も祝ってくれない。きっと、また嫌な気持ちになるだけだ）
マユミ
なんか…嫌になっちゃったな…
マユミはフラリと浴槽へ向かった
剃刀を手に取り、お湯が張られている浴槽に入る
マユミ
（手首を切れば、楽になれるのかな…）
ザクッ！
湯船の中は真っ赤に染まっていった…
マユミ
ん…ここは…病院？
マユミ
そっか、私死ねなかったんだ…
チエコ
まゆみ！！
マユミ
え、チエコ？どうしてここに？
チエコ
心配したんだよまゆみ！体、大丈夫なの！？
マユミ
う、うん…
マユミ
（チエコが私の心配をするなんて、どういうことだろう？）
マユミ
（あ！私がイジメに遭っていたことをバラされると思って、口封じのために来たのかな？）
チエコ
本当にびっくりしたよ。学校に来る途中でまゆみが交通事故に遭うなんてさ！
マユミ
交通事故…？
チエコ
覚えてないの？信号無視の車に撥ねられてここに運ばれたんだよ？
マユミ
まさか。私は今朝家を出てないんだから、車に撥ねられるわけないじゃん
チエコ
まゆみ、もしかして忘れちゃったの？
チエコ
事故の前後の記憶がないことってよくあるみたいだけど…
マユミ
ちゃんと覚えてるよ！私は朝学校へ行く前に浴槽で手首を切ったの！
マユミ
…死ぬために！！
チエコ
なに言ってるのまゆみ
チエコ
どうしてまゆみが自殺なんてしなきゃいけないの？
チエコ
それに、手首に傷なんてないじゃん
マユミ
え…？
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