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カップル短編詰め

7 - 病みカップル BADEND

♥

12

2023年03月04日

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モンシロ楪

病み要素もりもりです

モンシロ楪

暴力表現少しあります

モンシロ楪

見る人によればしんどいかもです

モンシロ楪

お気をつけください

僅かな金属音と布が擦れるような音で目を覚ます

周りを見ても暗闇で まだぼんやりとした頭で 先程までの自分の状況を整理する

確か手こずっていた取引先との 交渉を無事終えて

チームの皆と祝杯をあげて

それから…?

思い出そうとするがそこからの 記憶が無い

本当ならどうにかお金を貯めて 引っ越したセキュリティ万全な家、 なはずだけど

ここはどこなのだろう

目を凝らしてよく見ると

どこか見覚えのあるタンス

小さめの鏡だけのドレッサーの上に 見飽きたコスメ類

あれは…私のスーツケース?

違和感に気づいたその瞬間に

目の前の扉が開く

久方ぶりの光に目を細める

そう強くはなかったので1分と 経たないうちに目は慣れたが

そこにあった顔に思わず固まる

ユイ

イオ…

イオ

やっとお目覚め?

イオ

意外と寝坊助だよね、ユイ

あれから2年ぶりだろうか

相変わらずダボッとした服装だが 見た事のない、統一感のある様子

光を後ろ背に浴びている彼の顔は よく見えない

でもどこか狂気を帯びているのを 感じたのは

逃げなくてはいけないという 私の本能か

すぐさまベッドから飛び起きて 彼の体を突き飛ばし 部屋から出る

そう

しようとした

飛び起きようとした体は

何かに引っ張られてベッドに 戻された

そこでようやく 両手を頭上で縛られていると気付く

よく見ると脚にもなにか鎖のような ものが巻き付いている

イオ

暴れないで

イオ

体痛めるよ?

まるで心配しているような声色で

私の傍に座り しばられた両手を撫でる

ここは2年前に住んでいた家だ

そしてここに私を 攫ってきたのは紛れもなく彼なのだ

ユイ

…これを取って

ユイ

私を家に帰して!

イオ

何言ってるの

イオ

ここが家でしょ?

イオ

帰るとこはここだよ?

愛しそうに私の頬を撫でる

狂気を隠さずにその瞳に纏ったまま

ユイ

…っ

ユイ

私の帰る場所は

ユイ

ここじゃない…!

瞬間

空気が凍てつく

感じ取ったのも束の間

頬に鈍い痛み

一瞬何が起きたか分からなかった

私は殴られたのだ

イオ

なんでそんな事言うの?

イオ

ユイの

イオ

俺たちの帰るとこだろ!

ユイ

もうあんたとは…!

イオ

うるさい!

イオ

違う、まだ…!

イオ

ユイは俺の…!

髪を掻きむしり

呼吸を乱して

私の首に手をかけてくる

気道を塞がれ上手く酸素が吸えない

余りの苦しさに

しかし身をよじることしか出来ず

朦朧としてきた意識で なんとか声を絞り出す

ユイ

イ…オ…

イオ

…!

ぱっと手を離され 途端に肺に流れ込む空気に 驚いて咳き込む

当の本人は今にも泣き出しそうだ

泣きたいのはこっちだというのに

イオ

は、はは

イオ

ユイが悪いんだよ…?

イオ

逃げようとするから…

まだ浅い呼吸に夢中になっていると 口を塞がれる

酸素が脳に行き渡っておらず 滑り込んできた舌による快感しか 考えられなくなる

気持ちいい

嫌なはずなのに

苦しくてしんどいはずなのに

頭が馬鹿になっていく

唇が離れた隙に息を整える

遅い思考は服の下に入ってくる手に 瞬時に反応した

ユイ

な、

ユイ

いや…!

どうにか逃げようとするが

四肢を拘束されて全く抵抗にならない

イオ

大丈夫だから

イオ

優しくする

耳元ですすり泣きながら

それでも酷くはしないと

どこか縋るような声で囁く

イオ

だから

イオ

俺から逃げないで

泣いて

暴れて

よがって

疲れた体で

もう起き上がる力さえ無く

顔だけで片付けをしている彼を見る

ユイ

ねえ

掠れた声で呼びかけても こちらを見る様子は無い

その背は 何も聞きたくないと 語っている

それでも構わずに 気になったことを問い掛ける

ユイ

大学は?

思いもよらなかったのか やっと彼がこちらを振り向く

私がこの2年間一番後悔していたのは

働いていない彼を残して 飛び出してきたことだった

学生の彼に家賃を払える訳もなく

そのうち家無しになるはずだった

だとしたらなぜこの家にまだ 住んでいるのか

似た部屋なのかとも思ったが

彼の口ぶりからして そうではないようだった

イオ

あー…

イオ

やめたよ

ユイ

…え?

イオ

やめて、親父のやつ継いだ

ユイ

でも、あんた

たしか、彼は親とは絶縁状態で

お父さんの会社はお兄さんが継ぐはずじゃ

イオ

頑張ったよ?

イオ

社長なんてやった事ないし

イオ

勉強すらしてなかったから

イオ

必死にやって

イオ

地盤もかなり固めて

イオ

兄貴を蹴落としたんだ

ユイ

褒めて褒めてと

微笑んでくる

イオ

落ち着いてから

イオ

探したんだよ、ユイのこと

イオ

これでも我慢したよ

良くしてくれた兄に

恩を仇で返したのに

イオ

そうそう!

イオ

なんか社長は威厳がないとダメなんだって

イオ

で、高層マンションの最上階買っちゃった

イオ

ユイ、1回でいいから景色見てみたいって言ってたでしょ?

私にはもう

彼が何を考えているのか

分からなかった

イオ

ねえ

イオ

もう二度と

イオ

逃げないでね?

BAD END 〜キミトイタイカラ〜

モンシロ楪

こんにちは

モンシロ楪

あるいはこんばんは

モンシロ楪

いかがだったでしょうか

モンシロ楪

かなり病み要素多かったと思います

モンシロ楪

自分で書いててまずいなと思いました

モンシロ楪

それでは解説を少し

モンシロ楪

イオくんの家は複雑家庭です

モンシロ楪

長男は後継者なので大事に育てられましたが、次男であるイオはいないもの扱いでした

モンシロ楪

嫌気が差して彼は家を出ました

モンシロ楪

美大生となった彼の学費はお兄さんが払っていました

モンシロ楪

お兄さんは弟のことをずっと気にかけてくれていました

モンシロ楪

そんなイオは

モンシロ楪

デザイン系の職につけたらな〜と

モンシロ楪

緩く、ですが夢を持っていました

モンシロ楪

その夢を投げ捨て

モンシロ楪

お兄さんを蹴落としたのは

モンシロ楪

兄貴も俺を嫌っているのだろうと

モンシロ楪

ただ関わらないでほしいから学費を払ってるんだろうと

モンシロ楪

ひねくれた考えを持っていたのもありますが

モンシロ楪

勉強すらしていなかった経営も

モンシロ楪

ぽっと出の知らん若造に指示を受けるのはゴメンだと

モンシロ楪

罵られるのも

モンシロ楪

全ては

モンシロ楪

ユイといるためでした

モンシロ楪

そしてもう離れてほしくないと

モンシロ楪

彼女を文字通り繋ぎ止めるのでした

モンシロ楪

以上です

モンシロ楪

見ていただきありがとうございました

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