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モンシロ楪
モンシロ楪
モンシロ楪
モンシロ楪
僅かな金属音と布が擦れるような音で目を覚ます
周りを見ても暗闇で まだぼんやりとした頭で 先程までの自分の状況を整理する
確か手こずっていた取引先との 交渉を無事終えて
チームの皆と祝杯をあげて
それから…?
思い出そうとするがそこからの 記憶が無い
本当ならどうにかお金を貯めて 引っ越したセキュリティ万全な家、 なはずだけど
ここはどこなのだろう
目を凝らしてよく見ると
どこか見覚えのあるタンス
小さめの鏡だけのドレッサーの上に 見飽きたコスメ類
あれは…私のスーツケース?
違和感に気づいたその瞬間に
目の前の扉が開く
久方ぶりの光に目を細める
そう強くはなかったので1分と 経たないうちに目は慣れたが
そこにあった顔に思わず固まる
ユイ
イオ
イオ
あれから2年ぶりだろうか
相変わらずダボッとした服装だが 見た事のない、統一感のある様子
光を後ろ背に浴びている彼の顔は よく見えない
でもどこか狂気を帯びているのを 感じたのは
逃げなくてはいけないという 私の本能か
すぐさまベッドから飛び起きて 彼の体を突き飛ばし 部屋から出る
そう
しようとした
飛び起きようとした体は
何かに引っ張られてベッドに 戻された
そこでようやく 両手を頭上で縛られていると気付く
よく見ると脚にもなにか鎖のような ものが巻き付いている
イオ
イオ
まるで心配しているような声色で
私の傍に座り しばられた両手を撫でる
ここは2年前に住んでいた家だ
そしてここに私を 攫ってきたのは紛れもなく彼なのだ
ユイ
ユイ
イオ
イオ
イオ
愛しそうに私の頬を撫でる
狂気を隠さずにその瞳に纏ったまま
ユイ
ユイ
ユイ
瞬間
空気が凍てつく
感じ取ったのも束の間
頬に鈍い痛み
一瞬何が起きたか分からなかった
私は殴られたのだ
イオ
イオ
イオ
ユイ
イオ
イオ
イオ
髪を掻きむしり
呼吸を乱して
私の首に手をかけてくる
気道を塞がれ上手く酸素が吸えない
余りの苦しさに
しかし身をよじることしか出来ず
朦朧としてきた意識で なんとか声を絞り出す
ユイ
イオ
ぱっと手を離され 途端に肺に流れ込む空気に 驚いて咳き込む
当の本人は今にも泣き出しそうだ
泣きたいのはこっちだというのに
イオ
イオ
イオ
まだ浅い呼吸に夢中になっていると 口を塞がれる
酸素が脳に行き渡っておらず 滑り込んできた舌による快感しか 考えられなくなる
気持ちいい
嫌なはずなのに
苦しくてしんどいはずなのに
頭が馬鹿になっていく
唇が離れた隙に息を整える
遅い思考は服の下に入ってくる手に 瞬時に反応した
ユイ
ユイ
どうにか逃げようとするが
四肢を拘束されて全く抵抗にならない
イオ
イオ
耳元ですすり泣きながら
それでも酷くはしないと
どこか縋るような声で囁く
イオ
イオ
泣いて
暴れて
よがって
疲れた体で
もう起き上がる力さえ無く
顔だけで片付けをしている彼を見る
ユイ
掠れた声で呼びかけても こちらを見る様子は無い
その背は 何も聞きたくないと 語っている
それでも構わずに 気になったことを問い掛ける
ユイ
思いもよらなかったのか やっと彼がこちらを振り向く
私がこの2年間一番後悔していたのは
働いていない彼を残して 飛び出してきたことだった
学生の彼に家賃を払える訳もなく
そのうち家無しになるはずだった
だとしたらなぜこの家にまだ 住んでいるのか
似た部屋なのかとも思ったが
彼の口ぶりからして そうではないようだった
イオ
イオ
ユイ
イオ
ユイ
たしか、彼は親とは絶縁状態で
お父さんの会社はお兄さんが継ぐはずじゃ
イオ
イオ
イオ
イオ
イオ
イオ
ユイ
褒めて褒めてと
微笑んでくる
イオ
イオ
イオ
良くしてくれた兄に
恩を仇で返したのに
イオ
イオ
イオ
イオ
私にはもう
彼が何を考えているのか
分からなかった
イオ
イオ
イオ
BAD END 〜キミトイタイカラ〜
モンシロ楪
モンシロ楪
モンシロ楪
モンシロ楪
モンシロ楪
モンシロ楪
モンシロ楪
モンシロ楪
モンシロ楪
モンシロ楪
モンシロ楪
モンシロ楪
モンシロ楪
モンシロ楪
モンシロ楪
モンシロ楪
モンシロ楪
モンシロ楪
モンシロ楪
モンシロ楪
モンシロ楪
モンシロ楪
モンシロ楪
モンシロ楪
モンシロ楪
モンシロ楪
モンシロ楪
モンシロ楪