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送り狼

送り狼

「送り狼」のメインビジュアル

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送り狼

♥

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2021年07月20日

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皆さんは「送り狼」という言葉を ご存知ですか?

現代でよく知られているのは

親切を装って女性を送っていき、途中ですきがあれば乱暴を働こうとする危険な男性

こうだと思います。

今回はあまり知られていない 「送り狼」

こちらについてお話させていただきます。

睦月

うわぁ…、時計見てなくてもうこんな時間だよ…。

私は時間を忘れて友達と遊んでしまい辺りは完全に真っ暗。 しかも、私の家は山道を少し登っていかないと行けない…。

睦月

家までまだ遠いしこんな事なら泊めて貰えばよかった…。

人の気配も無く、物騒な事件の話も聞かないわけでは無いので余計に怖くて帰路を急いでいた。

こんばんは。

睦月

え?

こんな時間に1人で出歩くなんて危険よ。

睦月

え、あ、はい…。

その時私が出会ったのはとても綺麗な女性でした。

私が家まで送ってあげる。

月明かりのに照らされたその女性は妖しく美しく、そしてどこか力強い…。 そんな雰囲気でした。

睦月

あ、あの…。
大丈夫です、1人で帰れます…から…。

ふふふ、遠慮しなくていいのよ。

それにこの先に貴女を犯そうと構えてる変な男達がいるわよ。

睦月

え…。

でも大丈夫、私が後ろからついて行ってあげる。
そうすればその男達は絶対貴女を襲えない。

睦月

…。

ね?いいでしょ。

睦月

は、い…。

私は…

祖母から聞いた話で 彼女正体を知っている…。

モブA

おい、来たぞ。

モブB

そうだな、んじゃお楽しみと行きますか。

モブA

こんばんは〜。

モブB

こんな時間に1人で何やってんの?

睦月

あ、えっと…、家に帰るところです。

彼らは気付いていない…。

モブA

んじゃ、俺らが送ってあげるよ。
女の子の一人歩きは物騒だからね〜。

モブB

おいおい、そのまま送り狼になるんじゃねぇぞ。

モブA

そりゃお前もだろ。

目の前で笑い話をする 男達は気付いていない…。

モブB

ねぇねぇ、黙ってないで早く行こうよ。

私の背後にいる存在こそ 本物の「送り狼」である事を。

モブA

ん?

消 え ろ

消 え ろ

消 え ろ

こ の 娘 は 私 の 獲 物 だ

モブA

あ…あわわ…。

モブB

おい、どうしたんだよ?

モブA

ま、前…。

モブB

はぁ?

モブA

前見ろよ!あの女の後ろ!!!

モブB

んー?な!?

モブB

な、なんだよ…あれ…。

モブA

知るか!
とにかく車まで逃げんぞ!

私の背後に異形のモノを見た様に男達は顔を真っ青にし自分達が乗ってきた車の方へと駆けていき猛スピードで私がいる方と逆へと走り去って行った…。

ふふ、あんなに慌てちゃって。

私の背後から聞こえる声は先ほどから聞いている女性の声であった。 しかし、私は異様な気配を感じ後ろを振り向けなかった…。

そして、私は家に向かって再び歩き出そうとするが男達が去った事に対する安堵からか背後の存在への恐怖からか歩き出した足が上手く上がらず前方に転けてしまった。

睦月

…。

やってしまった…。

送り狼相手に1番やってはいけないことを…。

今転んだの?

もし、そうなら

あ な た を 食 べ て し ま っ て も い い わ よ ね ?

睦月

い、いえ…。

睦月

少し疲れたので全身を伸ばすために横になっただけです…。

苦しすぎる言い訳だ…。

…。

だけど、これでいい…はずだ…。

そう、それは残念。

でもこんなところで横になるのは服が汚れるからお勧めしないわよ。

睦月

そう、ですね…。

私は慌てて起き上がり服の汚れをはたいて 再び帰路に着いた。

睦月

ここで、大丈夫です。

そう、分かったわ。

睦月

“お見送りありがとうございました。“

ふふふ、いいのよ。
また遅くなる時があったら送ってあげるわ。

貴女が転けてくれるまで何度でも送ってあげる。

そう言い残し女性は来た道を戻り 闇の中へと姿を消した。

送り狼

夜の山道や峠道を行く人の後をついてくるとして恐れられる妖怪。 転んだ人を食い殺すなどといわれるが、正しく対処すると逆に周囲からその人を守ってくれるともいう。

転んでも「どっこいしょ」と座ったように見せかけたり、「しんどいわ」とため息交じりに座り、転んだのではなく少し休憩をとる振りをすれば襲いかかってこない。

そして、無事山道を抜けうことができたら「さようなら」や「お見送りありがとう」と一声かけると後を追ってくることはないという。

好意を装いつつも害心を抱く者や、女の後をつけ狙う男のことを「送り狼」と呼ぶのは、この送り狼の妖怪伝承が由来である。

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