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イヤホン越しの雨音が、やけに近かった
窓を叩く水滴の音と、シャーペンが紙を擦る音だけが静かな部屋に残る
時計を見る
午前1時47分
開いたままのノートには途中までしか解かれていない問題。 冷めきったコーヒーを一口飲んで、もふは小さく息を吐いた。
mf
呟いた声は、自分しか聞いていない
スマホの画面が光る
表示された名前を見て、指が止まった
ひろ
数秒迷ってから、短く返す
『起きてる』
送ってすぐ、通話画面に切り替わった
mf
反射的に出た声と同時に通信音が鳴る
もふは眉を寄せたままイヤホンを付け直し、通話ボタンを押した
mf
hr
mf
hr
いつも通りの声
軽く笑ってるみたいな返し方に、もふは椅子へ深く座り直した
mf
hr
mf
カチ、とシャーペンを置く
沈黙
でも、不思議と気まずくはない
hr
mf
hr
mf
hr
くす、と小さく笑う声
それを聞きながら、俺は問題集を閉じた
本当はもう三十分くらい前から集中なんてできていなかった
文字を読んでも頭に入らない
考えたくないことばかり浮かぶ
hr
mf
hr
mf
即答
それなのに、通話の向こうは静かだった
何も返ってこない
mf
hr
一拍
hr
呼吸が止まりそうになった
無意識にメガネへ触る
mf
hr
追求はされなかった
それが逆に苦しい
ひろは、こういうところがずるい
踏み込みすぎないくせに、見抜いてくる
mf
hr
mf
hr
mf
hr
軽口
いつも通り
そのはずなのに、胸の奥だけ妙にうるさい
もふは椅子から立ち上がり、カーテンを少し開けた
街灯に照らされた雨が白く見える
hr
mf
hr
mf
ぽつりと返す
それだけなのに、ひろは少し笑った
hr
mf
hr
mf
hr
mf
hr
mf
でも
本当は少し前、コンビニに行こうか迷ってた
眠気覚ましのコーヒーを買おうとして、雨を見てやめた
どうでもいいことまで当てられそうで嫌になる
hr
mf
名前を呼ばれる
たったそれだけ
それだけなのに、喉の奥が詰まるみたいだった
hr
優しい声だった
押しつけるでもなく、責めるでもなく
ただ、心配するみたいに
視線を落とす
窓に映った自分の顔は、思ったよりも疲れて見えた
mf
小さく返す
その声が少し掠れていたことに、ひろは多分気づいていた
でも、何も言わなかった