主
主
主
主
主
主
主
主
主
主
夢の世界(夢の国じゃないぜ)
太宰 治
任務。
『双黒』として敵組織の壊滅。及び本拠地の抹消。
幾ら何でも建物が大きすぎた。
だから『汚濁』を使わせた。
鳴り止まない倒壊音。 鳴り響く銃声にも似た音。
パァンッ‼︎
太宰 治
その中に一つ、本物の銃声が響いた。
生き残りの残兵が発砲したのだ。
弾が中也の背中を撃ち抜く。
血が___赫い、血が噴き出る
太宰 治
現実世界
…きろ…
ざ…おきろ…
中原 中也
太宰 治
目を開けると少し狭い、片目だけの視界が広がる。
…何時もより、ぼやけて居る… 何故だろう…
中原 中也
太宰 治
やっと意識がはっきりしてくる。同時に先程までのは夢だったのだと安堵する。
今日の任務の打ち合わせ中、中也に電話が掛かって来た。
その時につい寝てしまって居たらしい。
中原 中也
中原 中也
太宰 治
中也の云った言葉に左頬に触れると、確かに涙で濡れて居た。
太宰 治
それにこの状態なら右眼の包帯も濡れてしまって居るのだろう。
太宰 治
中原 中也
黙った儘の私を心配したのか、下から覗き込んでくる中也。
包帯を替える為に立ち上がり乍ら云う。
太宰 治
中原 中也
引き出しを弄り乍ら、そろそろ包帯の予備を買って来ないとな、なんて考える。
そこで切り替えた中也が話し始める。
中原 中也
太宰 治
話を遮るように云った私の方に振り向く中也。
私は思わず云って仕舞った事に苦い顔をする。
中原 中也
太宰 治
太宰 治
中原 中也
夢だったとしても
そう。あの夢の中の建物は今日の任務地にひどく似て居た。
念の為。
リスクは徹底的に潰すに限る。
太宰 治
中原 中也
私の尋常じゃない雰囲気に気圧されたのか、中也は同意を示した。
太宰 治
太宰 治
中原 中也
太宰 治
これ以上狼狽した処を見られたくなくて
狼狽させられたくなくて。
声を荒げると中也は無言で出て行った。
中原 中也
表情は見えなかったけど多分、苛々して居たと思う。
出て行った事を確認してから、深い溜息を吐いた。
右眼の包帯を取って新しい物を巻き直す。
未だ何もして居ないに等しいのに、なんだかどっと疲れてその場に屈み込む。
太宰 治
胸の奥が気持ち悪くて浅く咳き込んだ。
太宰 治
立ち上がり、ドアに向かっていく。
中也視点
中原 中也
太宰に出て行けと云われ、無言で扉を潜った。
でも太宰が心配で暫く扉の前に突っ立って居た。
太宰 治
少しすると太宰が咳き込むような音が聞こえ、耳を澄ます。
太宰 治
近付いて来る気配があった為、取り敢えず大丈夫なのだとは思ったが…
中原 中也
太宰の顔色が悪い。 それは相棒として太宰と組んだ日から、一度も見た事がないくらいに。
具合を見ながら行動した方が善さそうだと考えながらラウンジの椅子に腰掛け、恰もずっとそこで待って居たかのように太宰が出て来るのを待った。
中也視点
中原 中也
運転して居た車から降り、隣の太宰に話しかける。
太宰 治
太宰 治
中原 中也
俺と太宰は、その建物の入り口へと歩いて行った。
太宰視点
中也が建物を所々陥没させ乍ら進み、その後ろに私が続く。
敵がわらわらと出て来て、私はそれらを撃ち殺す。
太宰 治
中原 中也
太宰 治
太宰 治
中原 中也
太宰 治
ダンッ!
太宰 治
銃弾が切れたから変えようとよそ見をした隙に、背後から撃たれた。
何時もならこんな事は無いのに…!
中也に大声で云われたお陰で急所は外したけれど、左肩に激痛が走り鮮血が散る。
中原 中也
すぐさま中也が私を撃った奴を重力で殺す。
ぐちゃりと厭な音がした。
太宰 治
激痛で立って居られない。 体調不良に出血が重なり、目眩が酷くなる。
中原 中也
中原 中也
中也はそう呟くと、私を安全な木の影に連れて行った。
何処から取り出したのか、白い布で左肩を縛る。
中原 中也
太宰 治
中原 中也
私に云うと、中也は瓦礫の一つを浮かせて其処に飛び乗った。
次の瞬間、響く破砕音。 割れた窓ガラスが月光に照らされ、きらきらと輝く。
これならすぐに終わる、と思いふと横を見ると
茂みの影から黒光りする銃が見えた。
照準は中也に合わさって居る。
太宰 治
危ない
そう云おうと思い、立ち上がろうとしたが、肩に痛みが走り云い切ることができなかった。
駄目だ…!
パァンッ‼︎
弾が中也の背中を撃ち抜く。
血が___赫い、血が噴き出る。
太宰 治
夢と___同じだ。
太宰 治
ぱたたっ、と音がして私の頬に中也の血の花が咲く。
自分の意識が無くなって行くような感覚がした。
中原 中也
銃弾に背中を撃たれ、思わず歯を食い縛る。
でも、此の儘ではまだ生き残りが居ると思い、力を集中させる。
痛みに歪む視界の中で、建物が空き缶のようにひしゃげるのが確認出来た。
中原 中也
太宰を休ませておいた木の方を見たが、太宰は居なかった。
慌てて周りを見渡すと、10米程先に太宰の黒い外套が見えた。
太宰の目の前には、生き残りと思われる人間が居た。
かなり焦って居るようだった。
少し、違和感を感じた。
太宰は普段殆ど接近戦を行わない。
それが今は、相手と揉み合っている様だった。
中原 中也
其方に行こうとしたが、背中の痛みが邪魔をする。
その場に膝をつき、顔だけ上げると逃げ出そうとする残兵が見えた。
バンッバンッ
そいつに太宰は銃を向け、二発、撃った。
おかしい。
太宰の銃は俺が、太宰を休ませた時に預かって居た。
バンッバンッバンッバンッ
続け様に、既に死んで居る残兵に向かって発砲する。
太宰 治
何か云っている。
中原 中也
痛みを堪えて太宰の元に駆け寄り肩を掴む。
ゆったりと振り向く太宰。
太宰 治
俺は一瞬、本当に此奴が太宰なのか疑った。
何時もは唐茶色の瞳が、まるで血の様な赫で。
然もその眼には何も映って居なかった。
頬と包帯は所々血で濡れて居て
真顔とも云えない程に
表情が抜けて居た。
中原 中也
太宰 治
中原 中也
太宰 治
光の無い赫い眼がふ、と揺れる。
中原 中也
太宰 治
気が付いた様に目を瞬き、俺を呼ぶ太宰。
だが、次の瞬間
太宰 治
中原 中也
太宰 治
中原 中也
太宰 治
カタカタと震え乍らごめん、ごめんと繰り返す。
中原 中也
太宰 治
顔を近付けようとすると、胸の辺りを強く押された。
中原 中也
太宰 治
太宰 治
中原 中也
太宰 治
中原 中也
太宰 治
俺は怯えて居る太宰の胸ぐらを掴んで自分の方へ引き寄せる。
中原 中也
中原 中也
中原 中也
太宰 治
太宰は細かく震え、口をパクパクと動かす。眼には涙が溜まって居た。
太宰 治
中原 中也
太宰 治
中原 中也
太宰 治
太宰 治
太宰 治
思い出して仕舞ったのか、溜まり切った涙を零す太宰。
太宰 治
太宰 治
中原 中也
太宰 治
太宰 治
中原 中也
太宰 治
中原 中也
中原 中也
中原 中也
太宰 治
太宰は耐え切れなかったのか、ぼろぼろと涙を流す
太宰 治
中原 中也
太宰 治
太宰の背に手を回し、ぽんぽんと叩いてやると段々と落ち着いて来た様だった。
太宰 治
中原 中也
太宰 治
太宰の髪をくしゃりと撫でる。
中原 中也
中原 中也
太宰 治
中原 中也
太宰 治
中原 中也
太宰 治
太宰 治
中原 中也
太宰 治
吃驚して振り向くと、顔を少し赤らめて目を伏せる太宰が眼に入った。
中原 中也
太宰 治
太宰 治
太宰はそう云うと早足で車に向かった。
対する俺は数秒間動けずに居た___。
主
主
主
主
主
主
主
主
主
主
主
主
終
コメント
10件
と☆う☆と☆い☆
いいぞ、太宰さんもっと泣け(お巡りさんこいつもです)
自分ってもらい涙しがちでいまもまた泣いてしまった