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蓮香(仮)
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#水赤
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暑さがまとわりつく夕方。
どこか切ないひぐらしの声が、 夕暮れ空に響く。
スマホを持つ俺の手が、震えた。
スマホには、通話画面。
相手はすちだ。
いるま
買い物袋が地面に落ちる音で、 我に帰った。
もう一度聞き返しても、 すちは同じことを言う。
いるま
勢いよく扉を開け、 彼の名前を呼んだ。
いるま
らん
幸い、ただの貧血で、 命に別状はないらしい。
らん
いるま
安心して、体の力が抜けた。
いるま
らん
らんは、何も言わずに 点滴に繋がれた自分の腕を眺めた。
らん
ただ俯き、掠れた声を出す。
いるま
俺が問いかけても、 彼は顔を上げない。
いるま
彼は頷いた。
落ち込んでいるのかと思い、 俺は明るい話題を探す。
いるま
俺が話し始めると、
らんが遮るように言った。
らん
少し強い、言い切るような声。
らん
らん
らん
いるま
いるま
それ以上、らんは何も話さなかった。
いつものように、 笑顔で見送ってくれることもない。
いるま
最後まで、らんは顔を見せなかった。
らん
いるまが帰ってしまった。
いや、俺が帰らせた。
すち
扉を滑らせ、 すちが顔を覗かせる。
らん
彼の顔を見た瞬間、 鼻に痛みが走り、視界が揺れた。
すち
すちは何も言わず、俺を抱きしめた。
らん
しゃくり上げ、頬には涙が伝う。
らん
すち
らん
涙が止まらない。
らん
すち
らん
すち
気づけば、すちの目にも 涙が浮かんでいた。
らん
いるまと出会ってから、 俺の中で何かが変わった。
良い意味でも、悪い意味でも。
あれだけ決意したのに、
いるまの笑顔は、 それすらも壊してきた。
らん
命に別状はないとは言え、 倒れたことで、
思い出してしまったんだ。
今回は何事もなかったけど、 次はどうなるか分からない。
すち
すちは俺の心を読んだように言った。
…これで、いいんだ。
いるまが好きだから。
…幸せになって欲しいから。
いるま
体調面は問題ないと言っていたが、
心配が尽きることはない。
スマホのメッセージには、 “大丈夫”の一言だけ。
明後日の外出も問題はないそうだ。
いるま
ベットに寝転がり、 らんとのメッセージのやりとりを 眺める。
あんなに海を楽しみにしていた 言葉が、無機質に変わっている。
いるま
俺には分からないような、何かが。
いるま
らんの事が、こんなにも好きなのに。
いるま