君は世界で一輪の花

彼女に惹かれてからどれほどの時間が経っただろうか。

俺は未だに気持ちを伝えられないままだ。

挨拶もできないままため息を吐く毎日。

もしかしてコイツらにはもうバレてしまっているのだろうか。

だが、せっかく話しかけるチャンスを貰ったんだ。

ありがたく使わせてもらうよ。

急いで彼女を追いかける。

俺の方にくるりと振り返る。

彼女の背中に向かって手を振る。

彼女の笑顔がいつまでも頭から離れない。

もっと彼女と仲良くなりたい。

もっと彼女のことを知りたい。

そんな気持ちで胸がいっぱいになる。

後悔する前に、俺の想いを伝えよう。

決心してからは早かった。

この勢いに任せなければ何もできないまま終わってしまいそうだから。

屋上に来た彼女は、いつも通り綺麗だった。

大丈夫、練習通りに。

言ったぞ。

もし振られても後悔はない。

ああ、俺はなんて幸せ者なんだろう。

一花は本当にすごい。

どんな人にも優しくて、笑顔で。

そんな一花を見ていると俺まで誇らしい気分になる。

俺の夢は……。

後編に続く