ゆり
それ新しいキーホルダー!?
ちさ
そうなの、きれいでしょ
ちさちゃんはキラキラが好き
そんなちさちゃんは、いつも
ランドセルにキーホルダーをつけていました
新しいのを買ったらすぐに替えて
嬉しそうに見せてくれました
ゆり
こんなの見たことない
ゆり
どこで買ったの?
ちさ
ないしょー!
嬉しそうに笑うちさちゃん
私は少し、ちさちゃんが羨ましかった
ゆり
ちさちゃん、今日も違うキーホルダーだ!
ゆり
おとといから毎日だね!
ゆり
いいなぁ、たくさん買ってもらえて
ちさ
えへへ
ちさ
あのね、ないしょだけど
ちさ
これ、ママに買ってもらったんじゃないの
ゆり
じゃあパパ?
ちさ
ううん、拾ったんだよ
ゆり
え!?落とし物なの!?
ゆり
警察に届けなきゃ!
ちさ
えー、でもなぁ
ちさ
キーホルダーだけだし
ちさ
毎日同じところに落ちてるの
ゆり
それ危なくない?
ゆり
毎日同じところになんて変だよ
ちさ
可愛いからいいんだよぉ
ちさ
ゆりちゃんも行ってごらんよ!
ちさ
四丁目に去年できたアパートの前!
私はちさちゃんに言われたとおり
その場所へ行ってみました
なんだかんだ言って私も
可愛いキーホルダーが欲しかったんです
だけどなにもありませんでした
ゆり
やっぱりなにもないじゃない……
少し腹が立った私は、そのことを言いました
だけどちさちゃんは不思議そうに言ったんです
ちさ
変だなぁ
ちさ
昨日も私、拾ったよ?
ちさ
ほら!
そこには確かに、新しいキーホルダーがついていました
だから思ったんです
もしかしたら本当にちさちゃんが
変質者に狙われてるかもって
ちさちゃんが来るときにだけキーホルダーを落として
いつか誘拐しちゃうかもって
私はその日、ちさちゃんより先にその場所へ行きました
やっぱりなにもありません
だから近くの電信柱に隠れて監視したんです
誰がキーホルダーを落としているのかを
ゆり
……え
ゆり
結局犯人は誰だったか、ですか?
ゆり
……そのときから私の教訓は
ゆり
変なことには首を突っ込むな、です
ゆり
意味がわかりませんか?
ゆり
……手、だけでした
ゆり
ちさちゃんが通る直前、突然手だけが現れて
ゆり
そこにキーホルダーを置いていたんです
ゆり
――怖くて、ちさちゃんと話すこともできなくなって
ゆり
3日目のことでしたね
ゆり
ちさちゃんが下校中、行方不明になって
ゆり
2週間後、あの場所で
ゆり
四丁目のアパートの前で
ゆり
ネジ切られて、落ちてたのは