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8月16日

夕方

白波 渚

…ま、まだ?

渚の母

まだ…ね

渚の母

母さん、花飾り無かったっけ?

渚の祖母

確かここら辺に……あ、あったわ

渚の祖母

ほら

渚の母

ありがとー

白波 渚

……

白波 渚

(まだかかるな…これは……)

昼のうるささとは一変し

綺麗なひぐらしが鳴いている

私は、夏祭りに向けて

入念に着付けされていた

渚の母

はい、できた!

白波 渚

(…ふぅ、やっと終わっ───)

渚の祖母

あら、なら次は髪の毛ねぇ

白波 渚

…え

白波 渚

(まだ、やるの…?)

白波 渚

いつものじゃダメ……?

渚の母

ダーメ、せっかくのお祭りだし!

渚の母

それに…

渚の母

何だかここに来てから、渚が輝いて見えるんだもの

白波 渚

え、何で…?

渚の母

私の推理が正しければ……

渚の母

できたんじゃない?

渚の母

…好きな人

白波 渚

っは?!

白波 渚

ないないない!!!

渚の母

ふふ、随分必死だね

白波 渚

ない、無いからっ…ホント……

白波 渚

……

渚の母

顔赤いよ?

白波 渚

違っ…

白波 渚

(違う、よね…?)

白波 渚

(だって、神様に恋しただなんて…)

白波 渚

(叶わぬ恋にも程があるし…)

渚の母

ふーん

渚の母

ま、だから私も気合い入れちゃうよねって話!

白波 渚

渚の母

じゃーん、どう?

渚の祖母

あらぁ、可愛いじゃない

白波 渚

そ、そうかな…?

白波 渚

(青だ…)

渚の母

じゃ、楽しんできなさいね!

白波 渚

…うん

白波 渚

お母さんたちは?

渚の祖母

私たちは別で行くわよ〜

白波 渚

…そっか

白波 渚

うん、行ってきます…!

渚の母

行ってらっしゃーい

白波 渚

───と、言っても……

白波 渚

…亜里沙、どうしよう………

白波 渚

(それに逢魔が時って調べたら、ちょうどこの時間帯だったし…)

白波 渚

(うぅ、すっごい心配……)

先っ輩ーーっ!

白波 渚

亜里沙

探しましたよォ

亜里沙

お祭り誘ってくれてありがとォございます!

白波 渚

う、うん!

亜里沙

ほらァ、逢魔が時って言うじゃないですかァ

白波 渚

…神様にも言われたんだけど

白波 渚

どういうものなの?

亜里沙

簡単に言うとォ、悪い幽霊が集まりやすいんですよォ

白波 渚

悪い、幽霊?

亜里沙

はい!

亜里沙

だから、ボクが護ってみせます!

白波 渚

…あ、ありがと

白波 渚

(自覚の無い守護霊…かぁ……)

白波 渚

(言わないでいるのも酷だろうし…)

亜里沙

さ、行きましょっか!

白波 渚

うん…!

波浪神社前

屋台通り

白波 渚

わ、凄い混んでる……

亜里沙

気をつけてくださいねェ

白波 渚

うん、善処するよ…

亜里沙

あ!

亜里沙

見てください!

白波 渚

亜里沙

たこ焼きですよ!

白波 渚

…食べたい?

亜里沙

食べたいです、いいんですかァ?

白波 渚

うん、良いよ、先輩だし!

白波 渚

(こんなキラッキラな目で見られたらねぇ…)

亜里沙

じゃぁ次の屋台ボクが奢りますねェ

白波 渚

ふふ、ありがと

亜里沙

買ってきますんで、待っててくださァい!

白波 渚

はーい

白波 渚

(…これだけ見たら、なんも変わらない子なのに)

亜里沙

熱ッ

白波 渚

だ、大丈夫?

白波 渚

(食べながら帰ってくるんだ…)

亜里沙

めっちゃできたてでしたァ…

白波 渚

美味しい?

亜里沙

はい!

白波 渚

なら良かった

亜里沙

そういえば、神様って今何してるんでしょォねェ

白波 渚

亜里沙

あれ、気になりますかァ?

白波 渚

い、いやぁ、えっと…

白波 渚

(仕事?とかしてるのかなぁ…)

亜里沙

んじゃ言ってみましょ!

白波 渚

えっ!

亜里沙

だあってぇ…

亜里沙

オカルト研究部の私が、気にならないわけないじゃないですかァ

白波 渚

……え

亜里沙

写真撮れば、スクープですよ!!

白波 渚

(あ、スイッチ入っちゃった…)

白波 渚

(これはもう止められないなぁ…)

太鼓と、笛の音が絶えず鳴り響いている

夏の、夕暮れ時のあの寂しさを

掻き消してくれるように

そんな空気の中、私は彼を探した

白波 渚

(仕事…何してるんだろ…)

亜里沙

先輩ィ

白波 渚

白波 渚

ご、ごめん、どうしたの?

亜里沙

3日間?でしたっけ?

白波 渚

う、うん、今日で3日目…

亜里沙

へえェ…

白波 渚

……

亜里沙

亜里沙

神様、いませんねェ

白波 渚

…そうだね

白波 渚

(今はどっかに行ってるのかな…)

亜里沙

仕方ない、戻りますかァ

白波 渚

うん…

亜里沙

アレェ、残念そうですね?!

白波 渚

なっ!

白波 渚

違うよ、も、戻ろ!

亜里沙

フーン…?

そうして、私たちが階段を下りようとした時

白波 渚

───あれ

白波 渚

煙…?

亜里沙

何ですかァ?

白波 渚

いや、私の家の付近から煙が…

亜里沙

あぁ、「送り火」じゃないですか?

白波 渚

送り火…あ!

白波 渚

ご先祖さまとか、送るやつでしょ?

亜里沙

亜里沙

そうですねェ

白波 渚

白波 渚

(おじいちゃんも、帰っちゃうのか…)

亜里沙

知ってましたかァ?

亜里沙

帰る時は、ナスなんですよ

白波 渚

ナス…

白波 渚

あ、それも前教えてもらったよ!

亜里沙

ェ、そうでしたっけ?!

白波 渚

確か、馬と牛だったような…

亜里沙

そりゃァ私とした事が…!

白波 渚

(亜里沙から教えられたのに…)

白波 渚

もう…

白波 渚

(…というか、何だろ…違和感が……)

亜里沙

────しっかし、もう送り火ですかァ…

亜里沙

神社でやるのも、もうすぐでしょうかねェ…

白波 渚

亜里沙

……先輩のご先祖さまも帰っちゃうんでしょうか

亜里沙

そうなると、私は悲しいですねェ

亜里沙

幽霊の話が聞けないので

先程まで感じていた違和感が

確信に変わった瞬間だった

白波 渚

…っ!

「違う」

この人は……

亜里沙じゃない!?

白波 渚

(どうする…?!)

白波 渚

(このままじゃ、この前と一緒……)

白波 渚

(……まだ、バレてないと思ってるのかな)

亜里沙

ねェ?先輩も悲しいでしょ?

亜里沙

私みたいに、オカルト───

白波 渚

……

白波 渚

──「亜里沙」は

亜里沙

へ?

亜里沙

急にどうしましたァ?

白波 渚

私から聞いた話、全部メモ取ってくれてるんだったね

白波 渚

…「私に」話したことも、ね

亜里沙

わ、私が話した…?

白波 渚

でも、違う…

白波 渚

君は、違うよ…っ!

亜里沙

ち、違うって…?

亜里沙

私が?!

亜里沙

何言ってるんですかァ…?

白波 渚

亜里沙はっ…!!

白波 渚

「私」なんて、言わないよ……!

亜里沙

───!

白波 渚

……ねぇ

亜里沙

……

白波 渚

君は、誰なの?

亜里沙

白波 渚

──!!

笑っていた

口の端を、吊り上げて

???

あーぁ、バレちゃった

白波 渚

…幽霊、だよね……?

???

…随分、慣れたね?

白波 渚

慣れた……?

???

ふふふふ…

白波 渚

白波 渚

(に、逃げよう…!)

???

──ダメだよ

白波 渚

っ!?

白波 渚

(身体が、動かない…?!)

白波 渚

ど、どうして…?

白波 渚

何で、私が……っ!

???

どうして?

???

だって…

???

今日で、6年なんだよ?

白波 渚

6…年……?

???

だから、こうするんだ!

ドンッ

一瞬だったから

よく分からなかった

でも

これだけは、嫌という程分かってしまった

地面から、足が離れているということが────

そのまま、重力の思うがままに

落ちて 墜ちていった

目に入ったのは

祖母の家の、送り火

まだ、その酸素を燃やし続けているようだった

この後のことを考えると

不意に、意識が遠のく

あぁ、と思う

その感覚は

私が1番、知っているものだった

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