稜太に青あざを見られた次の日。私は勇気を振り絞って、やっとの思いで登校した。
千夏
私の姿を見て、千夏が嬉しそうに駆け寄ってきた。
千夏
千夏
千夏
菜穂
千夏
菜穂
私は千夏に心配をかけないよう無理に微笑んだ。
直弥
見ると、直弥君が立っていた。
姿を見るだけで、恐怖で体が震えた。
直弥
直弥君は笑顔で言った。
直弥
菜穂
直弥
菜穂
私は腕を掴まれ、廊下へ連れていかれた。
二人になった途端、直弥君の笑顔が消えた。
直弥
直弥
直弥
直弥
私は何も言えなかった。
恐怖で言葉が出てこなかった。
直弥
菜穂
直弥
直弥
直弥
直弥君はそう言って、教室に戻った。
菜穂
菜穂
菜穂
菜穂
菜穂
放課後になると、私は直弥君に腕を掴まれ、体育館へと連れてこられた。
直弥
直弥
直弥君は、体育倉庫の扉を開けた。
直弥
菜穂
直弥
菜穂
背中を押され、私は倉庫の中に倒れこんだ。
直弥君は中に入ると、扉を閉め、電気を点けた。
倉庫内は電気が点いても薄暗かった。
菜穂
直弥
直弥
直弥
直弥
菜穂
私は倉庫の隅に逃げた。
直弥
直弥
直弥君はこっちに近づいてきた。
菜穂
私は直弥君を睨みつけた。
直弥
傍に来た直弥君は、私の顎を掴んだ。
直弥
菜穂
直弥
私は恐怖を抑えて、睨み続けた。
直弥
バシッ。
頬を思い切り叩かれて、私は床に倒れた。
自然と涙が流れた。
菜穂
直弥
菜穂
菜穂
それを聞いた直弥君は笑い出した。
直弥
直弥
直弥
直弥
直弥
直弥
直弥
直弥
菜穂
直弥
菜穂
直弥君に顔を踏まれた。
直弥
直弥
菜穂
直弥
菜穂
直弥
菜穂
直弥
直弥君は踏んでいた足を離すと、思い切り私の頭を蹴った。
菜穂
直弥
バンッ。
もう一度蹴られた。
口の中が切れて、血の味がした。
直弥
バンッ。
何度も蹴られて、意識が朦朧としてきた。
菜穂
その時だった。
ガラッ。
勢いよく扉が開いた。
稜太
見ると、稜太が立っていた。
稜太は驚いた顔でこっちを見た後、直弥君を睨んだ。
稜太
バシッ!
稜太は直弥君に掴みかかって、思い切り殴った。
直弥
ガシャン!
直弥君は殴られた反動でボール入れに倒れこんだ。
床にボールが散らばる。
直弥
起き上がろうとする直弥君に、稜太は馬乗りになった。
バンッ。
バンッ。
バンッ。
稜太は何発も直弥君を殴りつけた。
そのうちに、直弥君は何も抵抗しなくなった。
菜穂
そう叫ぶと、稜太は殴るのを止め、こっちに駆け寄ってきた。
稜太
私を抱き起すと、稜太はそう言った。
菜穂
稜太
菜穂
私は稜太に支えられながら、立ち上がった。
菜穂
稜太
私は稜太の肩を借りて、出て行こうとした。
直弥
振り返ると、直弥君は倒れた状態で、こっちを睨んでいた。
直弥
私達はそれには答えず、倉庫を出て行った。
私と稜太は、帰り道を一緒に歩いた。
二人の間に会話は無かった。
体育倉庫で起こった出来事にショックを受けていたし、今後のことを考えると、不安だった。
私は立ち止まった。
稜太
稜太も立ち止まって、私の方を見た。
菜穂
菜穂
稜太
菜穂
菜穂
菜穂
稜太
私は稜太にギュッと抱きしめられた。
稜太
稜太
稜太
稜太
菜穂
私は稜太の胸に、顔をうずめて泣いた。
菜穂
菜穂
私達はそうやって、少しの間抱き合った。