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君を誰にも渡さない

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君を誰にも渡さない

8 - 助けて…

♥

35

2020年09月17日

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稜太に青あざを見られた次の日。私は勇気を振り絞って、やっとの思いで登校した。

千夏

菜穂!

私の姿を見て、千夏が嬉しそうに駆け寄ってきた。

千夏

久しぶり!

千夏

心配したよ

千夏

風邪は治ったの?

菜穂

うん、もう大丈夫

千夏

良かった

菜穂

ありがとう

私は千夏に心配をかけないよう無理に微笑んだ。

直弥

菜穂

見ると、直弥君が立っていた。

姿を見るだけで、恐怖で体が震えた。

直弥

やっと来たんだね

直弥君は笑顔で言った。

直弥

心配してたんだよ

菜穂

……

直弥

ちょっと、こっち来て

菜穂

……あ

私は腕を掴まれ、廊下へ連れていかれた。

二人になった途端、直弥君の笑顔が消えた。

直弥

どういうつもりだ?

直弥

どうして連絡をしない?

直弥

何度も電話したのに、無視して

直弥

僕達は付き合ってるんだから、そんなことしたらダメだろう

私は何も言えなかった。

恐怖で言葉が出てこなかった。

直弥

何とか言ったらどうなんだ?

菜穂

……

直弥

しょうがないなぁ

直弥

放課後、話し合おう

直弥

逃げるんじゃないぞ

直弥君はそう言って、教室に戻った。

菜穂

(……放課後、何されるんだろう)

菜穂

(……また殴られるのかな)

菜穂

(……怖い)

菜穂

やめて!

菜穂

離して!

放課後になると、私は直弥君に腕を掴まれ、体育館へと連れてこられた。

直弥

騒ぐんじゃない!

直弥

誰かに見られたらどうするんだ

直弥君は、体育倉庫の扉を開けた。

直弥

入れ

菜穂

嫌!

直弥

入れよ!

菜穂

キャッ

背中を押され、私は倉庫の中に倒れこんだ。

直弥君は中に入ると、扉を閉め、電気を点けた。

倉庫内は電気が点いても薄暗かった。

菜穂

こんな所に連れてきて、何をするの……?

直弥

何って、話し合いだよ

直弥

無断で学校を休んで、連絡すら取れないなんて酷いだろう

直弥

僕達は恋人なんだから、そんなことをするのは許されない

直弥

今後こういうことがないように、ちゃんとお仕置きをしておかないと

菜穂

やめて!

私は倉庫の隅に逃げた。

直弥

逃げたって無駄だよ

直弥

君は僕から離れられない

直弥君はこっちに近づいてきた。

菜穂

来ないで!

私は直弥君を睨みつけた。

直弥

何だ、その顔は

傍に来た直弥君は、私の顎を掴んだ。

直弥

彼氏といる時は、笑顔じゃなきゃダメだろう?

菜穂

……

直弥

ほら、笑えよ

私は恐怖を抑えて、睨み続けた。

直弥

笑えって言ってるだろう!

バシッ。

頬を思い切り叩かれて、私は床に倒れた。

自然と涙が流れた。

菜穂

……もう無理

直弥

何が無理なんだ

菜穂

……こんなの耐えられない

菜穂

……別れて

それを聞いた直弥君は笑い出した。

直弥

冗談じゃないよ。そっちから別れたいだなんて

直弥

まるでこっちがフラれたみたいじゃないか

直弥

ありえない

直弥

僕はクラスの一番の人気者で

直弥

女子の憧れなんだ

直弥

そんな僕を振るなんて許されない

直弥

君だってあんなに僕を好きだっただろう?

直弥

もう二度と別れるなんて言うなよ

菜穂

……別れて。お願い

直弥

ふざけるな!

菜穂

うっ

直弥君に顔を踏まれた。

直弥

今なら許してやる

直弥

謝れ

菜穂

……

直弥

好きって言え

菜穂

……嫌い

直弥

何だと?

菜穂

大嫌い!

直弥

このやろう!

直弥君は踏んでいた足を離すと、思い切り私の頭を蹴った。

菜穂

うっ

直弥

好きって言え!

バンッ。

もう一度蹴られた。

口の中が切れて、血の味がした。

直弥

好きって言えよ!

バンッ。

何度も蹴られて、意識が朦朧としてきた。

菜穂

……助けて

その時だった。

ガラッ。

勢いよく扉が開いた。

稜太

菜穂!

見ると、稜太が立っていた。

稜太は驚いた顔でこっちを見た後、直弥君を睨んだ。

稜太

やめろ!

バシッ!

稜太は直弥君に掴みかかって、思い切り殴った。

直弥

うわっ

ガシャン!

直弥君は殴られた反動でボール入れに倒れこんだ。

床にボールが散らばる。

直弥

……何するんだ!

起き上がろうとする直弥君に、稜太は馬乗りになった。

バンッ。

バンッ。

バンッ。

稜太は何発も直弥君を殴りつけた。

そのうちに、直弥君は何も抵抗しなくなった。

菜穂

……もうやめて!

そう叫ぶと、稜太は殴るのを止め、こっちに駆け寄ってきた。

稜太

大丈夫か?

私を抱き起すと、稜太はそう言った。

菜穂

うん

稜太

立てるか?

菜穂

うん

私は稜太に支えられながら、立ち上がった。

菜穂

……ありがとう

稜太

お礼なんていい

私は稜太の肩を借りて、出て行こうとした。

直弥

……おい

振り返ると、直弥君は倒れた状態で、こっちを睨んでいた。

直弥

……こんなことして、ただで済むと思ってるのか?

私達はそれには答えず、倉庫を出て行った。

私と稜太は、帰り道を一緒に歩いた。

二人の間に会話は無かった。

体育倉庫で起こった出来事にショックを受けていたし、今後のことを考えると、不安だった。

私は立ち止まった。

稜太

どうした?

稜太も立ち止まって、私の方を見た。

菜穂

……大丈夫かな

菜穂

直弥君、このままじゃ済まないって言ってた

稜太

もうあんなやつのことは忘れろ

菜穂

でも、直弥君はクラスで一番の人気者で、リーダー的存在だし

菜穂

お父さんは市長で、家もお金持ちだし

菜穂

……大変なことになるんじゃ

稜太

菜穂

私は稜太にギュッと抱きしめられた。

稜太

大丈夫

稜太

何も心配するな

稜太

俺がついてる

稜太

お前のことは、俺が守る

菜穂

……稜太

私は稜太の胸に、顔をうずめて泣いた。

菜穂

(……あったかい)

菜穂

(何だか、安心する)

私達はそうやって、少しの間抱き合った。

君を誰にも渡さない

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35

コメント

7

ユーザー

フォローありがとうございます〜✨ 菜穂ちゃん……私の知り合いなのでなんだかドキドキ(?)しちゃいます… 続き楽しみです! ブクマ失礼します🙇🏻‍♀️

ユーザー

菜穂ちゃん!良かった! とにかく 菜穂ちゃんが無事で良かったです…😌 これから どうなって行くんだろう…🙉

ユーザー

ありがとうございます!!! たくさん褒めてもらえて、とっても嬉しいです😊 こちらこそお願いします😊

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