2158年 未来化が進みに進んで、今では近代的なシステムが色々と導入された
そして、新型の人間が誕生した 新しい人間「魔力」を持った人間
それにより、争いが増えた 魔力を持った人間は呪いであると唱える国 魔力を持った人間は神に祝福された人間と唱える国 どちらとも言わない中立国
片や魔力を無効化する対魔道具武器を開発し 片や強力な魔道具武器を使いそれすらも破壊しようとする
敵軍人
ドレイク
ドレイク
空中に浮かぶ漆黒の髪を靡かせた男性が魔銃を構え祈りを呟くと銃口の先に魔法陣が広がった
ドレイク
引き金を引いて弾が魔法陣を通ると赤色の光が弾を包んで敵へと向かって着弾した瞬間その場一帯が消し去った
ドレイク
ピピッと耳につけていた通信機が鳴る
ドレイク
こうして、第二次魔法大戦が幕を閉じた
2188年
グランツ
グランツ
隊長の号令と共に部隊は散り散りになった
サーシャ
その中でも、男性と劣らないぐらいの背丈の毛先が白い赤髪、左眼は赤く縦に傷跡が残る褐色の少女が居た
グランツ
サーシャ
グランツ
グランツ
サーシャ
半年前、彼女は訓練中の事故により左眼を損傷、そして魔力暴走を起こして命の危機に迫っていた
目の前に立っている隊長と呼ばれる教官は彼女の義理の父親
物心が着く前に両親が亡くなり、グランツ・ジルベールが彼女を引き取った
グランツ
グランツ
サーシャ
名前を呼ばれ顔を上げると頭に温もりを感じた。父が私の頭を撫でているのだ。
サーシャ
グランツ
グランツ
サーシャ
サーシャ
サーシャ
グランツ
グランツ
グランツ
サーシャ
訓練が終わって学園へと向かっているととある男子が前に立ち塞がった
グラハ
グラハ
ロン
サーシャ
翠色の髪色、自分よりも背の高い男の子と後ろには薄紫色の髪色で、グラハよりは少しだけ背の低い男の子が立っていた
グラハ
サーシャ
グラハ
ロン
サーシャ
「至急、魔道士科の諸君、ただちにホールに集合しなさい、繰り返す」
サーシャ
グラハ
ロン
ロン
ロンはチラッと私を見てから背を向けた
サーシャ
「5分以内に集合してください」
サーシャ
急いでホールへと走り出した
ホールに行くととある人物が1番前に立っていた
ドレイク
生徒
生徒
生徒
サーシャ
ドレイク・アルデンヌ 30年前の第二次魔法大戦でその終戦を担った魔法学の天才
今は優秀な人材を育てる為に学園を設立し、様々な魔法武器の製作をしているグループのトップをしている
ドレイク
低く、思い声が空気を一気に締め付けた
サーシャ
ドレイク
ドレイク
ドレイク
ドレイク
ドレイク
生徒
生徒
決闘 勝てば格上なら格上のポイントを全て 同等、格下なら1ポイント (ポイントが自分より上なら格上)
ポイントが上の者は下の者に常識の範囲内の命令ならなんでも聞かせることが出来る
ドレイク
ドレイク
サーシャ
ザワザワと辺りが騒ぎ始めた
それはそうだ、あのアルデンヌ家に入ることが出来れば将来は安泰だから
…それに、アルデンヌ家の娘… つまり、ミケイラ・アルデンヌは容姿端麗、成績優秀な才女である 一つだけ欠点があるとすれば、魔力が微々たるものである事
魔力主義のこの国ではその欠点は大きなものになる
ドレイク
グラハ
ドレイク
自信満々に手を挙げるグラハをドレイクは品定めするように見つめた
ドレイク
ドレイク
グラハ
ヴォルワー家と言えばアルデンヌグループの中でも1.2を争う程の成績を上げている名家だ
ドレイク
ドレイク
ドレイクは手元のタブレットを操作するとグラハの制服の左腕に金色の腕章が浮かび上がった
グラハ
サーシャ
ドレイク
ドレイク
生徒
生徒
ロン
生徒
生徒
サーシャ
皆がザワザワと盛り上がっている中、私はなんとも言えない気持ちで立っていた
そんな…そんなの まるで、景品みたいじゃないですか
ホールがザワザワと盛り上がっている裏で1人の少女は拳を握りこんで壁を殴りつけた
ミケイラ
ミケイラ
魔力がほとんどなくて、でも、それでも、勉強をして、少しでも周りに認められようとしていたのに、結局、全部無駄だった
私の人生は全部、父親の手の平でしかない
ミケイラ
ミケイラ
ミケイラ
ホールを覗いて自信満々に腕を組んで顎を上げているグラハを見て虫唾が走った
ミケイラ
グラハ
生徒
ロン
グラハ
ロン
グラハ
グラハ
2人が去っていく後ろ姿を見送る
ミケイラ
ミケイラ
サーシャ
ミケイラ
目立つ背丈、毛先が少し白い赤髪で褐色肌の女の子
誰よりも目立つ彼女に私は目を離せなくなっていた
サーシャ
視線に気づいたのか私の方に顔が向いた瞬間に覗いていた顔を引っ込めた
ミケイラ
ミケイラ
タブレットを起動して学生一覧表をタップする
ミケイラ
魔道士科をスクロールしていくと赤髪が目に入ってタップする
ミケイラ
ミケイラ
ミケイラ
グランツ・ジルベールとは私の父と同じく30年前の第二次魔法大戦で陰ながら皆を引っ張った1人だ
彼の娘なら、魔力も、身体能力も、他の魔道士科の男よりもあるはずだ
現に、数少ない女子生徒だ
ミケイラ
ミケイラ
ミケイラ
ミケイラ
ミケイラ
ミケイラ
ミケイラ
ミケイラ
ミケイラ
頭の回転が良い彼女は直ぐに答えへと辿り着いた
ミケイラ
彼女が持っているポイントは下から数えた方が早い
少女はガックリと項垂れた 折角希望を見つけたと思ったら、彼女はあまりにも「弱い」
ミケイラ
ミケイラ
ミケイラ
歯を食いしばって少女はその場を立ち去った
学園の庭にあるベンチでオムライスを頬張る
パックに入ったオムライスは半熟の卵に少し果肉が入ったトマトケチャップが掛かっていて程よい酸味と塩気が訓練後の身体に染みる
サーシャ
人見知りが激しい彼女には友達と言える人間が少ない
それに、この学園は自分で授業を組んで単位を取っていくシステムだから、中々時間が合わなくて1人でご飯を食べる事が多い
サーシャ
1人でご飯を食べていると時々絡まれる事がある
生徒
生徒
サーシャ
生徒
生徒
魔力もまともに制御出来なくて、その上田舎からわざわざこの都会まで来たからよく「田舎者」と言われる
もう1年も言われているから流石に慣れてきた
生徒
サーシャ
生徒
生徒
生徒
生徒
生徒
生徒
サーシャ
サーシャ
生徒
生徒
サーシャ
サーシャ
吃りながらも言うと胸元のシャツを掴まれた
生徒
サーシャ
生徒
サーシャ
首に着けてる首輪をグイっと指で引っ張られ息が詰まる
この首輪は魔力暴走を抑える為の魔力制御プログラムが備えられている
グラハ
グラハ
生徒
ぶっきらぼうに怒りを込めた声が男子生徒の背後から聞こえ、男子生徒は驚いて手を離して、私は息を思い切り吸い込んだ
サーシャ
グラハ
グラハ
生徒
生徒
生徒
バタバタと2人の男子生徒が走っていった
サーシャ
グラハ
ロン
グラハ
サーシャ
グラハ
グラハ
グラハ
サーシャ
彼は曲がった事が嫌いだ、口は悪いし言葉も強いけど、それは彼が真っ向に勝負してちゃんと結果を残しているからだ
グラハ
ロン
ロン
サーシャ
2人の背中を見送ってタブレットを起動して明日の予定を確認した
サーシャ
サーシャ
経営学科は将来会社の経営を担うであろう者が所属している学科 経営戦略を主に学ぶ
魔道具専攻科は新作の魔道具や魔道具に付属するプログラムを学べる科
時々その2つの科と合同で演習をする事がある
内容は主に協力して密室状態の部屋からの脱出や、数時間閉じ込められた時の生き延び方、怪我をした場合の処置訓練
魔力があるからと言っても、他者を回復させる、等は出来ないから基本的な処置方法、生存方法を訓練する
噂のミケイラ・アルデンヌさんは経営学科の成績トップ者
多分彼女は演習も良い評価を貰うだろうな
サーシャ
チチ
サーシャ
頭を抱えていると背中にトンっと重みを感じて隣にカタッと降りた
サーシャ
私の相棒のチチ 小さい頃からずっと一緒で私を見守ってくれてる猫だ
サーシャ
チチ
チチ
サーシャ
お察しの通りこの子は魔獣
だから私とだけ会話が出来る
魔獣と小さい頃に契約していたらしく、私とチチは会話ができるようになった
チチ
サーシャ
チチ
サーシャ
サーシャ
チチ
サーシャ
チチ
サーシャ
チチは私の首にぐるっと巻きついた
サーシャ
チチ
サーシャ
サーシャ
チチ
サーシャ
それから半年 私は当たり障りの無いように生活を送っていた
今日もいつも通りタブレットで決闘を見つめる
今回の勝者もあの彼のようだ 半年間ずっと無敗の最強のトップ 私とは違う世界の人
チチ
サーシャ
サーシャ
チチ
サーシャ
器…つまりそれは私の身体 チチに「魔力に対して器がまだ未熟だから魔力暴走が起きる」と言われてから私は身体を今まで以上に鍛え始めた
チチ
サーシャ
サーシャ
1年前の魔力暴走がトラウマになって私は魔力を使う事が怖くなっていた
グチャグチャっと頭の中を掻き乱されて、ただ息苦しさが続くあの感覚はもう味わいたくない…
チチ
サーシャ
チチは前足をペロッと舐めながら続けた
チチ
サーシャ
サーシャ
チチ
サーシャ
どうせ、そんな日は来ない
そう、この時は思っていた
サーシャ
私はいつものようにトレーニング室に向かっていた
ミケイラ
サーシャ
階段の上から叫び声が聞こえて思わずタブレットを落としそうになった
サーシャ
グラハ
グラハ
サーシャ
彼女を見るのは初めてじゃない…けど、こんなにじっくりと見るのは初めてだ
真っ白な肌に真っ白な瞳、真っ白な髪の毛
全て白く、透き通っていた
私は魔道士科だからズボンだけど、他の科はスカート だからそこからスラッと伸びた綺麗な少し黒めのタイツを纏った足が見えていた
サーシャ
ミケイラ
グラハ
掴まれた腕を振り払う反動で彼女は階段を踏み外した
サーシャ
慌てて見惚れていた自分を引き戻して彼女の下に身体を滑り込ませて受け止めた
サーシャ
ミケイラ
グラハ
サーシャ
グラハ
グラハ
グラハ
グラハ
グラハ
グラハ
サーシャ
本当に…なんでここの人は皆…彼女の事を…
受け止められたまま私は呆然と彼女の横顔を見つめていた
徐々に顔が暗くなってくる彼女はボソッと呟いた
サーシャ
ミケイラ
サーシャ
サーシャ
グラハ
グラハ
サーシャ
グラハ
私を抱きしめる力が少し強くなって彼女は顔を上げた
サーシャ
ミケイラ
決闘はしない、いつも怖がっていると噂の彼女が突然決闘をすると言い出したのだから私は驚きを隠せなかった
グラハ
ミケイラ
ミケイラ
グラハ
グラハ
グラハ
ミケイラ
グラハ
サーシャ
サーシャ
サーシャ
サーシャ
グラハ
ミケイラ
ミケイラ
ビーーッと音が鳴り空には文字が浮かび上がった
「DUEL」 「サーシャ・ジルベールVS グラハ・ヴォルワー」
生徒
生徒
生徒
生徒
対称的な2人の決闘を学園中が注目した
皆タブレットやスクリーンに釘付けだ
決闘ホールに俺の娘と、今現在のトップが向かい合っている
2人は腕に装着している時計型生徒手帳(これで連絡等が全て可能 現代のスマホ)を突き出している
サーシャ
サーシャ
グラハ
グランツ
グランツ
グランツ
グランツ
決闘ホールいっぱいに防御壁を張った
グランツ
サーシャ
グラハ
「軍人として、誇り高き闘いをする事を誓います(誓う)」
グランツ
グランツ
彼は魔剣を抜いて魔力を剣に込めると赤く光った 彼の魔力で輝く魔剣
グラハ
サーシャ
こちらも魔剣を抜いて振りかざした剣を受け止める
グラハ
魔力を込められた魔剣をグッと押し付けられ身体が吹き飛ばされ壁に叩きつけられた
サーシャ
背中に痛みを感じ身体が強ばる
怖い、痛い、辛い なんで決闘申し込んだんだろう こんな、勝てない相手に 魔力もまともに、制御できない、落ちこぼれなのに
グラハ
グラハ
グラハ
グランツ
防戦一方のサーシャ 泣きそうな、でも、やらなきゃ、そんな感情が彼女を動かしていた
サーシャ
グラハ
グラハ
グラハ
グラハ
サーシャ
親の…呪縛…
上流階級には、彼らには彼らの事情があって、それは私達には分かるはずもない、幼い頃から親の呪縛に縛られ、守られている彼らの、気持ちは
サーシャ
「貴女の魔法は皆を護る、神からの贈り物」
サーシャ
誰の言葉だったっけ、幼い頃、夢で誰かに言われた気がする、とても大切な、大切な言葉
「いつも私達は貴女の傍に、貴女に神のご加護が、ありますように」
サーシャ
そうだ、護らなきゃ、彼女を 親に縛られている彼女を そして目の前の、彼を
サーシャ
グランツ
剣を受け流す事しかしてなかった彼女が突然ボソボソと唱え始めた
サーシャ
グランツ
ずっと昔、神に祈りを捧げたあの戦場の日のような
その口上を何故彼女は知っているのか、自分も唱えた神への祈りを
サーシャ
サーシャ
ガシャッと首輪が外れ彼女の剣が赤く光り始めた
グラハ
警戒したグラハは後ろに下がり彼女の様子を伺った
サーシャ
剣を振りかざした先に魔法陣が出現しそのままグラハへと向かった
グラハ
剣で受け止めた彼は仰け反りながらも力で耐えていたその瞬間
カキンッ
グラハ
剣が真っ二つに折れグラハの胴体を剣が通った
生徒
生徒
生徒
空を見上げると勝者の名前が金色で表示される
「サーシャ・ジルベール」
ミケイラ
私を籠から連れ出そうと怖がりながら、涙目になりながら、必死に、戦う彼女
彼女が私の中で大きい存在になるのに、時間はそう掛からなかった
サーシャ
スっと流れる汗を拭わず肩で息をし、目の前で倒れている彼を見つめていると、腕につけてる生徒手帳が震えた
サーシャ
生徒手帳を見るとポイントが加算されていた point 154 No.1
そして上着の腕に金色の腕章が浮かび上がった
新しいトップの誕生と共に、婚約者が入れ替わった瞬間だった
サーシャ
グランツ
サーシャ
父に勝った報告をしようと一歩踏み出した瞬間、視界が歪み途端に意識が途切れた
グランツ
バタンッ
キャラ紹介
サーシャ
17歳 ︎︎ ♀(この世界では18歳で成人)
177cm
魔道士科2年
人が少なく、子供があまりいない田舎(アルティア)出身
義父(グランツ)に言われ帝国の首都(ウェルバルク)にやってきた
幼い頃から村ではこき使われてきた為(建物の修繕や道の改善等)体力と力はある
そしてアルデンス学園 魔道士科へと入学した
膨大な魔力を持ち合わせているが器(身体と心)が完成しきっていないから魔力制御装置の首輪を常にしていないと周りだけではなく本人の命も危ない
秘めたる力は義父譲りか、それとも…?
ミケイラ
17歳 ︎︎ ♀
158cm
経営学科 2年
軍人や一般人が使える魔道具を開発するアルデンヌグループのグループリーダーの父を持つ
魔力があまり無く、勉強や所作、魔力以外を全て完璧にしている
母は幼い頃に病気で亡くしている
籠の中に閉じ込めようとする父を嫌っている
容姿は母親譲り
気が強く、言葉も強い為あまり人が寄り付かないが、ただ素直じゃないだけである
グランツ
49歳 ♂
188cm
弟(トーマ)夫婦が亡くなってからサーシャを引き取った
第二次魔法大戦での影の指導者
優秀な軍人として退役した後、軍人育成の為にアルデンス学園の教官を勤めている
ドレイク
50歳♂
183cm
第二次魔法大戦の英雄
全て力で捩じ伏せる
普段から命を狙われる身である為隙が無い
娘にも危害が及ぶ可能性が高いから魔道士科のトップの傍に置こうとしている
言葉足らずという言葉が似合う男
チチ
サーシャが幼い頃から一緒にいる魔獣
謎多き猫
グラハ
17歳♂
190cm
アルデンヌグループの上位成績名家のヴォルワー家の長男
魔力、魔力操作共に成績トップ
口調は荒いが素直が故である
ミケイラとは幼い頃からパーティー等で面識がある
密かに思いを寄せている
ロン
16歳♂
189cm
ヴォルワー家の次男
兄に次いで魔力、魔力操作に優れている
無口で何を考えているかよく分からない
兄を慕い、尊敬している
サーシャに興味を示している
ミケイラには興味無く、婚約者にも興味が無い