コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
蓮
花奏
蓮
驚くあたしなどお構いなしに歩き続ける
触れ合って分かった
今、この瞬間どれだけ嬉しくて心が震えているかってこと
つながったこの手が嬉しくて
澤本君があたしを呼んでくれたことが嬉しくて
嬉しいはずなのに、その背中を見つめると胸が苦しうなって、切なくなって
また涙が出てきた
花奏
だからつながっている手に力がこもって、足が動かなくなって
澤本君もそれに気づいてこちらを振り返った
涙の向こう側
澤本君がこちらを振り返った
蓮
花奏
ヒック、と上ずる喉をこらえて、頭をふった
蓮
すぐさま頭をふった
授業の始まるチャイムが鳴り響く
でもまだ、戻りたくなかった。この手を離したくなかった
つないだその手に力がこもる
蓮
花奏
蓮
澤本君は左手で二人の間を指さした
そこにはしっかりと握られた…二人の手
花奏
蓮
と、目の前の男はひょうひょうと、ふたたびその手に力を込めた
ざわめきの消えた校内
遠くから聞こえる、先生たちの声が聞こえてくる
そんな静寂の中、空き教室に続く道を歩いていた
手のひらはつながったまま
自分の心臓の音が、やけに大きい
冷静になればなるほど、顔が熱くなるのがわかって、あたしの手を引いて少しまあ絵を歩く澤本君が振り返りませんように、と祈った
恋は落ちるもの
その心は加速して一気に斜面を転がり落ちていく
それに比例して、押さえていた気持ちが膨らんで
空き教室に入る時には、手と足が一緒に出ていた
蓮
蓮
澤本君は冷ややかにそして、あの頃みたいにそれを指摘した
たしは反射的に顔を上げる
そのきれいな顔と向き合うと不可抗力で顔が赤くなるのがわかった
そしてまた、加速する
一気に全身が熱くなって、パクパクと唇を動かすことにしかできなかった
蓮
澤本君が怪訝そうな顔をしている
でも頭を振ることしかできなくて
見ているだけで苦しい
もうまっすぐになんて見れないよ
でも、知りたい。なんで澤本君が今あたしといるのか
もうかかわることなんてないと思っていたのに、あたしを倒れそうだった時助けてくれたのか
恋って不思議
好きって不思議
まだまだ聞きたいことがいっぱいある
なんでまたあたしをこの空き教室に連れてきてくれたのか
それにあたしの記憶が間違ていなかったら
返してって言ったよね!?!?
花奏
あたしを返してって…
蓮
花奏
机に寄りかかって澤本君がそういう
蓮
花奏
蓮
澤本君のポケットからそれが出てきた
花奏
蓮
蓮
そこには無くしたと思っていたあたしのブレスレットが…
花奏
…って
花奏
思い出して発狂した
花奏
あたしは自分のことにいっぱいになって2人の事を忘れていた
青ざめるあたしに澤本君が言う
蓮
花奏
そう答えた澤本君にほっとしている自分がいる けど
花奏
蓮
蓮
澤本君が射貫くような強い瞳であたしを見据えた
花奏
蓮
蓮
その言葉に、耳を疑う
待っていた?あたしを?
花奏
蓮
蓮
言葉をなくして見上げるあたしに澤本君は視線を落とした
蓮
蓮
蓮
目の前の澤本君はさっきまでの澤本君みたいじゃなくなって
ぎゅっと眉をいせて、今まで見せたことのないような感情を表に出している
蓮
蓮
蓮
情緒不安定なんじゃないかってくらい、感情が動いている澤本君にあたしもつられて
だって今にも消えちゃいそうなんだもん
花奏
花奏
言っている意味が分からなくて澤本君の目の前でて手をぱたつかせた
蓮
蓮
まっすぐ顔上げた澤本君は泣いてんのか、怒ってんのかわからない瞳であたしを見る
花奏
花奏
蓮
蓮
花奏
花奏
ひよりちゃんと三人で恋バナしてた時の…だよね
あれを聞かれていたと思うとはずかしくて
蓮
納得していない顔が怒っている
花奏
蓮
花奏
花奏
澤本君の言葉が胸に刺さる
花奏
花奏
先輩とよりを戻せば元気になってくれるんじゃないかって
そう思ったから
蓮
花奏
蓮
あたしの言葉を遮って澤本君が強い口調で言った
あたしが考えている以上にこの人は怒っているみたい
蓮
花奏
花奏